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2013年4月30日 火曜日

映画評

『長ぐつをはいたネコ』
Puss in Boots (2011) Directed by Chris Miller

日本版ポスター 左がキティで、右がハンプティー

 かわいくてかっこよくておかしいプスが大好きなんだけど、マイク・マイヤーズ演じるシュレックがうざ過ぎるし、エディー・マーフィー演じるロバがうざ過ぎるし、おまけにキャメロン・ディアス演じるお姫様までうざいので、アニメ『シュレック』シリーズが見られない。しょうがないから、プスの登場場面以外、早回しで見ていた、という私みたいなファンは他にも大勢いたようで、プスを主人公にして作られたスピンオフ映画がこれ。

 私はアニメも洋物アニメもCGアニメも基本的に好きじゃないのだが、プスには惚れた! 理由は彼があまりにも猫らしい猫なこと。
 どこが猫らしいって、まずはセクシーなところ。マッチョなセックスアピールを売り物にしているのは、多分に声を担当しているアントニオ・バンデラスのイメージだが、実は実際の猫もそう。前に、「犬猫のはなし(主に猫)」の中で、雌猫の媚態がいかにエロいかについて話したが、雄のセックスアピールだって負けてない。それでアントニオ・バンデラスには何も感じない私も猫ならなんでもOKよ。
 でもしょせんは猫だから、いくらかっこ付けても、すぐにすっとぼけたおバカをやらかすところが、猫が尽きせぬ笑いを提供してくれる一因なのだが、そこも実にリアルだ。(これは人間の男にも言えるか?)
 それを言ったらあの「お目々うるうる」だって、猫の得意武器だしね。

 だいたいマンガに出てくる動物って、かなり擬人化され、デフォルメされていて、オリジナルの動物の面影なんてないに等しいものなのに、プスだけは非常にリアルなのも魅力のひとつ。(確かに犬猫は実際に飼っている人が多いので、リアルでないと共感が得られないという理由もある)
 そういえば、プスが猫らしくないのは「眉毛がある」というところだけだが、それはうまいこと「目の上の白い毛」のように偽装してあるので、そんなに違和感は感じない。しかもBDでよく見ると、それ以外に本物の眉毛(目の上にニョキニョキと飛び出している長い毛)もちゃんとあるのね。
 あと「親指が長すぎる」ってのもあるけど、まあそれぐらいは目をつぶろう。っていうか、そもそも親指があるのが変だが。ポリダクティル(多指症。猫にはそんなにめずらしくなくて、そういう品種もある)っぽいな。実際、ポリダクティルは余った指がはみ出して、ちょうど上のイラストみたいにミトンをはめたような手になるから。

 え? 猫がブーツ履いて後足で立って歩くのは擬人化じゃないのかって? あー、まあそうも言えるが、猫は現実にもよく二本足で立つしね。だって、こんな猫もいるぐらいだもの。

 というわけで、YouTubeで評判になったReal Puss in Bootsがこちら。(動画を埋め込もうとしたらなぜかエラーを吐いてしまうので、見たい人はリンク先のYouTubeでどうぞ。ブーツ履いたほうも関連動画で出てきます) この姿勢でまったく揺るがずにすっくと立ち続けるのだ。左がオリジナルで、右はそれに帽子とマントとサーベルを持たせ、ブーツを履かせた加工版だが、なんと本当に「長靴をはいた猫」そのものではないか。(映画の邦題は『長ぐつをはいたネコ』だが、一般的な童話の意味では、私的には違和感の少ない「長靴をはいた猫」を使わせてもらう)
 映画のプスも茶トラだし、まるでこの動画を参考にしたんじゃないかと思うぐらいそっくり。ちなみに猫の二足立ちのかわいさは、胴長のわりに短い手足と、細いなで肩と、ぽっこりしたおなかにあると思うのだが、映画のプスもまさにその体型。

