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2014年4月5日

アニメ映画評

カートゥーン二題

Part1『マイリトルポニー』(My Little Pony)

Part2 Adventure Timeはこちら

 毎年、長期休暇に入るまでは指折り数えて、休みになったらあれもしよう、これもしようと考えているのだが、いざ休みになるとすべての気力が萎えてしまって、ろくなことはできないばかりか、子供向けのアニメなんか夢中になって見ている。というわけで、今日はめずらしくアニメの話。

思い出話――アニメと私

 実はアニメは私には鬼門だった。というのも実弟が根っからのアニメおたくで、50才過ぎた今もアニメなんかに熱中しているのがキモいと思ってバカにしていたからだ。とか書くとほんとの変態にしか聞こえないが、まあ、私にとってのロックやSFと同じで、子供の頃に好きだったものを未だに捨てられないというだけなんだが。
 私たちは日本のアニメ第一世代である。いや、正確に言えば4つ違うので、弟は生まれたときから国産アニメで育った世代。しかし私が物心ついた頃は、まだ国産アニメというものがなくて、というか日本のテレビ局にはまだオリジナルの子供番組が作れなくて、もっぱらアメリカのカートゥーンで育った世代である。(カートゥーン cartoon という言葉はかなり広義の意味を持つが、ここではアメリカ・アニメの意味で使うことにする)
 で、できれば昔見たカートゥーンの思い出を語りたいところだが、あいにくまだ幼すぎてほとんどすべて忘れてしまった。かろうじて見ていた記憶があるのは、アニメ版のスーパーマンやバットマン、『ポパイ』、『フリントストーン』、『フィリックス・ザ・キャット』、あともちろん『トムとジェリー』を初めとするハンナ=バーベラ・プロの作品やルーニー・テューンズも。なんか知らんがテレビに吸い付くようにしてマンガばかり見ていた時代だった。
 ああ、もちろん同じ頃ディズニー・アニメも大量に見てましたよ。でも、ディズニーは気取った感じで、ご教訓ぽくって、そんなに好きじゃなかったな。ただしディズニーでも、テレビの『ディズニーランド』の中の「科学の国」でやる、グロい深海魚とか、宇宙生物とか、恐竜の科学アニメは大好きだったという話は前にどこかでした。三つ子の魂百までとはよく言ったもので、私は当時から変でシュールなものが好きだった。たとえば『ポパイ』は嫌いだったが、正体不明の犬のような生物ジープ(超能力がある不思議な生物)が出てくる回はすごい興奮した。なんでかと言うと、ポパイみたいな脳筋のストーリーの中で、ジープの話だけが浮いてるのが変で、出てくるだけで異次元に巻き込まれたような奇妙なムードになるのが良かったのよ。
 それから国産アニメが作られるようになって、『鉄腕アトム』、『鉄人28号』、『エイトマン』と、弟といっしょに夢中になって見た。ちなみに私のいちばんのお気に入りは『狼少年ケン』ね。当時から野生動物が好きだったから。狼ごっことかよくして遊んだなあ。でも『宇宙戦艦ヤマト』あたりから、私は急速に冷め始め、いつしかテレビアニメに興味を失って、というかテレビそのものから離れていったのに対して、弟は中年になるまでテレビっ子のままだったというだけの違い。

 私も話題のアニメとかがあると、見てみようかと思うんだけど、(あるいは弟に強制的に見せられる)、ガンダムもエヴァンゲリオンもだめでした。なんで人類存続の危機に子供が戦わなくちゃならないのかとか、なんで宇宙戦をやるのに巨大ロボットでなくちゃだめなのかさっぱりわからなくて白けるだけで。萌えアニメが出始めたあたりからはもう見る気も起きない。あ、ちなみにテレビじゃないが、みんな大好きのジブリも体質的に受け付けない。例外として『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』だけはおもしろいと思ったけど。
 でもその一方、『ハッピーフィート』や『シュレック』で騒いでいたのでおわかりのように、なぜか洋物のアニメだとついて行けるんだな。この日本に対する拒絶反応と西洋ものならなんでも受け付ける体質は、骨身に染みついた本能としか言いようがない。ただ、カートゥーンはさすがに子供向けすぎてもう無理‥‥と思っていたんだが、意に反して表題のふたつのアニメにずっぽりハマってしまったというわけ。
 おっと、子供向けではまったくないが、いちおう『サウスパーク』と『シンプソンズ』があったか。最初はおもしろいと思ったけど、私は世間での評判ほどには評価してない。というか、見ればそれなりにおもしろいとは思うし笑うが、べつに何も残るものはないし、ディスク買って持っていたいとは思わないし、こんな風に入れ込むこともない。なんというか狙いが見え見えで、わざとらしすぎるし、そもそもかわいくもないし下品すぎるから。

