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2012年3月14日 水曜日

身辺雑記

猫カフェ行ってきた

ねこ文字でタイトル書いてみました(笑)

 んだが、もちろん私の場合、そこらのブログみたいに、「かわいい猫ちゃんがいっぱいで、お店の人も親切で、ほんとーに楽しかったー! また行きたーい!」みたいな話にはならないから、そのつもりで。(と、なぜか最初から喧嘩腰)

【閲覧注意】 動物のことになると私はかなりの過激派なので、ペット大好き、猫カフェ大好きな人には不愉快な表現や、ショッキングな表現があると思います。

写真と本文とは無関係です

 「犬猫のはなし」に書いたように、私は大の猫派なのだが、最近ちょっとばかり猫に不自由している。もちろん電車で1時間の距離の実家に帰れば猫はいるのだが、うちの猫たちは野良猫上がりでものすごい人見知りをするうえ、頭が悪いので私を「よその人」だと思っていて、私の顔を見れば上を下へと逃げまどう。(3日ぐらいいると少し慣れて近寄ってくるのだが、次に行ったときはもう忘れている) うちはマンション地帯なせいか、近所にはまったく野良猫の影もない。猫を飼ってる友達もいない。
 くっそー! 猫さわりてー! そういえば日本には猫カフェとかいうものがあるそうじゃん。それってまさに私みたいな人のためにあるようなものじゃん。
 というわけで、あっちこっちの友達に「猫カフェ行きたい」と声をかけていたのだが、(さすがにひとりで行く勇気はない)、意外なことに石神さん(猫を飼った経験なし)が乗ってきたので、日曜日に行くことに決めた。

 それでどこに行こうかとネットで調べ始めたのだが‥‥行く前から調べれば調べるほど冷めてきちゃったのね。そもそも、私はどうも誤解をしていたようだ。

 最初に「猫カフェ」という言葉を聞いたときに想像したのは、単なる「猫のいる喫茶店」。そんなの昔からいくらもあるし、べつにめずらしくもないのにねーと思った。ていうか、昔は「猫のいる八百屋」も「猫のいる魚屋」も「猫のいる本屋」もあたりまえ、むしろ「猫のいない角の煙草屋」なんてめずらしいぐらいだったのだが、個人商店というものが消滅しつつある都会では、そういうの見たことない子もいるのかもねー。
 でも話を聞くと、どうも違うみたい。なんかけっこうな料金取ってもったいぶったところみたい。するとあれか? ショールーム的な何かで、いるのは血統書付きは当たり前(今じゃみんなそんなの普通に家で飼ってるし。でも昔は考えられなかったのよ)、キャットショーで賞とったチャンピオンクラスの美猫が、ずらりと並んでファッションショーさながらポーズを取るのを、カメラ小僧どもがパシャパシャ写真に撮ってる‥‥というのを想像した。無知というのは恐ろしいね(笑)。

 だけど実際の猫カフェのサイトを見たり、レビューを読んだりしてみると、どっちも違ったみたい。写真を見た石神さんの第一声は、「幼稚園みたいですね」。うーん、確かに。猫のIQに合わせてあるのかもね。

 それより私の気に障ったのは、ルールだのマナーだのをうたってる店やブログが多いこと。もちろんカメラのフラッシュはたかないとか、勝手に餌を与えないとかいうのは当然のこととしてわかるんだけど、入店前に手を消毒するってのはなんだ? ワシらバイキンかよ? 私なんか猫嫌いの母に「猫なんてバイキンのかたまりなんだから、触ったら手を洗わないとダメ!」と、キーキー言われながら育ったんだが。猫のおもちゃの持ち込みは可だが、ただし新品に限る、ってのも??? 猫、純粋培養してるんすか? だったらガラスケースから出すなよ。
 なんかこの神経質さって前にも感じた。と、思い出したのだが、数年前に、捨て猫の里親になろう!と思い立って、ネットで探したことがあるのだ。私は猫飼ってニコニコだし、かわいそうな猫ちゃんが1匹救われるわけだし、一石二鳥!と思って。そしたら、愛護団体が運営するそういうサイトはたくさんあるのだが、どこも条件がめっちゃくちゃ厳しい。室内飼いにして絶対外へ出すなとか、先住猫がいちゃだめだとか、子供のいる家はだめだとか、独身者はだめだとか、日中留守になる家はだめだとか、月に一度は写真を撮って送れとか。(私みたいにカメラ持ってない人間はダメってことか?)
 それで弟に、「こんなんじゃもらえる人なんかいない」と文句を言ったら、里親を装って、虐待目的でもらう奴とか、実験用に売り飛ばす奴とかがいるから、それぐらい厳しくしなくちゃだめなんだと言う。ほんとにそんなのいるのかよ?
 いや、実はうっかり猫の愛護団体の虐待報告のページを開いちゃったことがあるから、実際そういうことがあるのは知ってます。(見るんじゃなかったと思えるぐらいショッキングな写真ばかりでした) 実家の猫も、昔は外猫も内猫もごたまぜに、来るものは拒まずで自由に出入りさせていたのだが、キチガイに捕まって大怪我をさせられた猫がいたことから、それ以来、すべて家の中に閉じ込めて飼うようになった。いやな世の中だ。(私が猫を虐待するような人間は八つ裂きにして、死体は町の四隅にばら撒いて、犬猫ねずみに食わせろと思い始めたのはこの頃から)
 まあ、そんなわけで不特定多数の人間相手ってことは、どんな変なのがいるかもわからないから、猫カフェも愛護団体も、猫を守るためには用心しなきゃならないのはわかるんですけどねえ。

