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2011年1月29日 土曜日

スポーツ

サッカー アジアカップ決勝
日本−オーストラリア

試合前

 うーん、あと10時間かー。ドキドキするなー。と、めいっぱい楽しめるのがこういうトーナメント戦の良さですね。しかし、開始前は「たかがアジア杯」とバカにしていた(私ばかりじゃなく、日本のファンの多くが)はずが、どうしてこうなった?
 やっぱり日本が勝ち進んできたからだなあ。こうなると私も立派な愛国者?

 いや、実際のところ、私はワールドカップの興奮がまだ冷めないので、なんとなくあの延長みたいな気分で見ている。ワールドカップは4年に一度とはいえ、開始前半年、開始後半年の1年間はワールドカップで騒げるし。
 特に今年(いや、去年か)は、かんじんのワールドカップ開催期間中、私は病気で寝たきりだったので、よけい埋め合わせをしたい気分。普段の年なら日記だってあれの10倍書けたのに、それも不完全燃焼だったから、今ここで書いてる感じがする。あと、私がここまで日本代表にのめり込んだのも、ワールドカップで期待のイングランドがまるでダメだった反動もある。

韓国代表の「差別」事件

 なんかえらい騒ぎになってしまったので、いちおう経緯だけでも。
 きっかけは韓国代表のキ・ソンヨンが、ゴール後のパフォーマンスでサルのまねをしたこと。見てる方は誰ひとり気づかない、気づいた人でもそれが日本人に向けられたものだなんて思いもしないレベルのものだったのだが、試合後のインタビューでキが「観客席の旭日旗を見て、日本への怒りに駆られてやった」と発言したために、嫌漢や右翼が「人種差別だ!」と逆上、抗議騒ぎになった。
 それであせったのか、キは突然言い分を変え、「あれは日本人に向けてやったパフォーマンスではなく、自分がスコットランドのセルティックでプレイしていて受けた差別に対する抗議のつもりだった」と言い始めた。いきなりずっと前の出来事を、まるで関係のない舞台で言い出されて、今度はスコットランド側が激怒。
 というのは、そもそもThe Sun(英国の東スポ)インターネット版を読んで書いてるから、これもどこまで本当かわからないが、少なくともキ・ソンヨンの発言に関しては正しいはず。

 私はもちろん、最初は両方(キも騒いでる日本人も)まとめてせせら笑っていた。自分が猿と呼ばれたから猿の真似して抗議するってのがそもそも意味わからないし、黒人が黒人に「ニガー」と呼ばれて怒ってたら、呼んだ方も呼ばれたほうも笑いものだからね。だいたい、こいつら「人種差別」の意味もわかってない。逆差別っていうんならまだわかるけど、日本人が韓国人に差別されたって訴えても苦笑いされるだけ。
 と、余裕で笑って見ていたのだが、スコットランドを引き合いに出されると‥‥どうやら私を怒らせてしまったようだな(笑)。なにしろ昨年の旅行以来(っていうか、そのはるか以前からだが、あれからよけい)、私は大のスコットランド愛国党員になったので、これは見過ごしにできない。まあ、あっちのフーリガンにはそういう悪質なレイシストもいるのは事実だが、まるで関係ねーだろ!
 だいたい、「実は会場に旭日旗なんかなかった」とか、「セルティックではサルと呼ばれたんじゃなく、犬(韓国人は犬を食うというので)で愚弄された」とかいう話も出てきて、どうやらすべてはキ・ソンヨンの脳内だけの出来事だった模様。
 推測するに、日本に負けてイライラしてたので、ついいきがって愛国者を気取ってみたところ、韓国内でも評判悪かったし、下手すると懲罰食らうというので、あわててスコットランドに転嫁してみたところ、寝た犬のしっぽを踏んづけてしまったということか。どっちにしろ、これ人種問題うんぬんというより、ただのお調子者がドジ踏んだだけの話。
 いつも言うように、サッカー選手なんて基本的におつむが足りないんだから、一挙一動が世界から注目されてるこういう舞台では、羽目を外さないように誰かが釘を刺しておくべき。韓国だけじゃなく、日本も要注意よ。

