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2011年12月3日 土曜日

スポーツ

サッカーヨタ話その1
サッカー選手のテレビ・ドキュメンタリーと本の話

本田圭佑(‥‥と私も)膝の故障再発でがっかり

 あー、本田いないとサッカー見ててもなんか張り合いがないなー。その本田圭佑は膝の故障から順調な回復を見せて、公式戦復帰したかと思ったら、また再発で休養だって(泣)。
 酷寒のロシアで、こんな季節にサッカーやって膝にいいわけないじゃん! マジでこんなところにいたら殺されそうでこわい。このままロシアから出られずに消えて、悲運の名選手とか言われるようになるのはいやだよー!
 なんて言ってられるのもまさかそんなことはありえないという確信があるからこそなんだが。まあ、全治10日っていうから、あくまで大事を取っただけと思いたい。

 しかしもったいない。サッカー選手は人間の3倍の早さで年を取るっていうぐらいで(笑)、25才なんて選手としてはいちばん脂の乗りきった時期の1か月は人間の、失礼、一般人の1年ぐらいに相当するのに。楽しみにしていたCLのインテルvsCSKA戦も出られないかも。下手するとCLもグループリーグ敗退しちゃうかも! 彼がいないおかげで日本代表もあのザマだし、踏んだり蹴ったり。
 と、同時に思ったのは、私、本気で本田に惚れちゃったかも。だいたいこの私がこれだけ日本代表に執着するのも初めてのことで、それもこれも本田さんのおかげ。黄金世代のときなんて、もっと興奮しても良かったけど、すごい冷めたクールな目で見ていたもんねえ。いろんな意味で日本のサッカー界に革命をもたらした、かけがえのない選手なので、一刻も早く復帰(とロシア脱出)を願う。

 ちなみに、いつも私なんかといっしょにしてすみませんが、私の膝も寒くなってまた悪化してしまった。せっかくリハビリとミズノの靴(わざわざ強調)のおかげで快方に向かっていたというのに、このところの天候不順で風邪を引き、おかげで運動量が落ちると同時にまた悪化。ほんとに膝の故障なめてたっす。
 病院でなんか症状別の早見表みたいなの見せられたんですよ。いちばん上が激しいスポーツができるっていうので、その下に、ジョギングならOKとか、ウォーキングならOKとかいうのが並んでるの。当然、いちばん下は寝たきりね(笑)。それで私はというと、そのいちばん下から2番目で「歩行障害」っていうのに当たると説明されて愕然‥‥そんなに悪かったのか‥‥
 というわけで私の方はまだまだ全快への道は遠いようで。でも本田さんもがんばってるのに負けられない!

サッカー選手のドキュメンタリー
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀 本田圭佑』とテレビ朝日『Get Sports 鈴木隆行』を見て

 そんなおり、NHKのドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』が本田を取り上げた。この番組、前にカズのやつを見たな。なんか予告では素の本田が見られるみたいなこと聞かされたし、ワクワクしながら見た。だってほら、彼ってそれこそプロに徹していて、普段はなかなか本音を言わないし、素顔を見せない人だからね。もちろん番組は膝の故障以前から撮り始めていたのだが、この想定外の事態でかえってドラマチックなものが撮れたはずだし、闘病中の様子も撮ったというし。自分がリハビリで苦しんでるだけに、ぜひ彼のも見たい。いい男が苦しんでるの見るのすごい好きだし。おっと、つい本音が出たが、これはサッカーとなんの関係もなかったね。
 ところが見てがっかり。まあ、今のNHKの実力から言ったらこんなものかとは思うけど。
 言っとくけど昔のNHKのドキュメンタリーにはほんとに鳥肌が立つような作品も多かった。なのにどんどんつまらなくなってきたから、昔は欠かさず見ていたNHK特集も、もう10年ぐらい見ていないぐらいで。(というか、そもそもサッカー以外のテレビを見ないから、今もやってるのかどうかも知らない) こういうの見ると、もうBBCあたりとは雲泥の差だなあというのがはっきりわかって、ますます見る気がしなくなるや。