 あと、ネットの猫関係のスレとか見てても違和感を覚えることがよくある。たいていは猫自慢だからみんな猫をかわいがっているのはわかるんだけど、言ってることを総合すると、この人たちの猫はすべて、部屋から一歩も外へ出さずに育て、高級猫缶だけ食べさせられて、人間の食い物はおろか、ミルクまでも牛乳は体に悪いという理由で猫専用ミルクだけしか飲ませず、定期的に病院で検診を受けさせられ、お風呂に入れられ、ふんだんに猫専用のおもちゃを与えられ、高価な猫ベッドや猫タワーで眠るという図が浮かび上がってくる。ていうか、みんなそれが当然と思っている。
 それはべつに悪いことじゃないし、猫もまあ幸せなんだろうけど、でも、そんなの私の知ってる猫じゃないという感じが否めない。だいたいそうやって腫れ物に触るように育てられる猫と、かたや、単に遊びのために切り刻まれて、道に放り出される猫との落差が激しすぎる! やってることは正反対だけど、意地悪な見方をすれば人間の好きにされていることに変わりはないわけだし。
 もうこの際だから言わせてもらうけど、必要もないのに猫を風呂に入れたり(猫は自分できれいにできるので、基本、発情期で1か月ぐらい家出してたオス猫でもないかぎり必要ない)、病気でもないのに獣医に連れて行くのって、れっきとした虐待ですよ。慣れてる猫やのんびりした猫なら大丈夫かもしれないけど、うちの猫たちみたいな野良出身は、風呂や獣医では完全に殺されると信じて、文字通り死に物狂いの抵抗をする。たとえ結果的には猫の健康のためになったとしても、本人たちにはそんなことわからないし、それだけのトラウマや精神的苦痛を一時的にでも与えるのって、猫の立場から考えたら許し難い虐待だと思う。だけどそういう飼い主って、命がけで暴れる猫を、「必死になっちゃってかわいい!」とニコニコ笑いながら見てたりするんだよなー。(それが証拠にYouTubeにはそういう動画がたくさん上がってる)
 そんなふうにどうしても獣医がだめな猫の場合、うちでは体重比で計算して、人間の薬を少量薄めて飲ませたりしてたなあ。(いちおう彼氏が医学生だったんで)

 私が何をイライラしているかというと、「犬猫のはなし」に書いたように私が猫を好きなのは、彼らの中の野生のせいなのに、あんまりにも野生とはかけ離れているというだけだ。私にはどんなに猫がかわいくても、彼らが「ひとりで歩いて行く」のを禁じるのは罪に思える。「野生の森」は都会では無理だが、「野生の屋根」に登ることもできない猫はそれなりに不幸だと思うし。
 でもそれって、猫だけじゃないのかも。人間そのものが今ではそういう純粋培養で育ってきて、だから猫もそうするのが当然と思ってるのかも‥‥と、根が野良猫の私は思う。なんか知らんが、今は猫も人もずいぶん息苦しい暮らしをしてるんだねえ。

