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2012年8月7日 火曜日

スポーツ

ロンドン・オリンピック
サッカー男子 準々決勝 日本=エジプト戦
(マンチェスター、オールド・トラフォード)

ごっつんこして痛むエジプト選手2人を尻目に先制シュートを叩き込む永井

 そして迎えた決勝トーナメント第1戦。しかし、香川より先にこの人たちがオールド・トラフォードに立つなんて(ここはMan-Uの本拠地)、誰に想像できただろう?

 日本はスペイン戦と同じ布陣で、やっぱりこれがベストメンバーだよね。そのせいか最初からエジプトを攻め立て、前半14分という早い時間に永井が先制ゴール。清武が空いたところにパスを出して、そこをめがけて永井と、キーパーとDFの3人が走り込んできたんだけど、一瞬のことなんで何がどうなったのかよくわからなかった。どうやらキーパーとDFがボールと永井に気を取られて正面衝突したらしく、2人が倒れていて、永井もそれに巻き込まれたように見えたんだけど、一瞬の差で抜け出して、それでもかなり体勢を崩していたにもかかわらず、落ち着いて無人のゴールにボールを叩き込んだ。
 これまでの日本の試合を見ていれば、永井が決め手ということは明らかで、当然どこのチームも永井封じの策を練ってきただろうが、これだけ速すぎると本当にどうやっても捕まえられないという感じ。だって、常識で言って絶対届かないという所にボールが来ても、しっかり追いつけるんだもん。
 とりあえず、日本としては上々の滑り出しで、「やった! 勝った!」と思ったのもつかの間。ワンテンポ遅れて走り込んできた大きなエジプト選手が、すごい勢いで永井に激突。びっこを引いて立ち上がった永井は、それでも声援には応えていたから大丈夫なのかと思ったら、結局そのまま倒れて担架で運び出され、退場するために。
 ひでー! あれ、明らかなアフターチャージでしょ! 一発レッドのケースでしょ! おまけに大事な準決勝控えて、エースをこわされるって、とうとう日本にも逆風が吹き始めたか? と、テレビの解説が何も言わないので私はひとりで騒いでいた。
 そしたら前半41分、永井の代わりに入った齋藤が、後ろから倒されてエジプトにレッドカード。まあ、サッカーにはありがちな帳尻合わせってやつですか。永井へのチャージは、永井が点取ったから見逃されたんだろうけど、あの時点では主審は永井があれほど重傷とは気付かなかったんだろう。ところが、今大会の注目選手のひとりが故障退場するほどのファウルだったんで、しょうがないので齋藤で帳尻合わせ。はっきりいって、齋藤が役に立ったのはこれぐらいだったので、良かったっていうのかなんていうのか。
 おかげでスペイン戦に続き、日本はまたも10人の相手と戦うことに。まあ、それでも永井は少なくとも2人分の活躍してたからあいこかな。

ヘディングを決めた吉田に駆け寄る鈴木大輔。
しかしブログにも書いてたが、マジで香川より先にここでゴールしたのか。
こうなると吉田がやけにかっこよく見えてくるから不思議(笑)。

 永井が退場したあとの日本はかなり攻め込まれて危ない場面が何度もあった。永井の前線からの守備がないだけで、こんなに違うのか。いつもながらのDF陣の好守備でしのいだけど。
 後半に入って、エジプトも疲れてきたけど、日本も攻めあぐねて、しかも後半19分で今度は東が自分で足を痛めて酒井高徳に交替。日本の2人が故障で交替し、敵がレッドで1人少ない状況って、スペイン戦とまったく同じ。
 これはこのまま1-0で行くのかなと思っていたら、エジプトが自滅しだした。後半36分には3人の交替枠を使いきっているのにエジプトの選手が足を痛めてピッチに戻れず、エジプトはとうとう9人に。その間に、吉田と大津が1点ずつ決めて、エジプトはもはや戦意喪失のまま試合終了。