 とか言う私だって、本来、日韓どころじゃない犬猿の仲の(ただの慣用句なのにここに犬猿とか書くと差別用語みたいだな)、イングランドとスコットランドの両方を応援しているというだけでも矛盾の塊なので、あまり人のことは言えないが。しかし、韓国のこんなのぐらいで頭に血が上ってる人は、ヨーロッパに生まれたら生きていけないよ。
 さいわい日本は島国で周囲から隔離されてるが、あちらは全部が地続きの隣同士で、まわり中ぜんぶ敵という状態で有史以来角突き合わせてるんだから。イギリスは島国で周囲から隔離されてるところは日本といっしょだが、その代わりに国内でいがみ合ってるし。
 まったくケンカはピッチの中だけにしてくれよ。ピッチの中でもケンカはやめてほしいが。

日本代表のユニフォームについて

 これは前から思ってるんだが、これまで書くチャンスがなかったので。
 「なんで日本のユニフォームは(日の丸の)赤じゃないの?」っていうのが、外国人にいちばん多く訊かれる質問。私もなんでなのとは思うが(なんとなく習慣でそうなっただけで、定説はないらしい)、赤いユニフォームは多すぎるので、まあいいかと思ってる。
 でもそれより、日本のエンブレムは八咫烏(ヤタガラス)なので、いっそカラスにちなんでユニフォームも黒にしたらどうか? 黒いユニなんてサッカーではめずらしいし、オールブラックスみたいでかっこいいと思うのだが。それで下手くそだったらかえって目立って恥ずかしいが、これぐらい強くなればいいよね。
 だいいち、日本人が黒を着てれば、海外の人は一目で「忍者」と思うので、日本のイメージにぴったり。俊敏さやアジリティーを売り物にする日本のプレイスタイルも忍者っぽいし、イメージ的にも対戦相手を威嚇できる。
 うん、いいよ。絶対黒にすべき。だいたい私は「ブルー・サムライ」というニックネームが、弱々しくて安っぽいイメージで大嫌い。(恥ずかしいことにこれが海外でも定着してきている) それよかブラック・ニンジャのほうがいいよー!(とカナで書くと、こっちのほうが安っぽくて恥ずかしいが、外国人の感覚ではこっちのほうがずっとかっこいいんです。ほんとよ)

もうひとつのタイトル

 実はこの決勝戦は、日本にとってアジア杯だけではなく、もうひとつ、世界王者のタイトルがかかった大事な試合なんですよね。
 というのはもちろん冗談だが、こういうジョークを大まじめでやるのが大好きなイギリス人が運営しているThe Unofficial Football World Championships(非公式サッカー世界選手権)のランキングで、現在日本は世界タイトルを防衛中なのだ。
 このランキングの規則は実に単純。世界王者を倒したチームにチャンピオンの座が移るというだけ。それで、長い間チャンピオンだったオランダをワールドカップで倒したスペインが新チャンピオンになり、そのスペインを倒したアルゼンチン、そのアルゼンチンを倒した日本に栄冠が巡ってきたわけ。その後日本は一度も負けていないので、(考えてみたらW杯後負けなしってすごい)、未だに日本がチャンピオンなわけ。
 というと一見まともそうだが、もし日本が負けていたら(実際あぶなかった)ヨルダンやシリアが世界チャンピオンという狂った構図もできていたし、だいたい歴代ナンバーワンがスコットランドというだけでも、このランキングは相当おかしい。
 たぶん主催者側ではヨルダンが世界チャンピオンになって、よりいっそうの笑いを取るのを期待していたと思うので、日本が負けてオーストラリアじゃあまりおもしろくないな。それより日本が無双するほうが絵的にはおもしろいので、やっぱり決勝は勝たなきゃ。

で、オーストラリアには勝てるの?