 そうじゃなくてもこの国、なんによらず神経質すぎてイライラするのは、私が特別ガサツなやつだからか?
 それでいきなり思い出したが、猫じゃなくて馬の話。私が所属していた馬術部の馬や、試合なんかで出会うよそのクラブの馬は、どれもたいていものすごく神経質で、臆病で、気が立っていた。馬にも一頭一頭個性があるから一概には言えないんだが、ひどいやつは「寄らば殺す!」という殺意がみなぎっていて、さすがに上に乗られているときは手が出せないからおとなしいが、いったん降りて、馬の歯や足の届く範囲に入るなり、全力で食い殺し(蹴り殺し)にきた。(こういう馬を扱う唯一のコツは、いっそぴったり身を寄せてしまうことである。最大の武器である後肢はリーチは長いけど、あまり柔軟性はないので。近ければ蹴られてもダメージ少ないしね。それでも友達は頭突きされただけで肋骨折れましたが)
 逆に臆病な馬は、ちょっとした物音でも驚いてパニックになり、狭い馬房の中で暴れ回ったあげく、壁に穴あけたり、勝手に大怪我をしてしまったりする。
 それで、馬というのはそれぐらい凶暴で神経質な生き物なんだと思っていたから、クラブを辞めたあと、田舎の観光地や海外で馬に乗るようになって、これが同じ動物かと驚いた。なんというか、のんびりぼーっとしてて、何されても怒らないで、人なつこいし、どっしり構えてあんなに始終ビクビクしてないの。これが馬本来の姿だと思うんですよ。だけど、都会の馬はどこかおかしい、ということに気付いた。
 何も私たちが虐待してたわけじゃないよ。都会では馬というのは恐ろしく高くつくものだから、それこそ王侯貴族のように世話をされていた。だけど、広い野外を群を作って駆け回る動物である馬にとって、(主として経済的理由だが)ほとんど一日中暗くて狭い馬房にひとりぼっちで閉じ込められているのは、ものすごいストレスなんだろう。たまに出してもらっても、とうてい運動量足りないし。もっと運動させてあげたいけど、都会ではどうしても敷地も狭いし、人間たちは忙しすぎてそこまでできないからね。

 この暗喩おわかりですか? なんか日本では人間にもこの馬たちと同じことが起きてるような気がするんだよね。(むしろ暗くて狭いところを好む猫にとっては、かえって住み心地いいかも) 同じ東京生まれでも、野原を駆け回って、虫取ったり、棒振り回して戦争ごっことかやってた私と、小さい頃から高層マンションの一室に閉じ込められて、ゲームや携帯だけをおもちゃに育った今の子とでは、同じ人間とは思えない、海より深い違いがあるような気がしてならない。動物に対する陰湿な暴力とかがその現れのひとつでないといいが。
 (もちろん昔だって、動物を虐待する人間はいましたよ。だけど、昔なら隣の犬や猫がうるさければ、バケツで水浴びせるとか、蹴飛ばして黙らせるぐらいだった。なのに今は毒餌やカミソリで‥‥って)
 あわわわ‥‥猫カフェの話をするつもりが、話がどうも変な方向へ‥‥

 ちなみにそういう馬の気を静めるために、うまやで猫を飼っているところは多い。うちのクラブにもいた。馬と猫はとてもいい友達になれるので、お互いの精神衛生上とてもいいのだ。そういうところの猫は、餌をもらう以外は人間にはほとんどかまってもらえない(やはり馬が主役なので)にもかかわらず、今にして思うと、専用のおもちゃや高価な餌をたっぷりもらって室内飼いされている最近の猫より、よほどのびのびして幸せそうに見えた。
 どこにおしっこかけようと毛玉吐こうと誰にもなんにも言われないし、木は(生きた木も、木でできた柵や家具も)ふんだんにあるから、好きなところで好きなだけ爪研げるし、木登りもできるし、厩舎というのは構造上(すべて開けっ放しで梁や柱が至るところに巡らされている)、猫にとってはアスレチックジムみたいなものだから、いろんなところに登ったり、潜り込んだりして遊べるし、眠くなれば陽に干したふかふかの寝藁の上で寝たり自走式生物カウチ(馬)の上で寝たり、馬の餌の穀物を狙ってネズミも出没するから、遊びやハンティングはおもちゃなんか較べものにならないほど興奮できるし。いくら話しかけてもわかってくれない人間と違って、動物語の通じる友達はいるし、万一怪我したり病気になっても、周囲は動物の専門家(学生だからセミプロだったけど)ばかりなので、すぐに適切な処置を取ってもらえるし、そもそも獣医は定期的にやってくるし。
 いま書いてて思ったが、ああいう猫たちはなんて幸せだったんだろう! 生まれ変われるなら猫になりたいという人はたくさんいるが、私は厩舎の猫になりたい。