 うーむ、結果は大勝だが、最後の方はなんかグズグズの試合だったな。何よりこの時期に永井と東の故障はめちゃくちゃ痛いし。
 ただ、中2日の連続で交替選手も7人しかいないという過酷な試合日程では、こういうことも大いにあり得る。ここから先は文字通り、どっちが先に倒れるかというサバイバルだな。しかし、永井はあんなむちゃなタックルされなければ壊れるような選手じゃなかったのに、本当にくやしい。
 それでふと思い出したが、エジプトは今年2月、試合後サポーター同士の乱闘で74人死亡、1000人怪我という、前代未聞の悲劇が起きたばかりだった。アジアもひどいが、さすがに死者はめったに出ないもんな。たかがサッカーで殺し合いする国民なんだから、この程度ですんで良かったと思うべきか? (選手の名誉のために言っておくと、この乱闘に選手は加わってはいなかった)
 殺し合いと言えば、前回の対戦相手のホンジュラスは、エルサルバドルとの「サッカー戦争」で、サッカー史に汚点を残す国。(1969年のワールドカップ予選がきっかけのひとつとなって、両国の外交関係が悪化し、戦争に突入した) なんか恐ろしい国とばかりやってる! ていうか、振り返ってみるとGLのD組ってまさに「死の組」だったのによく日本は首位通過できたな。
 エジプトの乱闘のニュースの中で、選手の言葉として「サッカーではなく、戦争だ。目の前で人々が死んでいる」というセリフが伝えられたが、マジで戦争じゃん! この人たちにとっては、マジでサッカーは生きるか死ぬかの戦いなんだな。両国とも国内の政情不安もあるみたいだし、そんな状態でサッカーやってる人たちに、平和な日本で見るからに甘やかされて育ったお坊ちゃん揃いの日本が勝っちゃっていいのだろうか?と、変な罪悪感さえ感じる。(でもやっぱりサッカーごときで死ぬのはバカだけど)
 でもどんな状況でも勝ちきるのが今のU-23の強さ。このタフさとねばり強さはほめられていい。永井が次の試合に出られるかだけが心配だけど。

 それにしても、44年ぶりのベスト4‥‥44年前の釜本の銅メダル覚えてるよ。その記憶があるから、オリンピックのメダルぐらいいつでも取れるような気でいたけど、44年もたっちゃったなんて‥‥

よくある光景だけど対照的な試合後の勝者と敗者。
大津ってまた泣いてたんだって?

余談1

 ちょっとおもしろかったのは観客の反応。オールド・トラフォードがほぼ満員、ということは7万人近いお客さんが入ったということにまずびっくり。もしかして前売り券買った時点では、スペイン戦が見られると期待してたのかもしれないけど。しかもこの人たちの多くがMan-Uファンということは、サッカーをよく知ってる人たち。これはどの会場でも感じたな。悪いプレーやあやしい判定にはすぐにブーイングするし、逆に好プレイにはどっちのチームでも喝采を送る。
 それで見てて感じたのは、当たり前だけど、イギリス人は息もつかせぬ攻撃的なプレイが好き。逆に消極的な守り主体のプレイにはブーイング。DFが好プレイしたときはもちろん拍手するけど。
 とにかくイギリス人は永井大好きというのはよくわかりました。これは下手すると、このままプレミアに拉致されるというケースもありだな。
 そのせいか、永井が退場したあとはシーンとしてしまった。確かにあまりおもしろみのない展開だったけど、7万人がすべて沈黙しているというのも、初めて見た異様な光景。普通、日本代表戦だと、(たとえ日本がものすごくヘボい試合しても)、応援団がずっとチャント歌ったり、太鼓たたいたりしてるから、沈黙ってないものね。あの応援団、今回はチケット取れなかったんだろうか? 7万人の中では聞こえない可能性もありだが、あのシーンとしたときも聞こえなかったもんね。
 まあ、でももうすぐ香川が来るせいか、どっちかというと日本びいきを感じたよ。ネトウヨは反日というと韓国とオーストラリアしか目にないようだが、イギリスの反日感情なんてすごいのに。
 今さらながらだけど、ここに香川がいたらどんなにか盛り上がっただろうに。Man-Uとしても、日本への売り込みという宣伝効果を考えたら、香川出した方が絶対儲かったのにバカだね。ていうか、日本がここまで来るなんて誰も想像しなかったけど。

 ちなみに、リードした側がボールをキープして時間稼ぎに入るのがいちばん嫌いらしくてものすごいブーイング。戦法としては当然だが、確かに相手チームから見れば、反撃のチャンスを奪われるひどい仕打ちなわけで、これが嫌われるのは納得。日本は男子も女子もこれをやられているが、ブーイングされる側にまわったほうがはるかにいいので無問題。だいたいこれでブーイングされるってのは勝者の証明だし。
 でも私は見てなかったんだが、後半、鈴木大輔なんて、ブーイングの圧力に耐えきれなくて、ボールを前線に蹴り出して怒られたんだって。以外と気が弱いところがかわいい。