 ちょっと前なら、「無理無理」と答えたんですがね、今の人たちならわからない。もちろん、どんなどんでん返しも起こりうるのがサッカーというスポーツだからなんともいえないけど。
 日本はメンバーがボロボロ欠けてベストメンバーではないけれど、少なくとも若くてイキのいいのを揃えたのに、オーストラリアは選手がみんな高齢化だから、いちおうは互角かな。
 それに昔オーストラリアがこわかったのは、なんといってもフィジカルと高さで圧倒されたからだが、その意味では昔ほどこわくない。むしろ固い守備をこじ開けられるかのほうが問題かも。
 あとはスタミナかなー。これは日本が不利。よく、日本人はスタミナあるって言ってるやついるけど、それは一般人レベルでも驚異的な白人のあの異様なスタミナを見たことないからだ。それにしちゃマラソンは日本が強いじゃないかと思われるかもしれないけど、あれは一種の極限で特殊な例。サッカーぐらいだと、向こうのスタミナにはかなわんでしょ。
 決勝戦ともなると疲労の蓄積もあるし、実際、韓国戦で先にバテたの日本だったし、スタミナ切れがいちばん心配かなー。相手がオーストラリアのレベルで日本は足が止まったらたぶん終わり

 でもどうしてもオーストラリアには負けてほしくない。韓国とか、(サウジ以外の)中東とか、死に物狂いの本気モードで向かってくる相手なら、負けても悔いなしとは言えるけど、オーストラリアなんてサッカーは余技でしょう。同じコモンウェルス(英連邦)でも、インドとかオーストラリアはあまりサッカー盛んじゃないんだよね。にしては強いのは、スポーツ全般が苦手なインド人にくらべ、オーストラリア人は典型的なスポーツバカだからだが、どうもオーストラリアとかアメリカとかに勝ってもうれしくないし、負けるとすごい屈辱を感じる。
 そんなやつらに負けんな! あと、プレミアとかのスカウト来てるらしいから、本田なんかロシア脱出したかったらハットトリックぐらい決めないと。がんばれよ!

2011年1月30日 日曜日

スポーツ

サッカー アジアカップ決勝
日本−オーストラリア

試合後

アジアカップ2011 優勝おめでとう!

 というわけで、まずはおめでとうございます。試合中はいろいろ意地悪なこと言おうと思ってたんだけどね、勝ちゃーいいんだ、勝ちゃー! (このへん松木安太郎風)

試合について

 とにかく、まるで下手くそなシナリオライターかマンガ家が書いた脚本があるんじゃないかと思えたぐらい、無意味にドラマチックな試合ばかりが続いたこのアジア杯。当然決勝は今まで以上のなんかがあると思って、私なりにいろいろ予想していた。
 うーんと、骨折してドイツに帰ったはずの香川が突然現れて、松葉杖を投げ捨ててピッチに駆け込んでくるとか? 逆に岡崎が足を骨折しながらも這ってゴールに飛び込んでダイビングヘッドを決めるとか? やっぱりクサい筋書き考えるのは私にはむずかしすぎるや。
 で、実際の試合はというと、前半は日豪ともに気の抜けたヘボい攻めの応酬が続き、はっきり言って退屈した。これまでの試合、めちゃくちゃな試合展開にはなっても、飽きるなんてことはなかったから、これはこれで新展開か。
 予想通り、オーストラリアはちっとも脅威に見えなくて、いくら攻められても点取られる気はしなかった。ただ、こっちも点取る気配がまるでないのがどうもねえ。特に韓国戦でも連戦の疲れが見えたレギュラー選手たちは、消耗して動きが鈍ってるのが明らか。私はやっぱり本田に注目して見ていたが、ぜんぜんいつもの彼の動きじゃない! シュートが決まらないのもあいかわらずだし。
 かといって、香川の代役として入った藤本淳吾は、明らかに雰囲気に呑まれてしまい、どうしていいのかわからずに棒立ちみたいなありさま。岡崎や前田はがんばってはいるが、やはりオーストラリアのでかいDFに阻まれてばかり。
 やだなー。また双方無得点で延長戦かよ。ていうか、こうなったらあとはもう消耗戦。集中心を失ったほうが、たったひとつのミスが命取りになるのは確実。こういうイライラする試合きらーい! それで、先にバテるのはきっと日本だし、オーストラリアのなんの芸もない放り込みで1点取られて負けるのはくやしいなー。