 とにかく何が言いたいかというと、ネットで猫好きの人たちの書いたものを読んだだけなのに、猫のかわいさにほっこりするどころか、私はそういうドロドロした、見たくないものを感じてしまったというだけ。
 ただ、そういう「動物好き」でも、猫は必ず去勢しろと言うんだよね。そんなに去勢したけりゃ自分ですれば? 馬術部では大学生がやってたよ。競馬上がりの気の荒いオス馬がいたんだけど、ある日でっかいハサミを持ってきて、金玉(馬だから当然玉も巨大だ)をチョキンと切って、切った玉はその場で鍋に入れて火にかけて、煮て食っちまった(笑)。
 もちろん当時女子高校生だった私たちは、「いやーん! ヤバーン!」と言いながら見てましたけどね。青学みたいなおぼっちゃま大学で、しかも馬術部だからどれだけお上品かと思ったら、これだから。
 それがいいことかどうかはともかくとして、動物とつき合うってのはそれぐらいの太い神経がないとやってられないってこと。だから女子高生だって、馬の肛門に腕突っ込んで体温測ったりしてたし、そういや、馬術部経験してから、動物に関しては、不潔だとか、臭いとか、そういうのまったく気にならなくなってしまった。
 その感覚だから、猫をなでるのに手を消毒してとか言われると、「えっ?」て思うんだよね。べつに肛門に突っ込んだ手で猫さわろうってわけでもないのに。

 それと、例によって私は外人なので、ガイジンの目で見てしまうせいもある。もちろん日本以外に猫カフェみたいなものはないし、その存在も、そのルールも、外人(私が外人というときは、特に断らない限り英米人を基準にしてます。他の国のことはそんなに知らないし)から見れば、「WTF!!?(なにそれー!!?)」というぐらい、理解不能で奇異なものだし。
 はい、その証拠。海外での猫カフェの紹介記事。リンク先は英語ですが、大学生レベルなら十分理解できる簡単な英語だし、かわいい猫の写真いっぱいあります。私たちの行った店とは違うけど、猫カフェ知らない人もこれ見れば雰囲気つかめると思う。
 いや、これはまじめなルポで、そんなにバカにされてるわけでもないけど、世界のネット民の間では、日本というのは奇人・変人・変態の巣窟と認定されちゃっているので、これも「また日本かよ」と笑われているだけです。
 猫カフェの何が変なのかわからないって? うーん、変といえばすべて変なんだけど、要するに猫なんてそこらじゅうにうじゃうじゃいるありふれた動物なのに、動物園みたいにわざわざお金払って見に行くってのが変なんでしょう。野良猫のいない町ってのも気持ち悪いなあ。
 あと、いやでもハーレムを連想させるので、何気に獣姦くさいってところも(笑)。そういや、日本でも「猫キャバ」と悪口いう人もいるみたいね。私も、「猫ポルノなんでないの?」とか不平言ってたけど(笑)。

 もういい加減あきれられてると思うので、かんじんの猫カフェの話をしよう。私たちが行ったのは、上野駅の真ん前にある、この業界では老舗らしい猫カフェ。別に悪口のつもりはないが、この調子だから営業妨害になるといけないので、あえて名は隠す。
 日曜日のターミナル駅周辺っていうと、言っちゃ悪いがお上りさんでいっぱいになりそうな気がしたので、私は最初下北沢を希望したのだが、私は足が心配だし、石神さんもダンスのお稽古で疲れてるというので、近場の上野にした。
 でも午前11時の町は閑散としている。「あれえ?」と言ったら、石神さんが今日は3月11日だということを思い出させてくれた。でも、「みんな追悼のために家にこもってるの?」と言ったら、そうじゃなくてまた地震が来るんじゃないかと怖いからだって。ふーん?

 猫カフェも、ここは混むと聞いていたのだが空いていた。私たちの先客は女の子2人組だけ。その後もほとんど貸し切り状態。12時近くなったらどんどんお客さんが入ってきて、混んできたから私たちはそこでおいとましたけど。
 入るとすぐに女性スタッフからシステムの説明を受けて、ドリンクを注文する。ここは後払いで、滞在時間に応じて課金される仕組み。このあたりカラオケボックスとかの感じ。
 それで入るとそこはもう店内。だが、広さも見た目も普通のマンションのリビングという感じ。いちおう窓際(上野駅が見下ろせる)には作りつけのカウンターと椅子があるんだが、店っぽいところはそこだけ。この時点で、「猫のいるカフェ」という私の予想とはぜんぜん違う。こんな狭いカフェないもん。でも猫カフェとしてはこれでも広いぐらいだそうだからまた驚く。ここは詰め込めば12人ぐらいは入れるが、普通は5〜6人も入ればいっぱいなんだって。えー、それは別の意味で私は息が詰まりそう。

