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2011年10月5日 水曜日

身辺雑記

膝痛話ふたたび――リハビリの話

これまでのお話
 原因不明の急激な肥満によって、長年の持病である膝痛が悪化した私は、自己流適当ダイエットと自己流適当エクササイズをやっていたのだが、いっこうに効き目がなく、ついには歩行困難に‥‥ (その間のいきさつは「ダイエット日記」で)

 というわけで、結局また病院に行くはめになりました。どうやら私の症状は運動とダイエットだけでなんとかなるものではないらしく、区の膝痛教室の理学療法士のお姉さんにも、教室の仲間にも、医者に診てもらったほうがいいと勧められたし。理学療法士が言うには、サポーターみたいな専用の装具もあって、それを試したら?とも言われたので。
 それでもなかなか病院に行く気になれなかったのは、どうせ行ってもまた運動とダイエットを勧められるだけで、なんの進展もないというのが目に見えてるから。運動やダイエットしても効果がないから、プロの意見を聞きに来てるのに。
 ただ、夏休み中は痛くてもどうにかなったが、大学が始まると、さすがにこれはこたえる。階段の上り下りができないだけでも、エレベーターのないところでは死ぬ思いだし、電車で座れなくて、つり革もつかめないと立っていられない。(踏ん張るということがまったくできないため、電車が揺れてよろけると、そのまま倒れてしまう) 

 そこでさっそくネットで近所の整形外科を検索。腰をやったときに行った東京臨海病院は、日記(2009年6月8日)にも書いたように、医療レベルは高いのだが、なにしろ3時間待ちがデフォルトなので、もういやだ。前に膝痛で行った医院も、鎮痛剤と湿布薬くれただけで、何も根本的な治療になってなかったし。
 結局、選んだのはFC東京(東京のサッカーチーム)のチームドクターだという先生が院長をやってる整形外科。ちょうど本田圭佑も膝を痛めて治療中だし、本田がバルセロナ(スペインの超強豪チーム)のチームドクターに手術してもらったなら、私はFC東京ぐらいでちょうどいいかと(笑)。いや、これは単なるシャレです。私なんかといっしょにしたら本田やFC東京がかわいそう。すいません。

 うちからは歩いて5分ぐらいの駅のそばにあるんだが、行ってみたらなんか見た目はものすごくしょぼい(笑)。このあたりは新築のしゃれたビルが多く、医院もホテルみたいな受付のあるかっこいいビルに入ってることが多いんだが、ここは古い雑居ビルの1階で、すごく狭いし汚い。
 にも関わらず、外から見える待合室内はお客さん、じゃなかった、患者さんでいっぱい、というあたり、なんか当たりのような気がしてきた。はやってるってことは評判がいいんだろうから。
 待合室(ここもすごく狭くて、とてもそんな有名な先生のクリニックには見えない)の壁には、サッカー関係のバナーやポスターがベタベタ貼ってあり、いかにも。(おそらくFC東京時代の)長友のサイン色紙なんかもある。ほほー。東京ヴェルディのバナーにラモス(監督)のサインがあるが、FC東京の前はヴェルディのチームドクターだったらしい。もしかしてやっぱり東京では有名なスポーツドクターなの
 それはやっぱりすごいと思うが、おそらく大多数はヴェルディだのなんだのなんて知らない患者にとっては、やっぱりなんか安っぽいなあ。ほら、場末のラーメン屋の壁に貼ってあるサイン色紙のノリなの(笑)。「世界の長友」の直筆サインなんだけどなあ。感心してくれるのはやはりサッカーファンだけ。アンドレに「FC東京のチームドクターにかかってる」と話したら、「すげえ!」と素直に感心してくれた。FC東京が二部落ちしてることは内緒で。
 とにかく診てもらう前はけっこう期待してしまった。サッカー選手というのはしょっちゅう足を故障するので、こういう人は足のエキスパートだろうし。ただ、そのわりには患者は例によって爺さん婆さんばっかりなんだが(笑)。そりゃそうか、プロサッカー選手は待合室で待ってたりはしないよなあ、たぶん。