 日本人は浪花節が好きだから、どうせまた、中学時代ガンバユースに上がれなかったことや、オランダVVVで二部落ちしたことのような挫折体験をクローズアップして、それと今回の怪我を無理やり結びつけて、そこからまたも這い上がってきた不屈の闘志!‥‥みたいな作りになるんだろうと思ってた。
 そしたら、おおよその作りは実際そうだったが、そういう話はどれもさらっと触れるだけで、ほとんどがアイドルビデオみたいな「本田さんイメージビデオ」と、インタビューでもっともらしいセリフを吐く「本田さん名言集」でできていて、誰がそんなもの見たがるかよ! サッカー選手がかっこいいのはサッカーやってるからでしょう? もっと試合のシーンや練習シーンを映せ! よくある選手ドキュメンタリーみたいに、生家や家族が出て来なかったのは評価するけどね。犬の散歩シーンぐらいは出しても良かったんだけど(笑)。テツ見たいよ、テツ。

 この人のセリフ、大多数のフットボーラーみたいに「口を開くと速攻でバカがばれる」というのとは違って、確かにちょっとおりこーそうなんだけど、逆にあまりによい子ぶり、かっこつけすぎてるのが見え見えで、こういう純真な若者はしびれるかも知れないけど、私みたいなすれきった大人はちょいと引く。つねに上を目指すとか、つねに自分を追い込むとか、つねにポジティブ思考とか、なんか当たり前すぎてつまんないし。
 あと関西弁(笑)。関西の人、すいません。でもこればっかりはどうしても慣れない。ていうか、大阪弁って私にはどうしてもすべて漫才さんにしか聞こえない(笑)。だからすごいまじめで立派なこと言ってるのについ笑ってしまう。

 同様に、私はアメリカ英語にはいつまでたっても慣れないし、アメリカ人がしゃべるのを聞くと、みんな漫才やってるようにしか聞こえない。(と言っても、日本が吉本なら、こっちはいかにもアメリカらしく、スタンダップ・コメディで) ある意味こっちの方が被害が大きい。東京にいると大阪弁を聞くことはめったにないが、アメリカ英語を聞くチャンスはたくさんあるので。アメリカ映画で、すごいシリアスな場面やロマンティックな場面で、吹き替えの声優がいきなりコテコテの大阪弁丸出しで話し始めるところを想像して下さい。私の脳のフィルターを通すと、みんなそうなっちゃうんです。(もちろんイギリス英語が東京弁のつもりだよ、念のため)
 動物ドキュメンタリーも困る。ナショナル・ジオグラフィックのドキュメンタリーなんか、絵の質はBBCにも(それほど)劣らないと思うのだが、ナレーション聞くとバカにされてるみたいで。特に、大型動物の補食シーンなどに、ふざけてるとしか聞こえないあのアクセントのナレーション付けられると、生命を冒涜されてるみたいでむっちゃ腹が立つ
 話がそれたが、最近本田に限らず、サッカー選手がドキュメンタリーやバラエティーに出てくることが多いが、しゃべるのを聞くとあまりに多い関西人率に驚く。やっぱりサッカーは関西人の方が才能あるのかも。そういや私が競馬見てた頃も、いっつも西高東低って言われてたよな。その意味では関西尊敬してるんですが。

 あと、リハビリのシーンもほんのちらっとしか映らず、それも単なる筋トレにしか見えなかったのが残念。まあ、病院(?)だからそこで長々カメラ回すわけにいかないのかもしれないけど。期待して損した。これなら私のリハビリの方がよっぽど苦しそうだし、よっぽどセクシーだ。誰も見たがらないだろうが。
 だいたい、裸すら見せないし。え? サッカー選手に期待するものってプレイのほかは裸以外に何があるの? そもそも体が売り物の人なんだしー!