 その代わり、猫はいっぱいいる。これも予想外。なんかそこらじゅう猫だらけ! 猫のために室内は遊具や棚がごちゃごちゃ詰め込まれている(そのためよけい狭苦しく感じる)んだが、気付かないようなところまで猫が寝ている。20匹ぐらいいた。
 猫好きにはうれしいだろうが、個人的にはこれはどう考えても猫密度高すぎ。やっぱり猫でもある程度の個人空間あったほうがのびのびするからねえ。うちの経験で言うと、あまりにも猫の数が増えすぎると、それを嫌って家出する猫(たいていはオス)がいる。
 あと、こういう多頭飼いでは、猫同士で勝手に猫社会を作り上げてしまい、人間にはあまり注意を払わなくなる。経験から言って、8匹も猫がいると、人間は主人というよりただの飼育係に成り下がってしまって、猫との密接な関係を作りにくい。まあ、短時間訪れるだけの猫カフェで、人猫関係作ろうとするのは無理だけど。

 唯一感心したのは猫が知らない人を怖がらないところだけかな。何度も言うが、うちの猫たちみたいな野良猫は、原則知らない人を大警戒するから。もちろん人慣れした猫じゃないと商売にならないから、そういう猫だけを集めているんだろうけどね。その代わり、どの猫も基本的に人間を無視している。通りすがりの猫に手を出しても華麗にスルー。
 これは大いに不満。というのも、私は実家の愛想のない猫にうんざりして、猫らしく甘えたり、膝に乗ったり、抱っこされたがる猫に触りたくて猫カフェに来たのに。ていうか、少なくとも金払ってるんだから、それぐらいのサービスはあって当然と思っていたのだが、もちろん猫にそんな理屈は通用しないのだ。
 そうそう、言い忘れたが、抱っこは原則禁止らしい。抱っこできる猫は限られていて、それもいちいち「抱いていいですか?」と店員に声をかけなきゃいけない。そんなこと聞かんでも、猫はいやなら勝手に逃げてくし、いよいよウザいとなれば例の「ジャキーン!」攻撃があるからいいじゃん、と思ったが、猫にしてみれば一日中抱き方も知らない人に抱き上げられるのはストレスだろうし、客の立場からしても、爪たてられたら動揺するような素人さんもいるだろうから、やっぱり無理なのか。

 でも公園の野良猫でさえ、人なつこい奴は、「かまってかまって!」と寄ってくるのに、「プロ」がこれでいいのか! まあ、愛情に飢えてる野良猫と違って、ここの人たちは毎日ベタベタ触られてるから、いい加減うんざりしてるのかも。そうなると、客にできることは、単に猫さんたちをぼーっと眺めてるか、写真を撮るか、備え付けてあるおもちゃで遊ばせるかぐらいしかない。これはかーなり手持ちぶさただが、(おもちゃも飽きてるのか食いつき悪いし)、他の客は楽しそうにニコニコしている。
 そこでなんとか猫の気を引こうと試みるのだが、なんか金払って猫にサービスしに来ているようで、妙な気分だ。何度も言うが、私が最初猫カフェという言葉から想像していたのは、おしゃれなカフェで、お茶を飲んでると猫が勝手に隣の席で寝てたり、膝に上がってくるので、それをなでてゴロゴロ言わせながら、友達と楽しくまったりおしゃべりというものだったのに! なんかぜんぜん違ーう!
 全体に店内のすべてが薄汚れていて猫毛だらけなのも、個人の家のような印象を与える原因。いや、掃除ぐらいはしてるんだろうけど、これだけ狭いところにこれだけの数の猫がいれば、いくら掃除してもこうなっちゃうんだよね。
 スタッフは若い女性と、オーナーらしきおじいさんの2人だけ。この女の子がほとんどの仕事をひとりでこなし、おじいさんは接客するわけでもなく、勝手に猫と遊んだり、なんとなくそこらを漂っている。女の子は感じが良かったが、お客さんが増えてくると忙しそう。
 すべて引っくるめた私の印象はというと、「猫をたくさん飼ってるというので、見せてもらいにお邪魔した、あんまり親しくないし、よく知らない人の家にいる」という印象。だからくつろぐことなんてできないし、勝手に猫を触りまくることもできないし、かえって欲求不満でイラだつー! というのは私のわがままな印象で、石神さんは思ったより楽しかったというし、実際ほかのお客さんは満足しているようだから、これでいいんでしょうがね。