 そこでせっかくなので、子供向けアニメなんか縁のない人にも知ってもらいたくて、簡単な紹介とディープな感想でも書こうと思ったわけ。ただ、どっちもちゃんとすべてのエピソードを見たわけじゃなく、適当にかいつまんで20話かそこらを見ただけなので、とても全体像はつかめてないし、勘違いもあるかもしれない。だからおたくの人は見ても意味ないです。

『マイリトルポニー』の黒歴史

 きっかけは『マイリトルポニー ~トモダチは魔法~』をたまたまテレビで見たことだ。というかたまたまテレビ番組表を見ていたら名前を見つけて、「ああ、あの有名な‥‥」と思ってなんとなくチャンネルを合わせた。それまではこれが日本で放映されているのも知らなかった。
 いや、名前だけは知ってましたよ。というか、おもちゃの方が有名だったし、このアニメはもともと女児向けおもちゃの宣伝用に作られたというのも知っていた。なにしろアニメ自体が80年代からやってるもんね。でもだからこそまともに見る気は起きなかった。元のデザインもアニメの絵もキモいとしか思わなかったし、こういう女児向けのキンキラキンの極彩色のおもちゃとかアニメは、自分が女児だった頃から鳥肌が立つほど嫌いだったし。なにしろデザインがこれですからね。

これがオリジナルの My Little Pony のおもちゃ

これのどこがポニーなんだよー! このモジャモジャはなんなんだよー! それにこの合成着色料でも使ったような色! なんか目もイっちゃってるし!
 これ見てて今思いだしたんだけど、これって水野純子ちゃんのあれだ! って、知らない人にはなんのことかわからないだろうが、私は彼女の大ファンで、最近はイラストレーターになっちゃってマンガ書いてくれないのが残念なんだけど、彼女の初期の絵柄というのが、まさにこの時代のアメリカの女児向けおもちゃを絵にしたような感じだったのだ。(最近はダークな絵が増えているようです) 実際、エッセイの中でそういうおもちゃに触れて、「魚にも長い巻き毛が生えてる」とか感心してたっけ。で、水野さんはそういう絵柄ですごくエグい話を書くのが魅力的だったのだが、あいにく『マイリトルポニー』はそういうお話じゃありません。
 しかし、おもちゃは今でもたいして変わってないようだが、アニメの絵柄は80年代と今とではガラリと変わった。80年代の『マイリトルポニー』はこんな感じで、

昔の『マイリトルポニー』 絵柄はこの後も何度も変わっている  昔の自分と対面して仰天するピンキー

おもちゃよりは多少ましだが、やはりポニーとはかけ離れた奇怪な生物(ムーミン?)になってしまっている。で、そういうものだと思っていたから、今やってるG4(第4世代)の『マイリトルポニー』を見て驚いた。
 なんか絵柄が日本のアニメみたいになってる! 目は異常にでかいし、ポニーなのに鼻が短いし、たてがみとしっぽは異常に長いが、これならまあかわいいと言えるんじゃない? 普通だと目が頭骨に収まりきらないほどでかかったり、鼻がなかったりするのって日本のアニメ顔の気持ち悪いところなんだが、なぜかポニーだとそんなに違和感ないぞ。ていうか、かわいい‥‥と思えてきてしまった。それでもかなりキモいが、これは動いているのを見た方がずっと自然でかわいいし、とにかく昔のあれよりましだ。
 それで見始めたら、おもしろくてつい最後まで見てしまった。こんなに良くできているとは思わなかった。しかし考えてみれば、このアニメ、30年も続いているってことは全世界ですごい人気があるのだ。それでそれだけの人気作品には半端でない金が動く。アメリカが本気で力を入れれば、たとえたわいもない女児向けアニメといえども、十分大人の鑑賞に堪えるものになるというわけ。