今でもはっきり目に焼き付いている、2002年日韓ワールドカップベルギー戦での鈴木隆行の「つま先ゴール」。日本が16強へ進む弾みを与えてくれたゴールだった。

 というわけで、なぜか最近の地上波はちっともサッカーの中継やってくれないくせに、このたぐいのドキュメンタリーやバラエティーはけっこうあるのだが、私が文句なしに感動したのはGet Sportsの鈴木隆行のやつ(YouTubeのビデオが開きます。20分あります)だけだったな。これには文句なく感動した。泣いた。
 好きだったんだよ、この人。2002年のワールドカップ日韓大会当時、いちばん好きだった日本選手。というか、私は生まれついてのイングランド・サポーターで、それまで日本のサッカーなんてほとんど興味なかったんだが、初めて日本で開催するワールドカップなのに日本チームを応援しないのもあんまりだと思って、それにはやっぱり応援する選手がいたほうが楽しいから、とりあえず好きな選手を決めようと、適当にいちばんかっこよく見えた人を選んだだけなんだけど(笑)。
 そしたらその鈴木がベルギー戦で得点して、一気にスターになってしまい、(その前の半年間、フォワードなのに1本もゴールを決めていなかったため、たいして期待されていなかった)、その後もずっと注目していた。

 なんかもうチームいくつ変わったかわからないぐらい、世界を流浪して歩いた人で、その意味では本田よりよっぽど苦労している。点が取れないフォワードとして悪名が高く、確かにフォワードとしては下手くそだったかもしれないが、半面、ワールドカップとかコンフェデ(ナショナルチームの大陸王者がぶつかるトーナメント)とか、ここ一番というところで得点するのでやたら印象が強く、日本代表には欠かせないメンバーのひとりだった。
 メンタル・フィジカルがやたらめったら強く、すごい負けず嫌いで、決してひるまないしあきらめない。そういうところ、けっこう本田と似てるかも。だいたい鈴木も金髪だったし(笑)。(金狼と呼ばれてた。今は黒髪を長く伸ばして真ん中分けにしている。アメリカに行ったらインディアンの賢者みたいになっちゃった) 身長も同じで体つきも似てるし。顔は鈴木の方がちょっとばかりハンサムだけどね。(本田はいい男だがいわゆるハンサムではない)
 ていうか、私が好きになるんだからパターンは似てて当然なんだが。昔から細くて小さくてモヤシな日本選手が嫌いだった私としては、長身でがっしりして強い鈴木や本田に惹かれたのは当然の帰結かも。

 とにかくその鈴木隆行ももう35才。体力的にも限界ということで今年で選手生活を引退し、アメリカでコーチに就任しようと決めていたのだが、そこへ起こったのが東日本大震災。アメリカでその知らせを聞いて心を痛め大きな被害を受けた故郷の茨城のチーム、水戸ホーリーホックを助けるために、引退を撤回して現役復帰。しかも経営難の水戸のために、無給のアマチュア契約って、あまりにも男気が強すぎる! これでまず一回泣いた。
 ワールドカップ出場というのは、言ってみればサッカー選手の最終目標。しかもその本大会で得点するというのは、本当に一握りの選手にだけ与えられる栄誉。それを手にした人が日本の田舎の二部リーグのクラブで無給のボランティアって‥‥

 というか、引退を前にした10年後の本田や長谷部ならそれぐらいやってもぜんぜん不思議はないんだ。こういう自己犠牲とかボランティア精神って、いかにも優等生の本田や長谷部が好きそうな話だから。でも鈴木隆行はあんまりそんな感じしなかったので驚いた。それは番組内でも言われてて、以前は自分のことしか考えない自己中の一匹狼だったと自分でも認めていた。
 それが変わったのは2年前に子供が生まれたからだと言うが、私はやっぱり大震災のせいだと思うね。あれを見て人生観や人が変わってしまった人はたくさんいるもん。もちろん、その優しさや同情心は元々彼の心の中にあったものなんだろうけど、それを引き出したのは地震だと思う。