 悪いけど、私は猫をただ見るだけのために金払う気にはなれないな。でも他のお客さんはどうしているのか観察してたら、ほんとにただ見てるだけか、写真撮ってるか、猫じゃらしでチョンチョンと遊ばしてるだけ。ああー! うちの猫なんて、じゃらすにしてもおもちゃ持って部屋中ドタバタ駆け回らないと許してくれないし、私は猫と転げまわって取っ組みあいがしたいのに、そんな雰囲気じゃない!
 人間同士がほとんど話もせず無言なのも妙な雰囲気。確かにひとりで来てる人もいるが、カップルも多いのに、どちらも無言で黙々と猫と遊ぶ。これも日本人の礼儀正しさのひとつなのかしら?とも思ったが、喫茶店やレストランならいざ知らず、こんな狭い、個人のうちみたいな空間で、床に寝そべってるのに、お互いを無視し合って無言でいるのって私にはかえって苦痛。(そのくせ日本人は本来声をひそめなきゃならない喫茶店やレストランでは大声で話すしなあ) だいたい、猫をいじるときって、誰でも変な雄叫びや猫なで声を出すものじゃないんすか? でも、「おにゃかうちくちくちくちー!」(猫を転がして腹をなでている)なんて意味不明の奇声を上げてるのは私だけだった‥‥
 あと、これも単なる印象だが、他のお客さんや猫を触る手つきや遊ばせ方を見るに、この人たち猫飼ったことがないんじゃ?と思った。確かに今はペット禁止といううちも多そうだな。それに猫飼ってる人はわざわざ猫カフェなんか来ないか? あの「ルール」はそういう人たちのためのものか? でも私みたいに、猫大好きだけど今は諸事情で飼ってないという人も多いと思うんだがね。
 それで思い出したが、ネットじゃ猫が異常人気(これは日本だけじゃなく海外でも)で、YouTubeなんかを舞台に猫アイドルが続々生まれてるようだが、そういう人気の猫動画って、見てみると猫がかわいい(美猫)というのを別にすれば、猫飼いなら毎日見てるような、猫としてはごく当たり前のことしかしてないわけよ。確かに猫は生来のエンターテイナーだから、どこのどんな猫でも見ておもしろくないってことはないんだけど。ただ、こういうの見て大喜びする人って、猫飼ったことないのかなーと、前から思ってた。
 そんなわけで私は、いればいるほど欲求不満がつのり、あんまり楽しいとは思えなかった。唯一の収穫はやはり猫のショールームとしての機能だけかも。なにしろ、昔は本でしかお目にかかれなかった純血種の猫がそこら中をうろうろしているので。

 猫たちは純血種もいれば、保護した野良猫もいるという感じで、種類も年齢も毛色もさまざま。
 入ってすぐに私が目を付けたのはラグドール。この品種、日本に入ってくる前から私は本で読んで、いいなあと思っていたのだ。ラグドールとは「ボロきれで作った人形」という意味で、まるでぬいぐるみの猫みたいに、抱いてもくたっとしてされるがままで、おとなしいことからこの名前が付いた。ただし、体は巨大で毛もふわふわで長い。とにかくゴージャスで見栄えのする猫だし、抱くために作られたような品種だから、抱いたらさぞかし気持ちいいだろうと思って。
 そしたら抱かせてはもらえたのだが、スタッフの女性いわく、この子はラグドールのくせに抱かれるのが嫌いなのだそうだ。実際、抱いてるとモゴモゴと動き出す。ラグドールの意味ねー! とにかく抱いても大きすぎて腕の中に収まりきらない。ずっしり重いし、なんか手に余る感じでした。毛並みはやっぱり素晴らしいけどね。
 見た目ちょっと似ている(巨大で長毛)のがメインクーン。うちではメインクーンの雑種(たぶん)を保護したことがあるので、これも大好きな品種。うちの子は黒っぽい茶色だったが、ここの子は白くてとてもきれい。だが抱かせてはもらえなかった。