余談2

 この試合でミソ付けちゃったのが宇佐美。3点差がついたところで、清武を休ませるために交替したのだが、過酷な連戦で、レギュラー選手は顔には出さなくてもみんな疲れ切ってるんだから、途中から出てきた控え選手は人一倍がんばらねばならない立場なのに、チンタラ気のない守備して、かんじんの攻撃も不発ではねえ。
 特に宇佐美の評判を落としたのはゴール前のプレイで、DFにはさまれてスペースがないのに足元にパスを要求し、パスが来ないのを見ると、日本のチャンスは続いているのに「チェッ」というジェスチャーをして、くるっと後ろを向いてしまった。ところが振り向いたとき目の前にボールが落ちたのに、不意をつかれてただ突っ立って見てるだけ。後ろから酒井高徳が猛然と突っ込んでシュートしたが間に合わなかった。
 あれは仲間の視線が相当痛かったはず。しかもテレビでもちょうど宇佐美中心のアップで映されちゃったから、誰の目にも感じ悪いという印象を与えてしまった。あと、宇佐美がドリブルで仕掛けてシュートを外したところで試合終了の笛が鳴ったのだが、通常なら「日本44年ぶりの準決勝進出!」で感動の場面になるはずが、仏頂面の宇佐美の顔がどアップにされてしまった。シュート外してくやしかったのはわかるが、タイミング悪すぎ。ついでに普通の顔してても「ふて腐れてる」と言われてしまう顔つきも損してる。 

 なんで宇佐美を気にしているかというと、好きなわけではなく、(むしろ宇佐美や齋藤みたいな軽いタイプのドリブラーは嫌いというのは前から言ってる。好きなのは永井みたいな重戦車みたいなフォワード。重戦車にしちゃ速すぎるが)、かといって叩くつもりではなく、彼を見ていると、なんか学生を見てるみたいな気になって、変な職業意識が頭をもたげてしまうからだ。
 私は商売柄、ちょうどこの世代の男の子たち(や女の子たち)を大量に見ていて、そのせいか、どの子も身近に「いるいる! こういうやつ!」って感じがするんだよね。
 ダメ学生ほど負のスパイラルに陥ってしまうケースが多くて、「あんた、頭も悪いし、顔も悪いし、なんにもいいところがないんだから、せめて性格ぐらい良くないと誰にも愛されないよ」と言いたくなるような(もちろん、さすがに口に出しては言わない)学生ってよくいるんだ。もちろん宇佐美は少なくともサッカーが上手いという長所があるからダメ学生といっしょにするのはひどいけど、そういう人間に限って、唯一上手くできることが上手く行かなくなると、ひどい視野狭窄に陥って壁にぶち当たっちゃうものなんだよね。
 あと、「見た目が暗いのは、どんな世界でもなんの得にもならないから、せめて上辺だけでも明るいふりをしなさい」というのも学生によく言うんだけど、この子もドヨーンと暗いなあ。
 とにかくこういう挫折をかえってバネにして一歩上の段階に上がるか、逆にこのままつぶれるかはあくまで本人次第。こういう一見突っ張った子のほうが、実は根は素直で、一発ガツンと言われることで変わったりもするんだけど、宇佐美は言われてないわけないしなあ。

おまけ

イギリス敗退

PK戦に負けた英国チーム。
ユニオンジャックをあしらったこのユニフォームも初めて見たときはかっこいいと思ったんだけどねえ。

 えええええー!というわけで、準々決勝で韓国と対戦した英国はまさかの敗退。しかも、またもPK戦で! いつもいつもこれで負けるんだから、PKの練習ぐらいしとけ! ってか、どうすれば韓国に負けられるの? わけわかんない! ていうか、ヨーロッパで唯一決勝トーナメントに勝ち進んだのは英国だけだったのに、早くもヨーロッパ勢全滅かよ? 地元なのになんで? 