 ところが、もう引退するつもりでトレーニングも何もやっていなかったため、すぐには試合勘を取り戻せない、どころか、とてもこれがあの鈴木隆行とは思えない。あれだけフィジカルの鬼だった人が、練習で二部の若手にあっさり吹っ飛ばされる光景を見て二度泣いた。
 いや、実は現役当時、じゃなかった、今も現役か。全盛期もよく転ぶ人だった。だけど、鈴木が転ぶのは弱いからじゃなくて、絶対無理と思えるところでも果敢に突っ込んで行って、体を当てられても決してひるまなかったからで、おまけにその倒れ方があまりにも派手で痛そうだから、つい審判もファウルを取ってくれるという利点もあった。そのパターンで鈴木がファウルをもらって、中村俊輔がフリーキックを決めて日本が勝つというパターンが何度あったことか。
 なのに、その彼が軽く体寄せられただけであっさりコケてボール奪われてるの。これには痛ましすぎて目を覆いたくなったね。と同時に、サッカーの当たりって見た目よりずっと激しいんだなと思った。だって仮に鈴木がただのそこらのおっさんだったとしても、まだ35才で、あれだけ立派な体つきした大男を吹っ飛ばすって、なかなかできないもん。まあそれを思ったら、190センチ台の白人の大男に全身でぶつかられてびくともしない本田なんか、どれだけ強いんだって話になるけど。

 で、その鈴木が必死のトレーニングを積んで、とうとう試合に初先発し、見事にゴールを決めたシーンで三度目に泣いた。「ノーゴーラー」と影口いわれる人が、初出場でゴールってのもそうだが、これが完全に世のため人のためのゴール、震災で傷ついた故郷と人々のためのゴールだと思うとよけいに泣けた。これってある意味、ワールドカップのあのゴールと同じぐらい美しいよね。
 もちろんここまでの話はもちろんすべてネットでリアルタイムで読んで知ってたけど、映像で見るとやはり泣かずにはいられない。このドラマが完璧すぎ、すばらしすぎるから、これはテレビ朝日の功績とは言えないけど、抑えた調子でツボを押さえた、いいドキュメンタリーだった。
 このあとの鈴木はほぼ全試合に出て、完全にチームの屋台骨になっている。最終節の今日もしっかり1点取っている。(チームは2-1で負け)。立派すぎる。

 しかし、なんかやたらとサッカー選手がテレビに出てるなあ。試合は地上波ではぜんぜん中継してくれないくせに。バラエティなんかより試合が見たいー!
 ただ、理由はわかるんだよね。ワールドカップの善戦と女子WCの優勝で、現在はいつになく代表人気が盛り上がっているのにくらべ、Jリーグはかつての勢いがない。だから、テレビ局としては代表のコンテンツがほしいけど、A代表の試合はそんなにしょっちゅうあるわけじゃないし、今の主力はほとんどが海外組だから、放映権買わなきゃクラブの試合も流せない。そこでやむなくサッカーとはなんの関係もないバラエティにまで選手を引っ張り出すのだろう。出るなよな、おまえらも。その点、まじめなインタビュー以外のテレビには一切出ない方針を貫く本田はやっぱりステキだ。

サッカー選手の本の話

 代表選手の書いた本がやたらと出版されるのも、おそらく同じ理由。それにしても長友みたいな前例のない旬の選手の本が出るのはわかるとしても、もう代表に名を連ねたことさえあれば誰でもいいって感じ。レスターの阿部勇樹まで本書いてるんだよ(笑)。いや、私は好きだし、バカにするわけじゃないけど。長谷部の本なんか大ベストセラーになっちゃって、印税4500万円寄付したってマジで? よくわからん世界だなあ。
 テレビなら確かにファンなら見ちゃうかもしれないけど、25かそこらの素人(ライターとしては)が書いた薄っぺらい本読んでおもしろいかね?

 とかなんとか言いつつ、「有名人の手記」、実は好きなんだけどね(笑)。ミュージシャンの書いたやつはけっこう持ってる。何がおもしろいって、「今だから明かせる衝撃の真実」の暴露記事や告白記事がいっぱい読めるから(笑)。あと、ミュージシャンはさすが文系だからか、けっこう文才があって文章おもしろい人が多いし、少なくともスポーツ選手よりは頭いいからね。
 だから遠藤保仁の本(『信頼する力』 角川書店)はつい買ってしまった。だって、彼は今の代表では最古参で、それこそ代表の表も裏も知り尽くしている人だから、それが知りたかったのと、代表ではいちばん賢そうに見えたから。(残念ながら本田や長谷部は本人たちがそう見せようとしているほどには賢くないと思う。内田は謎だが)
 でも読んでみたらやっぱり完全ハズレだった。そもそも日本人が、特に遠藤みたいな、引退後はおそらく日本サッカー界の偉いさんになるはずの選手が、そんな暴露ものを書けるはずがないのであった。(上で言ってるミュージシャンの本というのはすべて英語メディア)