 ここらの大型猫はおっとりしているのに対し、小型でスリムな猫ほど活発で、いちばん落ち着きがなく騒々しかったのはアメリカン・ショートヘアの子猫。確かにかわいいんだが、じっとしてることがないので触りたくても触れない(笑)。うちの子らもそういえば子猫の時はみんなこうだったなー。重力無視して壁を駆けまわってたし。
 同じ子猫(ちょっと大きい)でも雑種の日本猫の兄妹は、大人しくてかわいかった。色違いなのだが、そっくりな猫が2匹、ぴったりくっついていたので、思わず「かわいい!」と声をあげてしまった。
 ベンガルオシキャットは、写真だけ見てたときは、古代エジプトの猫みたいで、うっとりするほど美しいと思っていたのだが、ここにいたのは、一見するとただのキジトラと間違えそうで、特に魅力的ってほどでもない。うーむ、純血種といっても、品評会的な視点から言うと、ちょっとランクが落ちるやつなのかなー。まあ、日本のペットショップで売ってる猫なんてそんなものだとは思うが。ただ、異常に運動能力が高くて活発なところはやっぱりそれっぽいが。
 逆に嫌いなのは、前も書いたが、スコティッシュ・フォールドマンチカン。理由はスコティッシュは目つきが悪いのと、マンチカンは顔はまともだが奇形だから。現物見てもやっぱり印象は同じ。
 あと、今オフィシャルサイトの猫紹介を見ていて気付いたのだが、オスの三毛猫がいたのー? それ先に言ってよ。(なにしろ普通に見てるだけじゃわからないから) もしそれが本当なら、どんな純血種の猫より高価だし貴重じゃない! おまけにオッドアイだなんて。それならお金払っても一目見たかった! っていうか、見たかも知れないけど気付かなかった!

こちらがicanhascheezburger.comの看板猫であるHappy Cat。
なんかショボンとした顔がかわいい、この子もブリティッシュ・ショートヘア

 結局、いちばん人なつこくて素直に抱かれてくれたのはブリティッシュ・ショートヘアだった。この品種にもちょっと思い入れがあるんですよね。
 「ブリティッシュ」ってとこもそうだけど、主として、右の写真のせい。この子は前にも紹介した私のお気に入りサイトicanhascheezburger.com(猫の写真に勝手に吹き出しやキャプションを付けて遊ぶお笑いサイト)のシンボルで、確かこのサイトの創設者がこの写真を見て、顔見ただけで笑ってしまうというのと、「いかにもなんかしゃべってそう」と思ったのが、サイト開設のきっかけだとか。
 これはイギリスの在来種を交配して作ったものなので、だいたいイギリスの猫はみんなこのタイプ。「スコットランド旅行記」に書いたスカイ島の三毛猫も、かなりいろいろ交ざってはいるけど、このタイプだったでしょ?
 純血のブリティッシュ・ショートヘアは、ずんぐりむっくりして短足で寸詰まりで、短い細い毛がびっしり生えてる。耳が小さく、まん丸い顔とまん丸で鮮やかなオレンジ色の目も特徴。耳が小さいことや丸っこい体型、この被毛は典型的な寒冷地仕様だわね。
 毛色はいろいろだけど、写真の子みたいなブルー(灰褐色なのになぜかブルーと言う)が基本。(この写真を見ると、やっぱり猫カフェにいた子たちはなんか混じってる感じがするねえ。これほど丸くなくて尖ってたし)
 顔ははっきりいってブチャムクレなんだけど、そこがなんとも愛嬌があってかわいいということで、言ってみれば猫のブルドッグとかパグって感じで、いかにもイギリスの猫って感じがする。
 純血種というと、アメリカン・ショートヘアとか、アビシニアンとか、ソマリとか、すらっとしてかっこいい猫がいいと思ってたけど、ああいう猫は活発すぎて狭い日本の家では飼いにくいし、性格もわがままで野性的すぎるかも。(だいたい痩せてる猫ほどそうだ。逆に太ってずんぐりした猫は大人しく扱いやすい)
 その点この子たちは、見た目は悪くても、愛情深くて我慢強いという、そんなところもイギリス人っぽいなあ。ある意味、猫カフェみたいなところでは、こういう猫の方がお客さんにやさしい。
 抱いてもぜんぜんいやがらず、完全に人に体を預けてるところが愛らしいし、独特の毛並みの感触もいいし、短くてがっしりした手足もかわいい。あー、もしお金出して飼うならブリティッシュがいいかも‥‥いやいや、いかんいかん! 私はペットショップから動物買うのには反対だし、猫に何十万も出す余裕なんてないんだ!