プスとアントニオ・バンデラス

 プスの魅力のもうひとつの要因はやっぱり声を担当したアントニオ・バンデラス。というか、プスのキャラクター自体がアントニオ・バンデラスのイメージで作られているから、どっちが先かわからないんだけど。
 とりあえず、「長靴をはいた猫」を典型的ラテン系色男にしてしまうという発想が笑えるし、かわいらしい猫があの低音のダミ声でしゃべるというのも笑える。スペイン語訛りでしゃべるのもいいし、セリフにスペイン語がたくさん混じるのもなかなかセクシーでいい感じ。(もちろん世界でいちばん美しい言語は英語だが、外国語もたまに聞くと――特に異性のしゃべる外国語は――セクシーに聞こえるという法則がある)
 個人的にはバンデラスなんてぜんぜん好きじゃなかったって言うか、私はロバート・ロドリゲスの『デスペラード』で知ったのだが、この映画もバンデラス本人も思い切りバカにしていた。
 ただその後、タランティーノ制作の『フォー・ルームズ』のロドリゲスのエピソードで、めちゃめちゃ誇張された戯画的なラテン男を演じるのを見て大笑いし、なんとなくこの人の楽しみ方のツボがわかってきたというか。もうとっくに50才過ぎてるのに、喜々としてこんな役を引き受けるなんて、ネタ俳優としての自覚十分でなかなか好ましい。

 そこで映画評に行くが、監督は声優で『シュレック3』の監督もしているクリス・ミラー。制作にはギレルモ・デル・トロなんかも名を連ねていて、デル・トロは声の出演もしている。その他、声優陣にはシュレック関係者が大量出演。(おもしろいことに『シュレック』のキャラはプス以外ひとりも出演しない) なんかいい大人が大いに遊んでいる感じの、こういうノリは嫌いじゃない。
 映画は『シュレック』シリーズのプリークエル(前日談)にもなっていて、プスが現在のようなアウトローになった経緯と、そもそもブーツを履くようになったきっかけを描くというのも非常に興味深い。

 ただ、1回目に見たときの印象は、「なんか違う」というものだった。だいたい『長ぐつをはいたネコ』なのに、なんで「ジャックと豆の木」なの?(話のモチーフが「ジャックと豆の木」なのだ) なんか、「桃太郎」が主人公なのに、話は「浦島太郎」だったみたいな‥‥おまけに竜宮城へ行ってみたら、乙姫様はいなくて巨大ドジョウがこんにちはしたみたいな‥‥
 まあ、いろんな童話をごちゃまぜにしたところがもともと『シュレック』の売りだし、そもそもの最初からオリジナルの童話との共通点って長靴しかなかったけどね(笑)。ただ、いちおう主人公のシュレックはオリジナル・キャラ(原作は絵本)だからなんとかなってたが、今度はプスが主役っていうんだから、もう少しオリジナルの童話へのオマージュがあるかと思ってた。ブルーレイの特典のトリビアを見てたら、いちおう最初はそうだったらしいんだが、制作が進むにつれてどっかへ行っちゃったとか。う〜ん、なんかなー。というのも私は原作のプスのファンでもあるので。トロい人間のご主人様よりよっぽど頭が切れて如才ないあたりがかっこいいし。

 見てて気づいたんだが、プスのキャラクターってもう「長靴をはいた猫」というより完全に「怪傑ゾロ」だよね。アウトローだけど正義の味方ってところも、サーベルで刻むZならぬPの字も、ラテン系ってところも。まあアントニオ・バンデラスが当ててる時点でゾロ確定なんだが。(バンデラスは1998年の映画化でゾロを演じている) これを「長靴をはいた猫」と言い張るのはちょっと詐欺って感じも。
 これはやっぱり原作も舞台もアメリカ(っていうかメキシコ、っていうかスパゲッティ・ウエスタン)って点で私はちょっと不満。アメリカ映画だからしょうがないんだけどさ、オリジナルの長猫はいかにもヨーロッパという雰囲気だったのに。

 その手の突っ込みを入れるなら、なんで「ジャックと豆の木」にハンプティ・ダンプティやジャック&ジルが出てくるのかというのも言えそうだけど、これは最後に出てくるお母さんガチョウ(mother goose)つながりかな。(いずれもマザー・グースに出てくるキャラ)
 こいつらがほんの脇役というなら別に気にならないんだけど、それにしちゃ存在感ありすぎなのも違和感の原因。特にハンプティを演じたザック・ガリなんとかのウザさは特筆もの。まあ、このフィルムメイカーたちはウザいキャラクターが好きなのは『シュレック』を見てればよーくわかりますけども。だいたいなんで猫が卵とつるむ必要があるのよ!
 ジャック&ジルも悪役だから当然と言えば当然だが、それにしても醜すぎ怖すぎ。本来兄妹のはずなのに、ジャックが登場してすぐに「俺たちもそろそろ子供作ろうぜ」とか言い出すあたりのヤバさもあれだし。(コメンタリーでは、「この映画のジャックとジルは夫婦です」と取って付けたような言い訳をしている。ジルは多少大人なようで、ウリ坊を赤ちゃんに見立ててジャックをごまかす)
 そんな感じで、かんじんのプスの活躍を楽しみにしていたファンにはちょっと物足りない気もした。