ゴールを決めた李を取り押さえる本田と岡崎
本田 「逃がすな、岡崎、そっち押さえろ!」
岡崎 「よっしゃあ!」

蹴った瞬間のかっこいい写真もあるのに、ついネタに走ってしまう私。
李はゴールの喜びか、本田に首を締め上げられたせいか、顔を真っ赤にしているが、容赦のない本田さんはさらに締め上げ、最後は6、7人が馬乗りになって息の根を止めました。

 という予想が外れるのがアジア杯のいいところで、実際、延長戦の終わりの方はみんなほとんど歩いているような状態だったが、そこで集中を欠いて致命的なミスを犯したのはオーストラリアのほうだった
 後半4分、長友が左サイドを駆け上がってクロスを上げたのだが、ゴール前に張っていたDF2人がそれに吸い寄せられるように近寄り、完全フリーになった李忠成(前田に代わって延長戦の途中から入っていた)が、見事なボレーシュートでゴールに叩き込んだ。
 クッソー!と、思わず手に持っていたリモコンを床にたたき付けてしまったのは、こういうゴールこそ私が本田に望んでたものなので。その腹いせが右の写真、というのは嘘で、ボロボロの先発組に代わって、交替したばかりのフレッシュな李が得点というのは、理想の形。
 むずかしい角度のシュートだったんだけどね。特に左から来たボールを左足で蹴り込むなんて曲芸としか思えない。それが決まっちゃうあたり、この大会のとんでもなさと、李だけじゃなく、チームとしての日本代表が「持ってる」ことの現れか。
 ただ、これまでの経過でいうと、これで終わるはずがない。たぶんロスタイムの最後の1分に同点にされて、またPK戦になって、誰かが外して、でも5人目の誰かが決めて勝つ。という筋書きを予想したんだが、さすがにもうネタ切れになったのか、試合はこのまま終わって、日本が1-0で勝った。

 以下はこの試合の殊勲者をほめる。

ザッケローニ監督をほめる

 早い話が、この監督が有能なのかどうかって、これまであんまりわからなかったんだよね。ザッケローニになってから一度も負けてないんだから、無能なはずはないんだけど、このチーム自体、ワールドカップを境に大変身してしまったので、どこまでがどの監督の功績なのかよくわからないし、ザッケローニはメンバー選考も、作戦も、言うこともあまりに普通で当たり前に思えたから。
 でもその普通で当たり前ってところが実はザックの強みかも。これまでトルシエもジーコもオシムも、ちょっと癖が強すぎて、あまり普通の監督じゃなかったし、岡田にいたっては論外だし。
 素人としては、試合を見ていて、「なんで○○を早く替えない!」とか、「なんでここで××を替える!」とか叫ばなくていいだけでも、すばらしい監督に思える。選手交替ひとつ取ってもかゆいところに手が届くような交替なんだよね。それも今回はろくに手駒がいない中で。
 それにうまくいっていないと見ると、臨機応変に戦術を変えるといった当たり前のことも、これまではできない監督が多かった。

 まあ戦術とかむつかしいことは素人にはようわからんけど、私でもわかってうまいなーと思うのは、選手の掌握術
 我の強い欧米人と違って、日本人は基本的に監督に従うタイプだから、監督の良否がもろにチームの成績に表れると、私は思ってる。オフトやトルシエみたいに、頭から押さえ付けるようなタイプは反発をかってダメ、かといって、ジーコみたいな自由放任も、どうすればいいのかわからなくなっちゃうからダメ。いいのは、戦術を納得いくまでていねいに説明してくれて、ひとりひとりの役割と責任をはっきりさせてくれる監督だと思ってたが、ザックってまさにそのタイプじゃない? 日本人は自分の役割と責任がはっきりわかってるとがんばるんだよね。でも、オシムみたいに難解なこと言われると、かえってわからなくなっちゃう人続出だけど、ザックは言葉は平易で明解だし。