 あと猫カフェで不満だったのは、カフェの猫たちにとってはお客さんはしょせん他人ということ。だから、どんな出来損ないのバカ猫でも、飼い主に対してだけは示す猫特有の愛情表現は見せてくれない。早い話が抱いてなでててもほとんどゴロゴロも言わない。これはずいぶんがっかりしたなあ。やっぱり猫は自分で飼うべきものと再認識しました。なんだかんだ言って、猫というのはペットの中でも最も飼いやすい動物だからね。

 混んできたので会計を済ませて外へ出たら、張り紙がたくさんしてあって、中に猫のお誕生日が近いので、プレゼントを持ってきてくれた人には猫からのプレゼントのお返しがありますと書いてあった。
 それを読んで、私は反射的に「いらねー!」と思ってしまった。だって、猫が持ってきてくれるプレゼントって、干からびたスズメの死骸だったり、半分食べかけの子ネズミだったり、逆に元気いっぱいの生きてるゴキブリ(猫が口から離したとたん、そこら中を駆け回って再ゲームが始まる)だったりするんだもの! そんなのほしくないよー!
 というふうに思う人は猫カフェには向きません。「猫からのプレゼントだって! カワイイー!」と思えるぐらい、メルヘンの世界に生きてる人じゃないと、この世界になじむのはむずかしいかも。

おまけ 猫アレルギーについて

 ちなみに、猫は久々だったので、やっぱり猫アレルギーで後半は鼻ズルズルになってしまった。早めに出たのはそのせいもある。

 ハイ、私はアレルギー持ちなので、もちろん猫にもアレルギーです。っていうか、原因物質が違うだけで、動物の毛も花粉もいっしょ。私の例だと花粉の他、切り藁、細くて柔らかく短い動物の毛(猫と馬)の毛の症状がいちばん重い。それで猫たくさん飼ってて、馬やってたという(笑)。
 ただ、「猫アレルギーなので猫飼えない」という人があまりに多いみたいなので一言いいたくなってしまった。ただ、先に断っておくと、もちろん個人差はあるし、小さい子供とかは別だと思うし、食物アレルギーなどには命に関わるものもあるので、いっしょにしないで欲しい。少なくとも呼吸困難に陥るレベルなら医者に相談することをお勧めします。
 でも軽い花粉症(動物の毛もいっしょ)ぐらいなら、毎日いっしょにいれば免疫がつくみたいで、完全にではないけど治ります。

 ちなみに私の場合は、発作が起きたときは鼻水と涙が、水道の蛇口を開きっぱなしにした感じで、まったく途切れずツーッと流れ続ける。顔は真っ赤に腫れ上がり、もちろん目とかも真っ赤。ティッシュの箱を10分で1箱使い切る。っていうか、それでも顔とか服とかぐしょぐしょになるので、家で起きたときは治まるまで、洗面台でただ流し続ける。これが花粉だと年に2〜3回、動物だと触れただけでほぼ確実に起きていた。(鼻がぐずぐず程度のは含めません)
 そんな私でも、猫ならば数日から1週間で慣れてまったく症状が出なくなった。それでも数か月猫から離れていると、また元に戻ってしまうけど、症状自体は確実に以前より軽くなっている。
 馬は当然ながらもっとひどい。猫の何百倍という大きさだし、毛は猫よりもっと短くて細いし。馬は毎日ブラシをかけてやらなきゃならないのだが、ちょっとブラシを当てただけで、抜け毛とフケが白い霧のようにもうもうと舞い上がる。おまけにこれに切り藁(もちろん馬のご飯です。これも体が大きいので膨大な量の藁を切ったり刻んだりする)が加わるので、大変なことに。
 馬術部入って初めて発作が起きたときは、さすがに呼吸困難に陥り、もうクラブをやめるしかないかと思った。だけど、馬が好きで好きで、一生に一度のチャンスだと思ったからどうしてもあきらめきれず、やせ我慢で耐えていたら、1か月ぐらいでふっつり起きなくなったので、これだけひどいアレルギーでも免疫ってできるのかと。こちらももうずっと乗ってないから、再開したらアレルギーも再開すると思うけど。

 というわけで、猫好きなのにアレルギーを心配している人は、症状の重さにもよるけど、試してみては? 猫カフェに毎日通ってみるとか、猫を飼ってる友達のうちに毎日寄らせてもらうとか。それでケロッと治ることもあるから。毎日いっしょにいる自分ちの猫ならなんともないのに、よその猫だと起きることもあるので、やはりそれも免疫が関係しているかと。

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