 でも何度か見ているうちに考えが変わってきた。何度も見て、ディテールを楽しめるようになってくると、やっぱりよくできてるわ、これ。というので、よくできてると思うところを挙げる。

その1 やっぱりプスはかわいい。特に今回は子猫時代のプスが見られるという、ファンにとってはたまらないストーリー。それでやっぱりこれがかわいー!!!

 もちろんプスの子供時代だから、単なるかわいい子猫ちゃんではないのだが、この小生意気なところがいかにも猫らしくてたまらなくかわいい。
 ただ、子猫の頃のプスは無口という設定で(たまに「ミン!」と鳴くだけでしゃべらない)、ハンプティですらプスがしゃべれるとは知らなかったぐらいなのに、大人になったらなんであんな軽い男になっちまったんだ?(笑) むしろ無口なままの方がハードボイルドでかっこいいのに。まあ、あの顔であの声でしゃべり始めるのがおかしいんだけどさ。

夢を語り合う少年時代のプスとハンプティ。おなかが! あんよが!

その2 プスとハンプティの友情物語がけっこう泣かせる。(あ、ネタバレ全開です)
 プスはサン・リカルドの町(今資料を見てたらスペインの町って書いてあるけど、見た目はやっぱりメキシコに見える)で孤児院を経営する、心優しい女性イメルダに拾われた捨て猫。プスはこの孤児院で変わり者の卵のハンプティ・ダンプティと出会って仲良くなり、二人で魔法の豆を見つけ、天空の巨人の城にいる金の卵を産むガチョウを手に入れることを夢見る。
 だけど、ちょっとした運命の行き違いで、プスは町のコマンダンテ(警察署長みたいなもん)のお母さんの命を助けて、ブーツをもらって町のヒーローになり、それをねたんでひがんだハンプティは犯罪者に転落していく。ハンプティは一計を案じてプスをだまして銀行強盗に巻き込もうとするが、コマンダンテに追われてハンプティは捕まり、ハンプティの姦計に腹を立てたプスは彼を見捨てて、犯罪者の汚名を着たまま逃亡生活に入る。
 しかし成長したプスのもとへ再びハンプティが現れて、雌猫のキティ・ソフトポーズをまじえた3人で、金の卵を狙おうと持ちかけるのが、この映画の主筋。
 彼らはまんまと金のガチョウを手に入れるが、結局これは、プスや町の人々に恨みを抱いたハンプティが仕掛けた罠で、プスは投獄されてしまう。しかしプスはサン・リカルドの町を「金のガチョウを守る怪物」から守るために脱獄し、ハンプティにも手伝わせる。それでラスト、町を救うかハンプティの命を救うかという選択を迫られたとき、ハンプティは「どうせおまえには(親友を見殺しにして町を救うことは)できないだろうから」と言って、自ら死を選ぶ。