 で、ほどなく呼ばれて診察室に入った。診てくれるのはその有名な院長先生なんだが、話し始めて5分とたたないうちに、これはハズレだと‥‥
 最初はお決まり通り、いろんな角度から足のレントゲン写真を撮って、ここが悪い、あそこが悪いと説明してくれるんだけど、そんなのはもう何度もやってるから、こっちも悪いところはわかってる。こちらが期待しているのは、それに対して何をしてもらえるかってことで。
 最近かかっていた内科の先生たちが、わりと親身になんでも説明してくれる人たちだったのでよけいそう感じるのだが、なんか無愛想な先生で、自分からはほとんど何も話さない。しょうがないから、私がペラペラと症状やつらいところを説明して、「で?」という顔をして見たら、先生は一言、「それでどうしてほしいの?」。
 私はこの一言で切れました。どうしてほしいって、患者が何のために病院に行くと思ってるんだ! 痛いのを治してほしいからに決まってるじゃんか!

膝の装具というのはこういうやつです。

 もう一度聞き返すと、どうやら、「どういう療法を望むのか?」と訊いているらしい。そんなの素人にわかるか! ていうかプロが素人に訊いてどうする? それがわからないからこうやって来てるのに、そんなのあんたが決めてくれよ!というのを、もう少し婉曲な表現で伝えると、いかにもやる気なさそうに、「(ヒアルロン酸)注射しますか?」と訊く。
 だからなんだって疑問形なんだよ! 私が答えに詰まってると、脅すように「(この注射は)すごく痛いですよ」と言う。だから、注射を勧めるのか勧めないのかどっちなんだよ! さすがに私も困ってしまって、「注射が必要だとおっしゃるんなら、痛いのはべつに我慢しますから平気です」と言ったら、向こうの方が困った顔をして沈黙する。あー、もう何がなんだかやりにくい!
 実は膝痛教室のおばさんたちから、ヒアルロン注射はすごく効くが、死ぬほど痛いという話はすでに効いている。それで治るなら痛いのはかまわないが、効果は永続はせず、数週間したらまた打ちにいかなきゃならないというのがいやだったのだ。
 そこで理学療法士に聞いた装具についてたずねたら、カタログを引っ張り出して、「こういうやつのこと?」と聞いた上、露骨にいやな顔をして、「僕は勧めないね」と断言。なぜなのかというフォローは一言もなし。
 私も写真だけしか見たことがないが、「なんかサイボーグみたいでかっこいい」と思ったのと、「こういうの付けたらいかにも歩くのが楽そう」と思ったので、試してみたかったのだ。スポーツドクターを選んだのも、そういう人なら真っ先にこの手を勧めてくると思ったからで、完全な誤算だった。
 それでも私が未練がましく写真を見てると、「僕は勧めないけど、どうしてもっていうんなら‥‥」って、あんたは何が言いたいんだ! 医者だろうとなんだろうと、ここまで主体性がなくて、はっきりしない人間って初めて見た

 この時点で、信頼感ゼロ! この医者に治療を任せる気はゼロだし、ここにも二度と来るつもりはないから、適当なところで話を切り上げて、早く帰りたくてしかたがない。
 でも、相手はまだなんかウジウジ悩んでて、横のリハビリルームをちらっと見て、いかにも投げやりな調子で「リハビリでもやってみますか?」。
 実はやりたかったので、「はい」と言うと、やっと治療方針が決まったせいか、ほっとした顔をする。重ねて私が、「リハビリを受けても効果がなかったら、注射を打ってもらうということはできますか?」と尋ねると、すごくうれしそうにコクコクうなずいてる。それがやりたかったんかい、あんたは?