キャラクターとストーリー紹介

 ここで物語の紹介。舞台となるのはポニーの国エクエストリア。ここは動物はいるが、人間はひとりも存在しない。初期のテレビシリーズでは普通に人間も出ていたのだが、もちろん人間なんかいないほうが私にとっては望ましい。
 この国に住んでいるのはユニコーン(角があって魔法が使える)、ペガサス(翼があって空が飛べる)、アースポニー(普通のポニー)の3種類のポニーたち。国を治めるのは昼を統べるプリンセス・セレスティアと夜を統べるルナの姉妹。話は魔法を勉強中の主人公のユニコーン、トワイライトがセレスティアの命令で、友達を作って、いろいろと学ぶためにポニービルの町へやってきたところから始まる。そこで彼女は他の5頭のポニーと仲良くなり、以降はこのメイン6(mainとたてがみのmaneを引っかけてある)と呼ばれる、女の子ポニーのグループが中心となって話が進む。

メイン6の面々 左からトワイライトスパークル、レインボーダッシュ、ピンキーパイ、アップルジャック、ラリティ、フラッターシャイ

 この6頭のキャラが立っていて、ステレオタイプでわかりやすいのも魅力のひとつ。トワイライトスパークル(肌が紫のユニコーン)は生徒会長タイプのガリ勉。本の虫で頭がいいが、友達が少なくて孤立しがち。レインボーダッシュ(肌が水色のペガサス)は典型的な体育会系の活発な女の子。自分のことを「ボク」と呼び、飛ぶのが得意。ピンキーパイ(肌がピンクのアースポニー)は典型的なパーティーガールで、騒々しくて陽気なアッパー系。ただしやり過ぎでいささかキチガイじみている。お菓子が大好きで、人を笑わせるのが天職。アップルジャック(肌がオレンジ色のアースポニー)はカウボーイハットをかぶったリンゴ農園の娘で、典型的なアメリカン・カントリーガール。地に足の付いたしっかり者って感じ。ラリティ(白い肌のユニコーン)はお高くとまった女らしい女の子のステレオタイプで、おしゃれや美しいものが好き。ドレスのデザインが仕事。フラッターシャイ(黄色い肌のペガサス)はその名の通り内気で気弱で臆病な女の子。でも心が優しくて、森の動物と意思を通じ合うことができる。
 というわけで、まったくタイプの違う6頭が揃っているので、ティーンエイジャーの女の子はだいたいこのポニーの誰かに自分を投影して見ることができるようになっている。私は言うまでもなくトワイライトだな。ていうか、このキャラって少女時代の私に似すぎ!(私はこんな優等生じゃなかったが)
 でもこのタイプが主役ってわりと珍しいんじゃない? 普通は陽気で活発な女の子を主役にするでしょ。そうやってつい感情移入してしまうから、第4シーズンでトワイライトがプリンセスになってしまったのにはがっかりしたな。もちろんお姫様はすべての女の子のあこがれだから、女児向けって点では当然とも言えるのだが、私も含めてトワイライトのタイプはそんなの望まないぞ。
 ステレオタイプと言ったが、それを逆手にとって笑わせるのも忘れない。女らしさの権化みたいなラリティが切れると意外と凶暴だったり、パッパラパーのピンキーパイに暗い過去があったり(彼女の話の中だけなので、嘘の可能性もあるが)、フラッターシャイが魔法でおっさんみたいな野太い声になってしまったのには笑った。

 ストーリーもよくできている。女児向けと言うことで、どの回もかならず最後にご教訓(「人を見かけで判断してはいけない」とか、「自分らしさを大切に」とか)で締めるのだが、決してお説教臭くはない。ときどき(シーズンの頭や最後に)ある「この世界を悪者の陰謀から守るために戦う」話を除けば、むしろストーリーはギャグ路線で、とにかく乗りが良くて、おかしくて笑える。その一方で、思春期の女の子なら誰でも抱えてそうな悩みや葛藤をさりげなく織り込んでリアリティも持たせている。要するに脚本が良く書けているのだが、それもこれだけの人気アニメだとたっぷりお金をかけられるからだろう。
 作画も日本のアニメとは予算が桁違いだから、とにかくなめらかでよく動くし、もちろん使い回しなんかもない。色もカラフルなパステル調できれい。なのに、日本のおたくは「輪郭線が黒くない」と文句を言うんだね。私はあの黒い輪郭があらゆるものにつく方が気に触るんだが。
 だが、作画には日本アニメの影響が明らかだ。今はもう多くの海外アニメやマンガがそうだから慣れたが。ただ、笑ったとき目がこうなる(^-^)のは不自然すぎて気になるからやめてほしいんだが。