 これはファミリー向けの動物アニメとは思えないほどシリアスな話で、普通に青春映画にもなりそう。私は真っ先に『アキラ』(アニメ版のほう)を思い浮かべたけどね。
 孤児院育ちの親友同士というのが、金田と鉄雄といっしょだし、いじめられっ子だったハンプティをプスがかばってやったのが友情の始まりというのもいっしょだし、いつも金田の影にいるのをひがんだ鉄雄が悪の道に落ちてしまうのも、まるきりいっしょで、まさかこれって『アキラ』のパロディ? あまりにも世界が違いすぎるのでまさかと思うが、デル・トロなんかがからんでるしねえ。(日本アニメとかが好きなおたくらしい)
 とにかくこれにはけっこう泣かされた。特に二度もこっぴどく裏切られてもハンプティを見捨てないプスがいじらしくて。
 だからラストには呆然とした。っていうか、あれってハンプティ死んだんだよね? ハンプティが落下したあと、岩の上には割れた卵の殻が散らばり、金の卵が落ちている。それをマザーグースがくわえて飛んでいくのだが、プスの悲しみようを見るとどう考えても死んだとしか。卵が死ぬってどういうことかわかんないけれども(笑)。う〜ん、ヒナが孵らなければ卵は死んでるってことじゃないのか? でもハンプティ・ダンプティが孵ったら何が生まれるんだ?(笑)
 とりあえず、卵の中身をぶちまけたりしないのはお子様に配慮、金の卵は内面はheart of goldの持ち主だったというメタファーだろう。エンドロールのミュージカルで、元通りになったハンプティがガチョウたちと戯れてる場面があるが、これもお子様への配慮としか。だって、「元には戻らない」って元歌でもしっかり歌われてるしねえ。
 とにかく、それまでうっとうしいと思っていたハンプティも、この最後を見て少し見直した。とりあえず、造形は見事だし、顔の表情とかも自然すぎて気持ち悪いぐらいだしね。それでもなんで卵でなくちゃならないのか疑問だけど。やっぱり向こうの子供には人気あるのかなー、ハンプティ・ダンプティ。

その3 それにやっぱり笑えるし。
 『シュレック』シリーズがいまいちだと思うのは、ギャグがあまりにもベタすぎて恥ずかしいところなんだが、それはこの映画にも言える。だけど、ブッサイクなオーガやロバが言うジョークと、かわいい猫ちゃんが言うジョークとでは印象は大違い。まあ、なんだってイケメンなら許されるんだが(笑)。
 よって、ベタなギャグも猫なら許す。あのレーザーポインターのやつとか。これは『シュレック』でもそうだったが、ゲロとかウンコとかを喜んでネタにする神経はわからんが。猫が毛玉吐くの、そんなにおかしいか? 「屈辱のダンス」も猫飼ったことのある人間なら笑うどころか悲鳴を上げるはず。(猫飼ってない人のために付け加えると、ウンコの切れが悪くてお尻にくっついてしまったときに、お尻をズルズル引きずって歩いて、じゅうたんにこすり付けて落とそうとするときのポーズ)
 個人的にツボにはまったのは、ハンプティの飛行実験で、「それじゃあ3つ数えたら押してくれ」とでも言うところを、「それじゃあ」というところで押し出してしまうところ。しかもこれを二度繰り返すあたりもベタだけど、なんかおかしくておかしくてしょうがない。

その4 歌やダンスが楽しいし。
 これは『シュレック』でも売りだったミュージカルシーンには期待していた。登場人物がカラオケの乗りで歌って踊るんだが、すでにプスはリッキー・マーティンの“Livin' La Vida Loca”を熱演してくれたしね。ラテン系という点ではぴったりだったんだが、おかげでバンデラスは音痴ってことがわかってしまったけど。もっとも、『シュレック』のキャストは一見うまそうなエディー・マーフィーも含めて全員音痴だけど、もしかしてあれはわざと音痴に歌ってるのか? とにかくその下手くそなところも含めて楽しかった。
 今回は当然ながらラテン音楽が中心となると思ってそれにも期待してた。ああ、ラテンはかなり好きです。基本的にリズムがかっこいい音楽は全部好きなんで。“Livin' La Vida Loca”も実は好きでシングル持ってるし。そしたら音楽は確かにすべてラテンかラテン調だったが、私が想像していたよりはかなり地味っていうか渋い選曲だったな。それでも猫たちのダンスシーンは楽しい。あの異常な運動神経を持つ猫がダンスがうまいというのは、ペンギンと違ってすごく納得だし(笑)、今回はバンデラスは歌わないし(笑)。
 フラメンコによるダンス・バトルは圧巻だったし、エンディングのレディ・ガガも最初はつまんない曲だと思ったが、猫が踊ってるのを見ればまあいいやっていう気になる。