 とりあえず、私は前からやってみたかったリハビリができて満足だったが、この医者はなんだったんだ? 言うことや態度だけ見てると、なりすましのニセ医者にしか見えなかったんだが(笑)。こんなのが本当に名門プロサッカー・チームのチームドクターなの? もしかして東大卒っていう経歴だけで人をだましてない? つーか、東大卒でまともな人間ってあまり見たことないんだが。(実体験から語ってますが、おそらく単なる偏見です)
 もちろんこれは完全な誤解で、もしかしたら外科医としての腕前はすごく高い人で、だけどコミュニケーション障害で、人とまともな会話ができないって可能性もなくはないけど、とにかくこんな医者初めて見たし、今後も診てもらいたいという気は失せた。

 そこで話はリハビリである。前々から興味はあったのだが、なぜか勧めてくれる医者はいなかったので縁がなかった。だから、病院のリハビリって、それこそ手術後とかの人しか受けられないんだと思ってた。(たぶん本田くんも今やってる) それでも、町の整体院とかの前を通るたび、気になっていたのは確かである。
 ただし整体は絶対にかかる気はありませんでしたがね。知らない人も多いみたいなんでいちおう書いておくけど、あれは単なる民間療法で医療じゃないですから。
 いちおう整体士という資格はあるけど、公的資格じゃなく民間資格で誰でも簡単に取れるし、だいたいが町にどんどん増えてるのを見ただけでも、誰でもできてボロ儲けできるからはやってるんだということぐらいわかる。それでも高齢化で、どこかが痛い爺さん婆さんは掃いて捨てるほどいるし、マッサージぐらいならしてもらえば誰でも気持ちいいことはわかるから、どこもすごい繁盛していて、私は苦い目で見ていたのだ。爺さん婆さんなんて白衣着てればみんなお医者さんだと思うし、違いなんかわからないだろうしなあ。
 整体の西洋版であるカイロプラクティックなんて、トンデモ療法として有名なのにね。なんでか日本じゃまともな医療だと信じてる人が多い。たとえ効果があったとしても、私は医者でもない人間に体をいじらせるなんてまっぴらだけど。
 病院でリハビリをしてくれるのは理学療法士。こちらはちゃんと国家資格があり、しかも(頼りないけど)医師の指示下で治療に当たることになっている。

 というわけで、その場ですぐにリハビリ室に回された。ここもすごく狭い部屋にベッドやありとあらゆる器具が並び、療法士が8人ぐらいいる。
 ところでこれは前々から思ってたし、腰痛持ちの友達に話したら、どこのリハビリ施設も同じらしいんだが、これって完璧に拷問室だよね!(笑)
 なにしろ、電気ショックの機械はあるし、(たぶんショックは与えないと思うが、「電気をあてる」って聞いただけでも拷問っぽい)、あっちこっちに拘束具がちらばってるし、(上の装具みたいなもんで、もちろん拘束具じゃないんだがそう見える)、手だの足だの縛られて壁につながれてる人はいるし、いちばん笑ったのは(笑っちゃいけないんだが)、天井からぶら下がったベルトで首吊られてる人までいる。(頚椎牽引ってやつだと思います) あとはアイアンメイデンとかギロチンとかがないのが不思議なぐらい。しかも拷問してるのは屈強な若い男ばかりだしね。(女の子は1名)
 わー、楽しそう! 私も一通りぜんぶやってみたい!と思うじゃないですか(笑)。ふつう思いませんか? 拷問は痛いからいやだけど、これなら気持ちよさそうだし。

 とりあえず、その拷問室リハビリ室に案内されて私はドキドキ。院長先生は私に勝手にしゃべらせるだけで、何も訊いてくれなかったのに、ここではクリップボードを持った女の子が、症状や既往症を詳細にチェックする。最初からこれやってくれたら、ここまで印象悪くならなかったのに!
 余談だが、このとき患者はベンチに腰掛けたまま、療法士はその傍らにひざまずいて話を聞いてくれるのもけっこうポイント。どこの病院でも看護士がこれをやるので、最初は私もびっくりした。あわてて立とうとして「そのままで」と制されたぐらい。理由はちょっと考えたらわかった。こういうところへ来る患者は、私がまさにそうなんだが、立ったり座ったりが困難な人が多い。だから患者は座らせたまま。
 ただベンチに並んで腰掛けないのはなんでかわからない。ベンチはあくまで患者用だから? とにかく、(こういう邪なことばかり考えてる患者はあまりいないだろうけど)かしずかれている感じでちょっと気分が良い。医者も偉そうにふんぞり返ってないで、ひざまずいて診察してくれたら、ちょっとは見直してやるんだが。
 とにかく何が言いたいかというと、さっきの先生より、こっちの女の子の方がよっぽどプロっぽくて安心できるんですわ。で、できあがった間診票を見ながら、みんなで集まって相談している。どうやら私の症状はかなり悪いらしい。これも何度も医者にそう言ってるのに、ちゃんと取り合ってくれたやつはいないので、ちょっとうれしい。
 そんなわけで、今日は初回でもあり、通常の倍の時間をかけてやってくれると言う。私の担当になったのは、見た目いかにも柔道かなんかやってたという感じの、小太りでがっしりしたスキンヘッドのお兄さん。でも、あとから雑談の中で、去年までロンドンで働いてたとか言ってたから、けっこう偉い人なのかも。

