パラグラフ・ライティングについて

トピックごとに段落を分割し、それらの段落を組み合わせて文書を書いていく手法を「paragraph writing」といいます。英文はあらゆる実用的文章、公的文章がこの形で書かれています。大学のレポートや論文は言うまでもありません。
これは従来の日本語にはない概念ですので、頭の切り替えが必要です。日本語の場合は、なんとなく文を連ねていくだけでも文章が書けますが、英語でこれをやると、非常に読みづらい、いかにも頭の悪そうな文章になります。
日本語の文章でも、学術論文や会社のビジネス文書ではこの書き方が求められますので、今から慣れておくといいでしょう。

この理論を詳述すると時間がかかりますし、そんな勉強をしている暇もないと思いますので、思い切り簡単に要約するとこういうことです。
英文は普通、
                Introduction
                Body
                Conclusion
の3つの部分からなります。1冊の本など長い文章もそうですが、ひとつひとつの段落の中味もこの形式に基づいています。言ってみれば、英文というのはこの構造が何重にも入れ子になったようなものです。

Introduction (導入部)

最初に結論を簡潔に要約して、読者にこの文章が何を伝えようとしているのかわかるようにします。いきなり結論から始まるのが英語流です。

Body (本文)

ここで結論を導くために必要な根拠や補足的な説明を述べます。実際の文章は大半がbodyになります。

Conclusion (結論)

最後にあらためて、伝えたいことをまとめて結論にします。ただし導入部と同じ表現を使うことは避け、同じことを表現を変えて言うといいです。結論部がびしっと決まっていると、文章全体の重みや説得力が違いますので、特に力を入れて書きましょう。

段落も同じ構成になっています。パラグラフ・ライティングでは導入部をtopic sentenceと呼び、ここで結論を要約します。それをサポートする本文に当たる部分がsupporting sentence、最後の結論に当たるのがconcluding sentenceです。
普通、ひとつの段落にトピックはひとつだけです。
参考
パラグラフ・ライティング/論文の小構造
大学生のために小論文・レポートの書き方をかんたんに解説した記事。これは日本語レポートの話だが、ここに書かれていることはすべて英語レポートにも当てはまる。ページが多いが、読みやすいので最後まで読んでほしい。

TOEFLメールマガジン プロセスライティング講座
パラグラフ・ライティングの基本、アウトラインの書き方などをやさしく説明してくれています。

英文アカデミック・エッセイの書き方
個人ブログでちょっと読みにくいですが、なかなかいいことを書いてあるので。上部の>>で次のページへ。

日本語ライティング
タイトル通り日本語の書き方についてのサイトですが、中にパラグラフ・ライティングについてのページがあります。あらためて文章を書くことについて考えさせてくれます。


パラグラフの組み立ての一例

例としてクリケットをトピックにしてみた

 A.だめな例

導入部 皆さんはクリケットを知っていますか? 知らない人が多いと思うので説明します。
本文 クリケットの歴史、ルールの説明、クリケットの名選手・名勝負など。
結論 このようにクリケットはおもしろいスポーツなので、関心を持って下さい。
読者(聴衆)の反応
  • もともと知らないし興味がないので、ルールや歴史なんか説明されてもイメージがわかないし、何がおもしろいのかさっぱりわからない。
  • 聞き慣れない用語が多すぎ、耳で聞くとよけい話についていけない。
  • 結果としてつまらない。

 B.良い例

導入部 クリケットは世界的には、サッカーに次いでプレイ人口が多いスポーツと言われています。なのに、なぜか日本ではほとんど知られていません。その理由は1、2、3であると私は考えます。
本文 上記の1、2、3の理由をそれぞれ裏付ける根拠を並べる。
たとえば、

1.日本では野球が人気がある
→クリケットは野球に似ているが野球のほうがおもしろい
→たとえばクリケットは〜だが野球は〜だから
→従って、日本ではクリケットの人気が出なかった

というふうに
結論 上記のような理由でクリケットは日本では普及しませんでしたが、野球とはまた違った意味でおもしろいスポーツなので、もっと関心を集めてもいいと思います。
読者(聴衆)の反応
  • 最初に、聞いたこともないスポーツが「サッカーに次いでプレイ人口が多い」というインパクトを与えることで、読者の注意を引きつけ、もっと詳しく知りたい気を起こさせる。(しかし、ダメな学生はここでもやはり、「それではクリケットの歴史から説明しましょう」と続けてしまう。
  • 日本のスポーツ事情に引きつけて書いているので具体的なイメージを持ちやすい。説明が具体的で論理的なのでわかりやすい。話が首尾一貫しているのでわかりやすい。(Aの例は共通しているのはクリケットというところだけで、あとはバラバラの寄せ集め)
  • 導入部で話のキモの部分を簡単に説明しているので、これからどういう話になるのかの予想が付き、読みやすい(聞きやすい)。特に耳で聞いた場合、話の流れがある程度予測できるのとできないのとでは、理解度がまったく違う。
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