 どういう風にハズレだったかを書こう。(今は手元に本がないので、言葉遣いとかは原書とは違うはず) とりあえず歴代日本代表監督については、好き嫌いが真っ二つに分かれて、トルシエとジーコはクソミソ、オシムと岡田はほめちぎっているのだが、遠藤をレギュラーで使ったのはオシムと岡田で、他の2人は干したことを思うと、当然すぎてくそおもしろくもない。
 だいたい、素人目にも歴代最低監督だった岡田を絶賛しているところだけ見ても、あんまり信用がおけない感じがする。遠藤が岡田をほめるのって、要するにワールドカップでヒーローになるチャンスを与えてくれたっていう、ただそれだけのことじゃないの? そのチャンスをつかんだのは彼自身の才能の問題で、監督はあまり関係ないと思うのだが。
 トルシエというのは噂では完全キチガイだったそうなので、どこがどうキチガイなのかを知りたくて楽しみにしていたのだが、これも拍子抜けだった。遠藤いわく、トルシエという監督は、ボールのないところでも全力疾走するとか、間に合わないとわかっていてもスライディングするとかの、「ガッツのあふれるプレイ」が大好きで、そういうこれ見よがしのスタンドプレイが大嫌いで、性格的にもできない(これはすごくわかる)遠藤は嫌われていたんだそうだ。えー、それだけ? いやいや、トルシエって、もっと根本的なところで問題なかったか?
 だいたい彼が気に入っているらしい現代表の主だった選手――本田、長谷部、長友とか――って、どっちかというとみんなその手の根性主義者じゃないのか? それにトルシエに言われても走らなかった遠藤が、オシムに言われると走るようになったし、結局この人、単なる好き嫌いで物を言ってるだけとしか。
 この本で私がいちばん知りたかったのは、2010年ワールドカップの開幕前と開幕後で、何があれほど劇的にチームを変えたのかってことだったのだが、それについては、WC前の連敗時にも、やってることは間違ってないし、連敗もよくあることだと思って何も心配してなかったという。いやいやいや! そりゃ結果はオーライだったけど、あの時点で危惧を覚えなかったからどうかしてるでしょ!
 あと、代表チームについてはけっこう書いているのに、長年在籍してきたガンバ大阪についての記述がほとんどないのも謎。やっぱり「書けない部分」がいっぱいあるのかな?

 と言うわけで、遠藤の本に失望したので、それっきりサッカー選手の本は買ってない。だいたいこんな薄っぺらい本(遠藤の本は新書だが、他の本も単行本でもスカスカ)で、そう突っ込んだ内容のものを書けるはずもないしね。こういう薄い本ばっかり増えてきたのは、やっぱり日本人の知力低下の証拠としか。
 ただ、遠藤にしろ誰にしろ、自分で書いてるっぽいのはえらいと思う。海外のスポーツ選手の手記なんて間違いなくすべてゴーストライターの作品だから。ただ、一流選手ほど一流のライターを雇うから、それなりに読めるものになってるのに対して、日本のがつまらないのもしょうがないか。ゴーストライターがいないと私が確信してるのは文章が下手だからだが、もしかしてこれプロのライターが書いてるとしたら‥‥考えたくないから考えないことにする。