 リハビリといっても(拷問以外に)いったい何をするのかまったく予想がつかなかったのだが、この日やったのはほとんどが指圧やマッサージみたいなこと。それも足だけじゃなく全身。上半身のコリも膝に影響を及ぼすんだって。なんか言うことはそれこそ整体や指圧師みたいだな。だけど、マッサージは無条件に気持ちいいのでいいことにする。温泉地とかのマッサージ(マッサージなんてそれしか知らないので)と違って、押すだけじゃなく、引いたりもんだりいろいろしてくれて、しかもけっこう体を密着させてやるのでなかなかセクシー(笑)。
 ここで初めて知ったのは、上半身もかなりこってるということ。私は肩こりとは縁がないので、平気だと思っていたが、痛みがなくてもこってることもあるんだって。そういえば、四十肩っていうのか、いきなり腕が肩より上に上がらなくなったことはあったな。あのときは適当体操してるだけで治ったけど、年取るとだんだんそういう適当が利かなくなってくるのかも。

 最後、「テーピングもしてみますか?」と訊かれた。なんで訊く? これがここのやり方なのか。これもスポーツ選手とかがやってるのを見て興味があったから「お願いします」と言ってみた。これは膝ではなく、足の先(日本語は不便だ。legじゃなくfootのこと)に巻く。ふだん歩くときはどっちかというとここが痛いと言ったので。
 簡単そうに見えたので、「自分でもできますか?」と訊いてみたが、ちょっと無理だって。確かに相当力がいりそうだ。それだけ力を入れて巻いてるのに、あまり締め付けられた感じはしなくて、むしろ足が固定されて楽になった気がする。このテーピングは保険がきかないらしく、別料金で1回500円だった。ちなみに、診察と薬代を別にしたリハビリ代は1回1200円(もちろん保険込み)。安い‥‥んだろうな、たぶん。

 そうそう。リハビリのお兄さんに教わって初めて知ったこと。「ふだんどんな靴を履いてるのか知りたいから履いてきて下さい」と言われたので、2回目はリーボックのEasytoneを履いていったのだ。そしたら一目見て、「これはだめ」だって。言うまでもなく、「履いてるだけでエクササイズ」という触れ込みに惹かれて、少しでもダイエットに役立つならと思って買ったのだが、そういえば最近、アメリカかどっかで誇大広告で訴えられてたな‥‥。底が固い靴は膝に響いて痛いので、なるべくクッションの効いた靴が好きで、リーボックがいちばん柔らかいから好きだったのだが。
 これがエクササイズになるのは、底が丸くてグラグラするから自然とバランス運動になるということだが、私みたいに膝が悪くて元々グラグラの人が履くと、よけい膝の負担を増すだけだと言うのだ。そういえば確かに、歩いていると痛いのであんまり履かなくなっていたが‥‥。
 とにかくこういう情報がほしかったわけ。こういうのって靴屋の店員も教えてくれないし、医者も教えてくれないから、知らなければ(けっこう高かったのでもったいないという思いから)いつまでも痛いのを我慢して履き続けていたところだ。これから運動の指導とかもしてくれるというので期待している。運動もほとんど自己流で、これでいいのかどうか不安だったし。

 これに週1回通ってる。あの医者の診察が毎回必要ならもういやだと思ったが、どうやらリハビリだけでもかまわないようなので。まだ2回しか行ってなくて、効果のほどはわからないが、単純に気持ちいいからこれぐらい払ってもいいかって感じで。 

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