 「先生みたいな人がいい」とか言っていたが、これがまたズバリだったので笑ってしまう。これは私の専門分野だが、私が見てて外人教師のいいところは、とにかくほめて自信を持たせること。(中にはなんでもかんでもほめりゃーいいと思ってる人もいて、それはそれで職務放棄だと思ってるけど) うまくほめるのは意外とむずかしいけど、とっても大切。見てると、まさにそういう先生のタイプなんだよね。
 それと選手を信頼していること。本田にあのPKの一番手を蹴らせたのもそうだし、ベルギーでいいかげん自信喪失して鬱になってそうな川島を、正ゴールキーパーとして使い続けたのもそう。
 それにすべての選手に均等にチャンスを与えること。岡田なんか招集しても試合で使わなかったり、使っても一度だけでポイっていうのばっかりで、そのため香川みたいな人材を見逃した。ジーコなんか選手を発掘しようという意思すらなく、名前の売れた有名選手だけしか使わなかった。でもザッケローニはJリーグもくまなく見て、選手をよく見てるし、自分が呼んだ選手には必ず(物理的に無理でない限り)チャンスを与える。それも一度で見捨てたりしなくて、セカンド・チャンスを与えるのがえらい。
 考えてみれば、いきなり呼ばれて、いきなり本番で、わずかな時間に結果出せって、そういう無理なことを求められるのが代表選手。李だって、この大会で最初に出場したときはまったくいいところなしだったのに、二度目で結果を出したのは、やっぱり慣れと経験が大きいと思う。

 あと人間味があること。私から見ると代表監督ってなんか偉そうにしてるというか、これまでの監督って、選手が殊勲をあげてもガシっと握手するとか肩を叩くぐらいで、人前じゃあまり感情を表に出さなかった。これまた岡田みたいなのは論外だけど、外国人監督も。本田がいた頃のVVVのファンダイク監督なんて、もう目に入れても痛くないって感じで本田をかわいがってたから、なんか代表監督って冷たいって感じがしちゃったんだよね。
 それにくらべ、ザッケローニは戻ってきた選手を迎えるとき、心底からの笑みを浮かべてムギューッとハグするところがなんかすごくいい。あれされると、選手は自然に「俺、期待されてるんだー、がんばらなくちゃ」となると思う。

 そういう意味で、選手にとってはすごくいい監督。それがすぐに勝利に直結するとは限らないけど、選手はとても戦いやすいと思う。育成という意味ではこういう人にこそ若い世代を見てもらいたいと思うのだが。

長友をほめる

左 競り合う長友 右 長友の中の人

 大会のMVPは本田だったけど、今日の私のMoMはこの人。実を言うと、この大会での長友は、活躍はしていたけど、ワールドカップのときの超人的な活躍とくらべると、なんかいまいちだと思っていたのだ。
 ところが周囲の日本選手がみんなバテて、息が上がってくると、がぜん長友が輝きを放ち始める。他の人が歩くのがやっとみたいな中で軽々と走り続けるばかりか、ぐんぐん加速するし! というか、前々から言われてるけど、この異常なスタミナってなんなの?