 あと、いちばん気になるのが声。私が日本のアニメを見てられないのは、アニメ顔とあの特有のキンキンしたアニメ声のせいもある。これは女の子アニメだからか、ボーイッシュなアップルジャックとレインボーダッシュを除くと、原語でも思い切り甲高いアニメ声でしゃべっていて最初はすごく気に触った。でもあれに慣れるとまあいいかっていうか、これが人間の女なら殺意を抱くが、ポニーなら可愛いから許しちゃう。声優の顔見ると、太ったおばさんばかりで思い切り萎えるんだが、声だけは本当にかわいい。
 あと、子供ポニー(※)の声が殺人的にかわいい! 日本のアニメでは子供の声もおばさんが声作ってやるが、向こうはたいてい本物の子役に演じさせるんだよね。それで子供というのは単に声が甲高いだけじゃなく、舌足らずだから、あのたどたどしい、舌の回らないしゃべり方がもうダメ~!というぐらいかわいい。それもなぜか子供の英語って日本語よりはるかにかわいらしく聞こえるから不思議。たぶん、英語の方が発音が難しくて、子供にはお手上げの発音が多いので、よけいたどたどしくなるせいだと思う。しかし日本のアニメおたくはロリコンが多いはずなのに、なんでおばさんの子供声に耐えられるのか不思議。子供にやらせればこんなにかわいいのに。

※ よけいなことだが老婆心から解説。ポニーを子馬(馬の子供)のことだと思ってる人がいるけど違いますよ。ポニーは小型の馬の品種の総称で、あくまで馬の一種。ちょうどクジラとイルカの違いみたいなものね。(クジラもイルカもシャチも種類はいっしょ。体の大きさで区別してるだけ) だからポニーの子馬はあれよりもっと小さくて、本物もアニメと同じぐらいかわいいです。

 声優と言えば、日本語吹き替えについても。私はほとんど英語で見ているんだが、日本語の声優もよく似ていて違和感がない。しかし、歌だけはやっぱり字余り過ぎて無理やり当てた感が強すぎる。昔のアニメでも歌のところになると原語に戻ったものだが。そういえばテレビの映画はほとんど吹き替えのみなのに、なぜか子供向けのアニメは二か国語で放映するんだな。もしかして歌は原語で見たい人のためか?
 あと日本語版について言うと、名前を原語のままにしたのはもう女児を見捨ててるからか? ピンキーやラリティならともかく、長い名前はカナにすると舌噛みそうなんだが。昔の童話やアニメだと、名前も必ず訳したり、日本人にも発音しやすいぜんぜん別の名前に変えたりしてたんだがね。ナインチェが「うさこちゃん」に変わったみたいに。う~ん、うまい訳ってあるかな? フラッターシャイならパタパタシャイか。ペガサスだから? でもトワイライトスパークル(黄昏のきらめき)はう~ん‥‥
 発音と言えば、ラリティは正しくはレアリティだし、耳にはレリティと聞こえるのに、この表記はちょっと変。

 ときどき歌が入ってミュージカルになるのもアメリカのアニメならでは。なんだが、ミュージカル嫌いの私としてはうーん‥‥。でも声優が歌ってるにしては歌うまいな。まあ、ポニーが歌ってると思えばかわいいからいいや。歌は後のシーズンになるほど本格的になってきて、今じゃほとんどディズニーアニメみたいだ。
 まあとにかく、女の子嫌い、アニメ嫌い、ミュージカル嫌いと、これだけ揃ったアニメに私が夢中になるというだけでも、『マイリトルポニー』がどれだけ良くできたアニメかわかるはず。(それとも単に馬だからだったりして‥‥)