 この調子でやっていくとまた長くなっちゃうので、適当なところで締めよう。その前に名前が出なかったキャラクターについて。
 ヒロインのキティ・ソフトポーズは、その名の通り、爪を抜かれた猫。これが彼女の特技(スリ)のミソでもあり、トラウマにもなっているらしい。抜爪って今じゃ法律で禁止されてるんじゃなかったっけ? 猫好きには想像するだけでも痛ましくて、なんでそんな設定にしたのか理解できない。
 茶トラのプスに対して、キティは黒猫という設定だけど、胸や口のまわりや手の先が白いから、いわゆるタキシード猫だね。それにしちゃなんで白いところをくっきり色分けしないでグラデーションにしたんだろう? はっきり黒白にしたほうがかわいいのに。
 声を演じたのはメキシコ人のサルマ・ハエックで、『デスペラード』のヒロインでもあったし、アントニオ・バンデラスとはもう何度も共演している昔なじみ。当然息もぴったりだし、声もエロくてよろしい。キャラクター的にも猫的にも、もっと色っぽいからみがあっても良かったと思うけどね。それはやっぱりファミリー向けじゃ無理か。しかしこの人もけっこうな年だろうに、アントニオ・バンデラスがすっかりおじいさんになったのに彼女はいまだにきれいなので驚いた。

 金の卵を産むガチョウは、実はガチョウのヒナ。ヒナが卵を産むの?という突っ込みは言うだけむだだから言わないけど。ちょっとトゥイーティーに似た頭でっかちのヒヨコだが、目がロンパリなのがバカっぽくかわいい。
 そして彼女のお母さんの巨大ガチョウがラスボス。なんでガチョウが?という突っ込みもやめておく。ガチョウだからめちゃくちゃ緊張感ないけど。

 あとなんかあったっけ? そうそう、『シュレック』は随所にいろんな映画のパロディが詰め込まれてて楽しいのだが、この映画は何があったっけ? すぐにわかる『ファイトクラブ』と、マカロニ・ウエスタン以外はあまり気づかなかったな。『ファイトクラブ』はフラッシュバックのシーンのパロディが大笑いした。あの猫のクラブも、わざとらしいスプリットスクリーンも何かのパロディっぽいがわからない。

 結論。やっぱり楽しかった。少なくとも『シュレック』より断然楽しいしかわいいので猫好きには絶対おすすめ。惜しむらくはもう少し話に脈絡持たせてほしかったなー。エピソードやキャラクターは全部猫つながりで統一するとかさ。

おまけ1 『長ぐつをはいたネコ』の謎

謎1。雲の上の世界は「空気が薄いので」ヘリウムガス吸ったみたいなキイキイ声になってしまうという設定なのだが、城の中では正常に戻り、城から出ても二度と変にならなかった。

謎2。金の卵は重すぎて持ち上げられないから、代わりにガチョウを連れて行ったはずなのに、その後はみんな金の卵を軽々と持っていて、投げたりもしている。

謎3。猫酒場の猫たちは全員四つ足で、しゃべる猫もいないみたい。なのにプスとキティだけは二本足で立って歩き、靴をはいて、人語をしゃべる。(急ぐときだけは四つ足になる) こいつらは化け猫か? それともこの世界には(ナルニアみたいに)「もの言うけもの」と普通のけものがいるのか?

こんな大きな不統一に気付かないはずがないから、設定なんて適当なんだろうなというのがよくわかる。

おまけ2 『悪の三銃士』(Three Diablos)

 
プスと悪ガキ3匹。右の子が寄り目なのは上のハエを見てるから。
3匹いると必ず1匹はトロくて間抜けな奴がいるってのも定番。

 『長ぐつをはいたネコ』自体がスピンオフなんだが、ブルーレイにはさらにそのスピンオフである短編“Three Diablos”(『3匹の悪魔』 邦題はどうもぴんとこない)が付いている。こちらは猫と人間しか出ないし、お話も単純な勧善懲悪だし(悪いフランス人の悪の手先として使われていた3匹の子猫をプスが更生させて、力を合わせて悪人を倒す)、純粋に楽しめた。
 もちろん子猫たちの悪ガキぶりと、あどけなさがたまらないのだが、気になったことがひとつだけ。プスはいつもふわふわの毛なのに、なんで子猫たちは陶器の猫みたいにツルツルなんだ? どアップでようやく毛が生えていることがわかる程度。単にCG制作費をケチっただけだと思うが。
 前代未聞の「お目々うるうる」勝負も見られます。ところであれって、Pitty Kitty(60年代にアメリカではやった、Gigというイラストレーターの描く猫の絵)のパロディだったのね。

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