 しかも、「幼い頃からアフリカの大草原とか、リオデジャネイロの路上で育って」(笑)とかいうんならまだわかる。ところが、この人は(海外では)中卒が当たり前のサッカー界ではめずらしい超インテリの大卒選手。しかも明大サッカー部でも途中まで控えだったんでしょ。
 それが2008年には大学在籍したままFC東京と契約してプロ入り、その年に代表入りして、2010年にはワールドカップで活躍して、海外移籍、2011年の今がこれって、なんというシンデレラボーイ! 本田も香川もこんな王道歩んでないし、はるかに苦労しているのに。
 サイドバックは世界的に人材不足なので、おそらくこれまた本田・香川より早く上のクラブに移籍すると思うが、とにかくこんな選手も日本では見たことがなかった。
 しかし、これほどの選手が大学なんかで4年もむだに過ごしたなんてもったいない。え? 私の言うこと矛盾してますか? いや、人間適材適所なんだって! 誰もが大学行く必要なんかない。でも日本だとそうでもないのかな。だけどやっぱり、高校出てすぐプロでやっていれば今ごろ‥‥と考えちゃう。

 長友の走りを見てると、本当にガゼルとか、あの手の草食動物を思い出すね。瞬発力も持久力も。でもそれってなんでなの?と思ってたが、その秘密は今日、延長前の休憩時にシャツを脱いだときにチラッと見えた。あんなに小さくて(この人も私より小さい)、足はともかく体なんかほっそり見えるのに、なんなのこの筋肉! これも海外で長年筋トレに励んだ成果とかそんなんじゃないからなあ。こういう走るために生まれてきたような体の人って、黒人だけじゃなく現代の日本にもいるんだね。私はどっかで人間以外の血が入ってるんじゃないかと疑ってるけど。

本田さん大丈夫?

大会MVPの賞を受け取る本田圭佑

 というわけで、私の心残りは、本田が本調子でなさそうなこと。特に、たまりにたまった疲労がとうとう限界に達したのか、この決勝戦は「えっ?」と思うようなミスも目立った。表彰式で壇上に登ったとき、びっこを引くような変なギクシャクした歩き方だったので、やっぱり足が痛かったのかも。《実際、後で判明したのだが足首を捻挫していた》 怪我ではないにしても本調子でなかったのは間違いない。(しかし本田でさえこうなのに、まったく疲れを見せないばかりか、チームの誰よりも長距離走ってる長友って‥‥)

 だから本田ファンとしては、その意味ではこの大会は不完全燃焼感が強い。それでもMVPだけどね。確かに点は取れなかったけど、チームに対する貢献度という点では本田がいちばんだったから、この賞は納得としても、たぶん大多数の本田ファンが見たいのは、彼が走り回ってパスを出したり、献身的に守備をするところではなく、ゴールシーンだと思うんだよね。
 ロシアへ行ってから何かが変わってしまったのかな? それぐらい、ゴールに対する執着心やシュートの勘を失ってるように見える。
 ここであえて本田の気持ちになって考えてみれば、自分はプロなんだからチームに求められればなんでもするってことなんだろうけど。よく知らないが、CSKAはボランチ不在だそうだし、今の日本代表も本田がああいうケアしなくちゃやっていけないのはわかるんだけど。でも、もう少しエゴを出してくれないと本田らしくないような気がする。

 が、長い目で見れば、何もこんなところでガツガツする必要もないか。サッカー選手の消長は本当に激しいし、今絶好調でも、3年後のワールドカップで消えてるなんてことになったらいやだし。中村俊輔がまさにそうだった。アジアカップではつねにヒーローだったけど、ワールドカップ本戦では呼ばれなかったり、出ても戦犯扱いだったり、さんざんだったから。それで人はどっちを覚えているかと言えば、言うまでもなくワールドカップなのだ。やっぱりアジアカップなんてどうでもいいや。それより3年後がんばって。
 ところが今年は7月にコパ・アメリカ(南アメリカのアジアカップに相当する大会)があるんだった。(日本は招待国として出場する) ひえー! 忙しすぎる! そのあとはまたすぐワールドカップの予選が始まるし、もちろんクラブはあるし、この人たち過労で死んじゃわないか?(長友以外) ただ、時期的に海外組は呼ばれないか。それはそれで残念すぎるような気もするのだが。

カタールについて

 毎回あれやこれやのトラブルに見舞われるアジアカップだが、今年は比較的平穏に終わるだろうと思ってた。カタールは2022年のワールドカップ開催の前哨戦としても、ここで失敗は絶対に許されないだろうし。