二次創作の話

 あとはなんだ? やっぱり二次創作がおもしろい。(以下、取り上げた二次創作はすべて英語圏のものですので、見たかったら英語で検索する必要があります) だいたい予想されることだが、このアニメが本来のターゲットである8才の女の子だけじゃなく、「大きなお友達」にも大人気になってしまったのもなんとなくわかる。そういう男性ファン(や、年長の女性ファン)は「ブロニー」と呼ばれて、アメリカじゃ大々的なコンベンションが開かれたりしてるらしい。
 とにかく世界中に異常な数の、男も女も大人も含めたファンがいるってことはファンダムの規模も桁違いなのね。すると当然、中にはプロ顔負けの才能のある人もいるわけで、YouTubeでファン制作のアニメを見ると、アニメーションはもちろん、音楽やアテレコまで本編とまったく変わらないクオリティなので驚く。ほとんどあらゆる映画やコミックのキャラクターをポニーに置き換えたパロディーがある一方で、(それも単に絵を書き換えるだけじゃなく、セリフや設定やギャグもポニー風に変えている)、逆にぜんぜん別のキャラで『マイリトルポニー』をやるのも笑える。

このフラッターシャイが 描き手次第でこうもなれば
(すいません。どこで拾ったか忘れました)
こうもなる(左端ね)ところがファンアートのおもしろさ
ファンによるゲイアニメ版(?)、“Friendship Is Manly”より(YouTube)
あー、でもこういう過剰に女性的なアニメ(元のやつ)、ゲイが好きそう。

 今回もここに挿入する写真を選ぶためにネットを検索していたのだが、ファンアートが上手すぎてオリジナルとまったく見分けが付かなくて困った。下手するとオリジナルより絵がうまいし(笑)。いや、絵ぐらいならまだわかるが、ファンの作ったアニメもオリジナルより高品質なものがけっこうある。3Dアニメまであるし、ほとんどプロ同然。YouTubeの動画なんか見始めると止まらない。本編だってまだ全部は見てないのに。
 ただ、コスプレだけは勘弁してくれ! 外人のコスプレは質が高いんだが、いくらなんでも不細工な二足歩行の巨人がポニーになるのは無理がある。

 そういえば、二次創作で必ずあるのが擬人化ってやつ。なにしろ日本は戦艦でも女の子にしちゃう国だから(笑)。当然、そういうファンアートはあふれかえっているのだが、まさか公式がそれやっちゃうとは。スピンアウトの映画だが、登場人物、じゃなかった登場ポニーを全員、人間に置き換えた話があるんだよね。メイン6だけじゃなく脇役もぜんぶ。これは私はものすごく気に入らない。ポニーだからいいんであって、人間の女の子だったら三文の値打ちもないわ! しかも作画がご覧のようにぜんぜん可愛くないし。

“Equestria Girls”で人間になったポニーたち

これならポニーのままのほうがずーっとセクシーだしかわいいわ!
 “Equestria Girls”は見たけど、話もつまんなかった。私的にはアメリカの高校生活臭が強すぎて、リアルすぎ、まったく夢がないし、ポニーたちの個性も生かされないし、ほんとにただの学園ものになっちゃってつまらない。まあ、人間じゃ飛ぶことも魔法使うこともできないから、個性の出しようがないんだけどね。ポニーだとあれだけかわいいキャラも、人間だと思うとあんなにウザいメスになっちゃうのかと驚いた。人間の女なんてどこがかわいいわけ?
 そうそう、“Equestria Girls”でも人間になったメイン6が馬耳と馬しっぽを付けて踊る場面があったが、馬の耳としっぽって、いちばん色っぽいよね。日本じゃ猫耳が人気だが、猫耳は猫についてるからかわいいんであって、人間だと大きすぎて不格好だと思う。(小さくしたら猫じゃなくなっちゃうし) その点馬の耳は形もいいし、よく動いて感情豊かだし、手触りもよくかわいい。しっぽに至っては、これだけ豊かで美しい長いしっぽを持った動物はほかにいないわけで、人間の男どもが好きなウサギのしっぽとかアホかと思う。