 もうひとつ、この手の本がいやなのは、単なる手記や伝記ならまだいいんだが、最近はしばしば、スポーツの本というより、自己啓発本っぽいものになってること。そういうの多いよね。ビジネス書の体裁を借りた自己啓発本とか、小説の形を借りた自己啓発本とか。
 ああいうのっていつから始まったんだろう? あれってほとんど宗教だよね。ほんと気持ち悪い。自分の友達とか彼氏とかが読んでいるのを見つけたら、即刻絶交するレベル。いたんですよ、同僚の女性だけどそういう人が。根は本当にいい人だったんだけど、それ以来決して彼女を信じることはできなくなった。それでまた、そういう人って、やたらと他人にもそれを読めって勧めるんだよね。
 宗教もそうだけど、自分の生き方やものの考え方を他人に指図されないとならない、あるいは指図されるのを喜んでるなんて、なんて自分というものがない、自主性や脳みそを欠いた人なんだろうとしか思わない。私だったら、他人にそんな指図されたら無言ではり倒すレベル。ましてやガキンチョのスポーツ選手(笑)なんかに指図されたくないわ(笑)。
 とか書くと、真顔で「そんなこと言ったって、おまえはインテルに入れまい。彼らは人生の成功者なんだから、そこから学ぶものはあるのだ」みたいなことを言う人がいる。(これはあくまでたとえであって、長友の本がその手の本かどうかは読んでないので知りません)
 いやいや、長友が成功したのは彼自身の才能と努力と運の賜物であって、たとえ彼の本にトレーニング・メニューがすべて書いてあって、忠実にその通りにやったとしたって、インテル入れる人はひとりもいないでしょ。ましてや精神論だけでは長友みたいに成功できるチャンスは皆無だと思うんだけど、いったいどういう御利益があるの? 私の考えではあの手の本の効能というのは、読むことで、「向上心のある私」を錯覚できることだけだと思う。(本当に向上心のある人はもうちょっと中味のある、役に立つものを読む)

 その点、この手の本を出さない本田はやっぱりものが違うなーと、またも思う。彼のところなんて間違いなく依頼はあるはずだけどね。本田本人の了承が得られないから、本田の叔父さんの本まで出てるし(笑)。もっとも、日頃の口ぶりからして、こういうのは嫌いじゃなさそうだし、彼が本を出すとしたら、思いっきり説教臭いものになりそうで、それはそれでいやだけど。

 などとボロクソ言いながら、実は内田篤人の本(『僕は自分が見たことしか信じない』)だけはちょっぴり気にしてるんだけどね(笑)。なぜかと言って、私がサッカー選手の本に求める重大要素、「裸の写真」が入ってるから(笑)。というのは嘘で(内田に性的魅力感じたことないし)、なんとなくこの人、見かけより頭がいいんじゃないかと思ってるから。
 以前に朝日のコラムのこと書いたでしょ? 内田のコラムがいちばん知的でおもしろかったという話。遠藤がたいしたことなかったので、もしかして今の代表でいちばん賢いのってこの子じゃないかという気もしてきたので。
 あと、内田ってやっぱり「不思議ちゃん」系みたいだから。女の不思議ちゃんはうざいだけだが、男の不思議ちゃんは身近にいたことがあって、かわいかったのでかなり好感を持っている。ちなみに彼は当時60才過ぎてて、最終的には大学の学長まで勤めた人だったけど、普段の言動は宇宙人そのもので、なおかつうざくなくてかわいいという稀有な人だった。
 それに、私の知ってる不思議ちゃんたちに共通しているのは、「言動は宇宙人でも書く文章はなぜかまとも」ということで、その意味でも期待できそうな気がする‥‥んだが、やっぱり読めばがっかりなんだろうな。

 ああもう、この際、中田ヒデあたりが、日本サッカーを一刀両断するような暴露本出してくれないかな、あの人、もうほとんど協会とは切れてるみたいだし、お金もあるから誰にも遠慮はいらないし、とも思うのだが、彼は性格的に言って、まったくそういうタイプじゃなさそうだから無理か。
 やっぱりサッカー選手に本を書かせるのはかなり無理があるので、そんなのよりDVD出せ。どうでもいいような本がじゃんじゃん出るわりには選手個人のDVDってほとんど出ないのが不思議。私なんかYouTubeにアップされてる全タッチ集とか、単なる練習風景のビデオでも、いくら見てても飽きないので、好きな選手のDVDが出たら絶対買うのにな。

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