 あ、しまった! 18年と22年のワールドカップ招致合戦の話を書くのを忘れてた。ご存じの通り、イングランドが18年、日本は22年の招致に立候補してたので、私としてもこれは大いに気になっていた。日韓大会をやったばかりの日本が無理なのは当然と思ってたが、イングランドは当確と信じていて、そしたら私はもちろん行って、酒池肉林じゃないけど、好きなもの(イングランドとサッカー)三昧にふける予定だったのに!
 ところがその投票直前に、英国BBCテレビがFIFAの4理事が賄賂を受け取ったり、汚職に手を染めていたことをすっぱ抜いてしまったのである。それもアフリカサッカー連盟会長、南米サッカー連盟会長、ブラジルサッカー連盟会長、北中米カリブ海サッカー連盟会長という大物ばかり。
 ところがこれがとんでもないオウンゴールになってしまい、イングランドはFIFA理事の多くの猛反発をくらってまさかの落選。明らかな不正を指摘して損を被るというのが納得できないが、前もどこかに書いたように、フットボールはもうヨーロッパだけのものじゃない。こういう野蛮な後進国とも歩調を合わせていかないとならないんだよね。(と口では言ってるが、実は怒りでブルブル震えている)
 そんなことがあったので、この恨みはワールドカップ本戦で晴らしてやるべく、イングランドに期待していたのだが‥‥

 オリンピックもそうだけど、どうせ毎年こういうことをやってるんだから、もう発祥の地に固定でいいよ! オリンピックはギリシアで、ワールドカップはイングランドで毎年やればいいじゃない。それがいちばん公平だし、見る方は納得なのだが。

 という恨み節は置いといても、結果として決まったのが2018年ロシア2022年カタールと、ロシアはよく知らないが、カタールなんて金で買ったような結末がよけいBBCのすっぱ抜きの正しさとFIFAの守銭奴ぶりを表してて不愉快そのもの。だいたい、よりによってどっちも、極端な気候、政情不安の国選んじゃって、本当に大丈夫なのか? エジプトはあんなことになってるし、カタールなんて(それを言ったらロシアもだが)2022年まで国があるかどうかわからんぞ

 という心配も置いといて、今大会に限っては安心して見ていられた。何せお金があるから、スタジアムは立派だし、運営もまずまずだし、少なくとも南アフリカよりはずっとまとも。それに私は元がアラブびいきなので、あの長いアラブ服やグトゥラ(男性が頭にかぶっている布)を見ているだけで、「かっこいー」と思ってしまう。
 日本の優勝が決まったあとの閉会のセレモニーも、ワールドカップよりよっぽど盛大で、なんかすごく日本が偉くなった気分にさせてくれたので良かった。ま、終わりよければすべてよしってね。

蛇足1 解説者をほめる

 今回のアジア杯はテレビ朝日とNHKBSが同時中継したのだが(これもムダ。そんな金あるなら別の試合見せてほしい)、民放は解説がうるさいからNHKで見るっていう人が多いのでびっくり。サッカーなんて知りもしないタレントが大騒ぎするサッカー中継っていうんなら、私も迷わずNHKだが、そうじゃないし、解説松木安太郎+セルジオ越後という黄金のカードなのに。
 だいたい、サッカー解説なんて大騒ぎして当たり前。NHKみたいに感情をまったく込めない棒読み(なぜか解説者もそうなる)、しかも深夜の放送だと、陰気で退屈どころか、お通夜みたいでこわくなってくる。それに試合中最初から最後まで騒いでるわけじゃない、ゴールシーンとか危ない場面ぐらいでしょ。