 メイン6のうち、誰がいちばん好きかっていうのも人それぞれでおもしろいね。日本じゃなぜかアップルジャックが人気あるみたいだけど、海外ではむしろ最低人気。AJが海外で嫌われるのはやっぱりレッドネック(無教養で粗野で貧乏な田舎者)のイメージがあるから(しゃべり方も南部訛りで田舎者丸出し)だろうとすぐわかるんだが、日本じゃどこが受けてるんだろう? 6頭の中じゃアップルジャックがいちばんまともでまじめそうだからかな? おたくの考えてることはわからん。
 私は誰かなー? トワイライトが私そっくりと書いたが、好きか嫌いかで言うといちばん嫌いな部類(笑)。私だったらなりたいものはやっぱりレインボーダッシュで、見ていていちばんおもしろいのはフラッターシャイと人格が変わったときのピンキー。ちなみにピンキーはいちばんのウザキャラで、仲間にもウザがられてるが、なぜか女児人気はいちばん高かったりする。単に女の子はピンクが好きだからかも。

ケモノ愛の話

 で、当然日本でもおたくどもに人気なのかと思ったら、ぜんぜんと言っていいほど受けてないのね。なんでかと思って2ちゃんのスレを覗いたら、「だって馬だしなあ」という人が大半らしい。動物に欲情する人を2ちゃんあたりでは「ケモナー」と呼んでるのだが、しょせんは特殊な趣味の人向けという認識らしい。バカか!!!
 では元祖ケモナーたる私がていねいに解説してやろう。まずなんでポニーなのかってことだが、それはもちろん西洋人のローティーンの女の子がいちばん欲しいペットはポニーだからである。たぶんこの辺でもう日本人は付いていけないんだろうな。馬キチの私にはわかりすぎるほどわかるってあたり、西洋かぶれが徹底しすぎていて自分でも恐ろしくなる。そういえばアンドレの娘のエミリーがちょうどその年頃なんだが、やはりポニーを買ってくれとせがまれて困っていた。というのも、いくら小さくても馬は馬だからポニーは高価だし、飼うにはもっとお金がかかるのだ。だからよほどのお嬢様か、よほどの田舎に住んでるのでない限り無理。だから代わりにおもちゃで我慢するというので、あのおもちゃがバカ売れしたわけ。
 それに日本のアニメは「大きなお友達」向けだから美少女ものばかりだが、本来子供向けのアニメは動物が主人公に決まってるじゃないか。ディズニーのネズミだってそうなんだし、ネズミよりはポニーのほうがよっぽどかわいいしねえ。私なんかむしろアニメなのに人間が主人公のほうがキモチ悪いと感じる。とにかく私は自分がもともと女の子嫌いだから、少女マンガにも日本のアニメにもなじめなかったが、主役がポニーなら大歓迎。ていうか、そもそもなんでずっとこのアニメを気にしていたかというと、私が知る限り世界で唯一の馬アニメだからだし。人間だったら許せないタイプのピンキーパイやラリティのようなキャラも、ポニーだと可愛く見える。と、ここまでは少女視点。

 次に大人視点だが、「すべての動物は性的だ」というのは以前どこかに書いた。これは名言だと思うのだが、中でも馬のエロスは群を抜いている。たとえば私は猫も好きだし、猫(大猫も含めて)ほど美しくてかわいらしい動物はいないと思うが、べつに猫には欲情しない(笑)。だけど雄馬なんかは存在そのものが性的で、高校生の時の私は本気で雄馬に恋していた。ランサーという名前の、金色のたてがみとしっぽを持つ栗毛の馬だったのだが、本当の一目惚れで、遠くから姿を見ただけで、好きな男の子を見た時のようにドキドキしたし、それこそ妄想の中では人間になったランサーとあれやこれやすることを夢見た。
 こういう妄想かき立てるのって、馬だけじゃない? 特に馬のお尻のエロさは、男も女も抵抗できないと思うのだがどうか? 足だってどんな美女より長くて細くてきれいだしねえ。ポニーはまあ足は太くて短いので私の性的嗜好の対象外だが、それはそれで幼児体型でそそられる人は多いはず。でも、このアニメの雄ポニーはなかなかイケメン揃いで、これならイケるかも。どんな美女だってあんななめらかな毛並みはしてないし、どんなマッチョだってあんな強靱な筋肉はないし、もとより人間なんかくらべものにならない。
 なのにその良さがわからない日本人ってバカ? と思ったが、要するに馬というものが身近にいないので知らない、イメージできないだけだろうと思う。私だって実際に馬を知らなければ(いや、そういう意味で知ってたわけじゃあないっす! あくまで妄想です!)馬に欲情することなんかなかったと思うもん。