 これまでは仕事の忙しさや眠さで見れなかったが、決勝トーナメントからは本気出すつもりだった私は、英国の試合は無理しても全部見るつもりだった。だから、3時に目覚ましかけていったん寝たんだが、何をどう間違えたか午後3時にセットしちゃって、寝過ごしたー! それであわてて結果を見たらこうだったわけ。でも、見てたらもっと腹立ったし、「私の睡眠時間を返して!」ってなったはずだから、寝過ごして正解か。
 ハイライトの動画も見たが、どっちも下手くそとしか。でもトータルすると韓国の方が多少ましだったらしい。英国はパスも通らないし、連係ゼロだったとか。パスがまわらないから、ロングボールを放り込むだけ。試合中も、自国に対するブーイングがすごかったとか。
 ここにスコットランド人選手がいれば、「急造の混成チームなんでモニョモニョ‥‥」という言い訳もできたけど、結局ほとんどイングランドだからそれも言えない。ここにユーロに出た選手がもっといればとも思うが、もう言うだけむだなぐらいひどかったね。

結論

イギリス人は団体競技向いてない。

 これはほんと。サッカー発祥の地ではあるけれど、もともとこういうのが苦手な奴らにチームワークを教えようとして考案された競技だから。イギリス人ほどの個人主義者はあまりいないってのは案外知られてない。

イギリス・サッカー界はオリンピックに関心ない。

っていうのも言えるか。他の競技はしっかり強化してはっきり結果出してるし。

 とりあえず、イギリス終了。やっぱり日本に期待しよう。

おまけその2

なでしこ、フランスに勝利 決勝へ

 男子同様、勝ち進んでいるのにこれまで無視されていたなでしこJapanについても。さすがにここまで来たら見てあげようと思って、昨夜はなでしこ対フランス戦を見ていた。
 前にも書いたが、私はなでしこが嫌いなわけじゃないが、サッカーとはまったく別の種目だと思ってる。だから悪いけど、別の種目を見る程度の情熱しか持てないのよ。日本が強いから応援するなんて気はまったくないし。

 そういえば、こないだ同世代のおっさんたちと飲んでいてオリンピックの話題になったけど、最近のテレビって日本選手がメダル取った種目の、日本選手しか報道しないのってどういうわけ? 近年の日本のテレビの「バカ箱」(イギリスではテレビのことをスラングでこう呼ぶ)化は目に余るけど、スポーツにもすっかりそれが浸透しているみたい。昔はオリンピックといえば、少なくともNHKは、予選からすべての選手を平等に映したものだし、どうでもいい日本選手ばかり映して、かんじんの金メダリストを無視するなんてありえなかったけど。ちぇっ、せっかくイギリスが破竹の勢いでメダル取ってるっていうのに、それがちっとも見れないなんて!
 要するに、テレビ局としてはスポーツ・ファンやオリンピック・ファンはまったく視聴者に想定してないのね。単に話題だからちょっと騒いでみたいだけのバカしか見てないと決めつけてる。サッカーはたまたま強いから騒いでるけど、これっていつぞやのソフトボールと同じことになるような‥‥ 

 いきなりサッカーじゃないって、ひどい決めつけ方に見えるかもしれないけど、やっぱりサッカーみたいにスピードや体力や体格がものを言う競技で、男女をくらべるほうが無理でしょう。男子とやったらU-15にも負けるっていうけど、それは男女の体力差を考えたら当然の話で。
 今日の試合もなんかグダグダだったけど、男子と同じ長さの試合を、男子と同じペースでやっていることを考えたら、それでも超人的な努力をしてるんだってことはわかる。ただ、やっぱり下手だったなあ(苦笑)。フランスなんか目の前のゴールに入れるだけのPKで枠を外してる始末だし。
 でも、なでしこにもまだ神風が吹いてることはよくわかった。あのPK入ってたらおそらく負けてたし。願わくはこの幸運が今夜の男子にもお裾分けされますように。

おまけその3

イギリスに修学旅行に来た高校生、オールド・トラフォードのピッチに立って大感激の図

 サッカー男子について、大笑いしてしまった画像がこれ。これ、フォトショとかじゃなく何も作ってません。とにかく永井のこの顔、この格好、この体型、この姿勢! でかいリュックにチョッキ(笑)、ジャージのズボンと、上のキャプション通り、部活帰りの田舎の高校生にしか見えない。この人、本気で大学出てるって言ったら、イギリス人はたまげるよ。私はこういう大学生いっぱい見てるから驚かないけど。
 さらにその横の齋藤に至っては中学生にしか見えないが、中学生みたいに見える高校生もたくさんいるから、これも驚かない。他の2人は高校生にしちゃちょっと老けてるが、これぐらい老けて見える高校生もたくさんいるのでやっぱり驚かない。

 驚くのはこの人たちがオリンピックの日本代表で、おまけにここでゴールを奪ったってことだけ。いろいろ考えさせられる写真である。

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