 松木さんが好きなのには実はわけがあることに、今回初めて気づいたのだが、それはサッカーとは別の話なので日を改めて書くとして、セルジオは書く文章はすごく知的で、心から賛同できること言ってるのに、テレビだと受けを狙い過ぎなのかおバカを演じてるのが気になってる。(松木さんのあれも多少は意識してるか知らないが、たぶん天然)
 しかしこのコンビ、またも名言を生んでくれましたね。松木さんのセリフは名言だらけだが、ひとつ選ぶとすれば、シリア戦の「疑惑のPK」での「なんなんすか、これ?」(を3回ぐらい小声でつぶやいてた)。
 一方のセルジオは、最後の最後のオーストラリアのフリーキックの場面、「ナナミ!(ピッチ解説の名波を呼び捨て)‥‥(ちょっと考え直して)ナナミさん、(祈るように)気持ちだけでも壁に入って‥‥」がかわいくて泣かせた。

 で、今思い出したけど、なんでNHKのスポーツ中継が気味悪く感じられるかというと、昔の日本のスポーツ体質(外国人選手団は笑顔で手を振ってるのに、日本だけは仮面のように無表情で一糸乱れぬ、オリンピックの開会式の入場行進とか)を思い出させるからだと気が付いた。あれって、当時の外国人から見たら、今の北朝鮮みたいなもので不気味だったろうなあ。そもそも私がサッカーを好きになったのは、そういうのからいちばん隔たったフリーダムさがあったからだし。
 フットボールマッチなんてお祭りよ。楽しい方がいいに決まってる。

蛇足2

 もう今さらだけど、大陸別選手権と言いながら、オーストラリアがアジアってのはどう考えても変だよなあ。それもオーストラリアがアジアがいいと言ったからアジアに入れちゃうなんて絶対変。それでも日本とオーストラリアがいっしょの組なのはまだわかるが、地球の裏側のカタールもいっしょというのはひどすぎる。
 移動だけでも大変だから、せめて極東と中近東は別の組にしてほしい。どうしてもオーストラリアが混ぜてほしいというなら、環太平洋地区として、オセアニアと極東に南米のチリとかペルーとかも加えてやったらどうか? いや待て、ヨーロッパ組の選手からしたら中東の方がよっぽど近いから便利か。もうわからん。

蛇足3

 本田は「成田コレクション」(注)でも着々と中田ヒデのお株を奪いつつあるが、前に本田のことをファッショナブルと言ったのは取り消す。(成田コレクション=中田英寿は日本に帰国するたびに、成田に降り立ったときに着ている服で衆目を集めていた。今は本田が同じことをやっている)
 あれは日本代表チームの公式スーツであるダンヒルのスーツがかっこ良かっただけで、その後の本田の私服を見ていると、ヒデのセンスには及びもつかないなと。なんというか、基本がやっぱり大阪人のセンスで、これは私の美意識とはまるで相容れないものなので(笑)。惜しいなあ。背高いし足長いし、スタイルはヒデよりずっといいから、スーツなんか着ればヒデよりはるかにかっこいいのに。
 ただ、GQの表紙で着てたタキシードも勘弁。大阪人が蝶ネクタイ締めてタキシード着ても、まるっきり漫才師にしか見えん!(というのは人種差別か? だったらごめん) 《参考 本田の成田コレクション

長友佑都、インテル移籍!

 「マンガでしかあり得ないような展開」はまだ終わっていなかった! 「本田・香川より早く上のクラブに移籍すると思うが」なんて書いたら、アジアカップが終わって早々、長友がインテルミラノにレンタル移籍のニュースが!
 おっと、この日記はサッカーなんてあまり関心ない人が読んでるということを前提に説明すると、イタリアのインテルというのは昨年度のクラブ世界王者で、世界でも五指に入る名門クラブで、とにかく日本人がこのクラスのクラブでプレイしたことはなかった。
 というだけでもすごいのだが、あり得ないというのは、長友がほんの数年前まで世界はおろか、日本国内でもまるで無名の選手だったこと。5年前には明大サッカー部の応援団で太鼓叩いていた人がインテルって、これは『キャプテン翼』でもあり得ない!という話。
 とにかくおめでとう。あとはインテルで活躍してレギュラー取ることに期待してるよ。きっとそうなると信じてるけど。

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