 それで当然ながら、二次創作には露骨なエロも多い。オエ。でもわかるよ。だって馬ってかわいいしエロいもん。
 そういうポニーポルノやエロゲをいくつか見たが、意外なことにこれがけっこうイケる。私、これまでそのたぐいの薄い本とか興味を持ったこともないし、見ても笑っちゃうだけだったんだけど、ポニーなら使えるかも(笑)。それはやっぱり彼女らが元々エロチックで、なのに、女児向けアニメだから一切そういう表現ができない。その抑圧されたエロスがほとばしるところがいいんだろうと思う。ある種の神聖冒涜でもあるから、背徳の喜びも味わえるし。
 ちなみにメイン6の年齢設定は人間で言う17~19才ぐらいらしいので、セックスしてもぜんぜんおかしくないんですがね。ていうか、アメリカでこの年齢だったらボーイフレンドがいないほうがおかしいと思うのだが、誰も彼氏がいないのは、そんなことすると「大きなお友達」が発狂するからか?(笑) 笑い事じゃなくて、実際、過去にはポニーが人間みたいに振る舞ったりボーイフレンドを作ったりするシリーズもあったのだが、それはブロニーには大不評で、なかったことになってるらしい。
 あと、普段は裸の動物が服を着ると妙にエロっぽいのはなんでだろう?と昔から思っていたのだが、このポニーたちもそう。何かの扮装をするときや、正装するときだけは服を着るんだよね。

 ただ、ちょっとヤバい気がするのは、上に書いたように、こういう二次創作が異様に質が高いんだよね。つまり元が二次元だから、やろうと思えば限りなく本物に近い二次創作が作れるわけで、そうなると、本当のポニーが××されてるように見えるわけで、これってかなりヤバいかも。そういうヤバさを感じたのはブロニーを自嘲的に戯画化したアニメ“My Little Brony ”。おもちゃのトワイライトとピンキーが買われて家に着いた場面で、

ピンキー「ここが私たちの新しいおうちね!」
トワイライト「どんなかわいい女の子が買ってくれたのかしら? ブラシをかけてもらったり、いっしょにお茶会するのが待ち遠しいわ」

というような会話をしているところに、主題歌を歌う野太い声が聞こえてきて、2人が「Oh no! ブロニー!」と叫ぶのには笑ってしまった。それであとはポニーたちが口々にブロニーを罵ったり我が身の不運を嘆いたりするんだけど、なにしろおもちゃだから逃げることもできずされるがままなところが、なんかかわいそうすぎる。そして、テレビで番組が始まると、男がおもむろに棚から「懐中電灯」(だとポニーたちは思っている)を取り上げる場面ではこっちが「Oh no!」と叫んでしまった。(でも、コメント欄の「それ懐中電灯と違うって! 懐中電灯と違うから!」という切ないコメントにまた笑ってしまった。どう見ても、オ○ホです) ポニーで抜くな!
 でもある意味、それより強烈だったのは“My Little Dashie”という題の実写とアニメの合成の動画。これもものすごく技術レベルは高くて出来はいいのだが、段ボール箱に入って置き去りになっていたレインボーダッシュ(まだ子馬の頃)を拾った男が、彼女を育てる話。男は一度も顔を見せないんだが、ラスト、レインボーダッシュと別れるところで、彼女に「Dad」と呼ばせるあたりで、ゾゾ~! いや、これヤバいよ。ポニーと過ごした楽しかった日々の回想なんかするな~! これならポルノのほうがまだましだ。いい大人がこんな妄想していると考えただけでキモすぎ! 実はこれ有名なファン・フィクションらしくて、アニメ版もあるんだが。とりあえず、それでもレインボーダッシュはかわいいけどね。かわいいだけによけい男がキモい。

箱入りレインボーダッシュ。やべえ! かわいい。

言わずもがなの突っ込み

 この調子で書いてるときりがないのでそろそろ締めるが、あとは何かな? 突っ込みか。
 同じ動物同士なのに、ペットや家畜扱いされる動物がいる一方で、人間のように家に住んでしゃべる動物がいるという矛盾は、そもそもディズニーもそうだし、多くの動物アニメがそうだから、あえて突っ込むのはやめておく。
 むしろ擬人化されているように見えて、しっかり馬らしさを残しているところがうまいと思う(しゃれではない)。たとえば、馬の体では椅子には座れないはずだが、椅子はちゃんと干し草の山や寝椅子やクッションに変わってるし。
 蹄でものを持つのはあえて見過ごす。でも細かい作業をするときは口を使う方が多いみたい。これはリアル。馬の唇は象の鼻のようなもので、すごくよく動いて器用なのだ。かなり複雑なかんぬきも開けてしまうぐらい。ユニコーンはすべてを魔法で操るからそもそも手はいらないし。
 二足歩行を(めったに)しないところも気に入った。四つ足でポコポコ歩くからこそかわいいんだからね。私は昔から二足歩行する動物のアニメやマンガをかわいいと思ったことがない。

 ただどうしても気になって困るのは、3種のポニーの階級差。ユニコーンは都やお城に住んで、しゃれた職業について、明らかに貴族・上流階級っぽい位置付け。ペガサスはこちらも雲の上のきれいな都に住んで独自の文化を持ち、やはり特殊能力を活かした一種の特権階級扱い。そして頂点に立つのはユニコーンの角とペガサスの翼を持つアリコーン(最初は普通にユニコーンと呼ばれていたが、後からこういう呼称ができたらしい)。
 だけど、角も翼もない普通のアースポニーはいちばん数も多いのに、田舎に住んでもっぱら肉体労働に従事している平民扱い、っていう露骨な階級制度はなんなの? あまり子供にはふさわしくないんじゃないの? これがヨーロッパのアニメならまだ納得いくけど(階級制度が肌に染みついてる国だから)アメリカだし。
 いちおう公式ではアースポニーは自然に関わる仕事に就いてるということになってるが、それってどれも肉体労働で、つらい職業ばっかりじゃん! アップルジャックの家はリンゴ農家でいつも忙しく働いてるし、ピンキーの生家なんか採石場だし。(しかもまわりじゅう灰色で、いつも空がどんよりと暗い) これが現実だったら確実に革命が起こりそうだけどな。

 あと、トワイライトがプリンセスになったのはやっぱりどうしても納得がいかない。この世界のプリンセス(名前は王女だが、セレスティアもプリンセスだし、王の娘という意味ではなく王族に対する尊称らしい)は世襲ではなく、才能や実績で選ばれるらしい。だから、セレスティアの一番弟子で、実際に世界を救ったトワイライトがプリンセスになるのはいちおう納得が行くんだが、あれって彼女ひとりの力によるものではなく、6人全員が力を合わせたからだって、何度も言われてるじゃない。(実際には6つの魔法の宝石が合わさった、Elements of Harmonyというものの力で勝った) だったら、メイン6はみんな同格のはずなのに、なんでトワイライトだけがプリンセスに昇格するわけ? 彼女がリーダーだから? じゃあ、友達(これもこのアニメのメインテーマ)じゃなくて主従関係じゃない!
 とにかく副題もFriendship Is Magicだし、ことあるごとに友情を強調しているので、その「友達」がみんなトワイライトに頭を下げたり、敬称を使う(さすがにこれはトワイライトがやめさせた)のにはどっちらけだった。トワイライトの兄のシャイニングアーマー(城の親衛隊長をしている)もプリンセスと結婚しているし、やっぱり高貴な家柄なんだよね。それにくらべ、アップルジャックの兄は農耕馬で首にくびきを付けてるし、家族全員農夫だし。そういや、召使い(ベビードラゴンのスパイク。かわいらしいコミックリリーフなので、普通なら相棒とか友達とかペットのはずだが、トワイライトは完全に使用人扱いしている)がいるのもトワイライトだけだし、この階級差はちょっときつい。

 というところでおしまい。ちなみに『マイリトルポニー』は現在テレビ東京で再放送中。日本で放映されたのは第2シーズンまでだが、人気が出れば第3以降もやるかも。
 とにかく自分がまだ「女の子」だった頃のことを思い出して、ちょっとほろっとしたよ。女性にとってはそういう効能もあるね。あの頃の私はこういうアメリカのアニメやドラマにだまされて、文字通りBBF(best friend forever)の友情は永遠だと信じていた。実際は女の友情ほどもろくはかないものはなくて、バカやってるだけに見えた男の子の友情の方が長続きするんだけどね。と、それらしくご教訓で締めてみました。

Part2 Adventure Timeはこちら

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