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2011年6月15日 水曜日

スポーツ

ニッポン・サッカーの元気 (前編)

キリンカップ2011

(注がちょっとくどいですが、サッカー記事はいちおうサッカーをよく知らない人にもわかるように書いてるので勘弁です。これ、書き始めたのが6月1日なので、やや時季外れの内容も勘弁です。どうせ時間がたっちゃえば関係ないし)

 私は「○○に元気をもらいました」という表現が身の毛がよだつほど嫌いだ。何がいやってこの他力本願がいやで、元気なんてのは他人から分けてもらうようなものじゃないだろうが、だったら、元気取られたほうはいきなりショボーンとなっちゃうのか?とイヤミのひとつも言いたくなるぐらい。
 でも震災後の日本で、暗くてみじめで腹が立って恐ろしいニュースばっかりのなか、日本に関してひたすら明るく楽しく華々しく、ポジティブなニュースだけを矢継ぎ早に送り込んできたのが、海外で活躍する日本人サッカー選手たちなのだ。(プラス、日本支援のさまざまな企画を立ち上げてくれた、内外のすべてのクラブと選手たちとサポーターの皆様)
 ほんの1年前(これを書いたのが6月1日だったので。もちろんワールドカップ後はすべてが変わった)には、この人たち(この時点では男子のことしか考えてない)がもたらしてくれるニュースと言ったら、韓国だの中国だのにこてんぱんにやられて、日本人でいることがますますいやになるような屈辱のニュースだけだったことを思うと、不覚にもついうるうるしてしまう。それも、こんなご時世にだからね。こんなご時世に玉蹴って遊んでるなんて、普通に考えれば不謹慎もいいとこなのに、私はなぜかあの人たちを見ていると胸が熱くなって元気がわいてきてしまうのだ。

 前にも書いた長友佑都のインテル(昨年度のヨーロッパ・チャンピオン・クラブ。ということは実質的に世界チャンピオン)加入だけでもげっぷが出るほどの大ニュースだったのに。加入と言ってもレンタルだったから、数試合ためしに使われて、まあそれなりにいいところを見せて、世界のスーパースターたちと記念写真取ってチェゼーナに戻ってきても、なんにも恥ではなかった。
 ところが実際は、最初のうちこそ少しとまどいが見られたものの、いつのまにかしっかりレギュラーの座を獲得して、そのまま正式加入したばかりか、今やちょっとしたアイドル。今年のインテルはなんかぱっとしないとは言うものの、腐っても鯛だし。

 さらにこれもすでに書いたが、チャンピオンズ・リーグ(UEFAチャンピオンズリーグ。略してCL。ヨーロッパのクラブ・チャンピオンを決めるリーグ戦)の準々決勝での日本人対決
 チャリティーマッチの話で書いたように、去年までは本田のCLで日本人初のベスト8進出が大ニュースだったのに、そのベスト8に2人。しかもそれがぶつかり合うということは、自動的にどちらかがベスト4進出で、あっさり本田を抜いてしまう。
 その宿命の対決でぶつかりあったのは、インテル(イタリア)の長友と、シャルケ(ドイツ)の内田篤人。普通に考えれば、昨年の覇者のインテルに対して、ドイツでもあまりぱっとしないシャルケは勝ち目がないと思えるところだが、そのインテルをシャルケがあっさり下してしまうあたりも、サッカーの意外性のおもしろさ。シャルケは準決勝でMan-U(マンチェスター・ユナイテッド。私は大昔はここのファンだった)に軽くあしらわれてしまったのはまあ当然だけど、よくここまでがんばった。
 そのMan-Uの優勝シーンを見たくて、朝の3時に目覚ましかけて起きたのに、新聞のテレビ欄が読めなかったために見られなかったのは内緒だ。まあ、どうせバルサ(スペインのバルセロナ)に負けたから見れなくて幸いなんだけどさ!
 (信じられないと思いますが、私は日ごろテレビを見ないので、テレビ欄が読めません。特に今はデジタルへの移行期なので、なんだかわけのわからないことになってる。新聞では決勝戦の実況はいちばん右の欄に書いてあったので、てっきり東京12チャンネルだと思って、ずっと12を見てたのだ。でもやらないから、「もしかしてデジタルだったのか」とあきらめて寝ちゃった)

 それで日本人初のCLベスト4に出場した内田だが、あいかわらず注目して見てます。いや、プレイよりキャラクターがおもしろくて(笑)。「サッカーなんてべつにそれほど好きじゃない」って言ってたって、創作かと思ったら本当だった。いかにもだなあ。本田とか長友とか、やたら熱い男が揃った代表で、冷めてるというか、とぼけた感じがすごい好き(笑)。
 さすがに、シャルケへ行ってからはおもしろいと感じてるみたいだが、そりゃそうだろうさ。でも内田もえらいよ。本田のチェスカや長友のインテルは彼らの加入以前からCL出場を決めていた強豪チームで、いわば棚ボタだが、シャルケはドイツの下位チームなのに、内田は予選から戦ってもぎ取った勝利だもん。
 以前、本田論の中で、自分と似ていて親近感覚えるなんて書いたけど、それは「日本の常識」にとらわれず、思ったことをはっきり口に出すところだけで、本田さんは基本的にまじめな努力家なので、私なんかとくらべるだけ失礼だった。だいたい、最初は考え方が日本人離れしていると思ったので本田が好きになったのだが、実際はちゃんと気配りも空気読むこともできる常識人だった。
 その意味、内田のほうがはるかにガイジン。海外行って、違和感なく溶け込める人ってタイプがあると思う。本田みたいに積極的に溶け込む努力をする人、長友みたいにほがらかで屈託ない性格で愛される人、あと、内田みたいにどこへ行っても超然としてマイペースの人。私はどう考えても最後のタイプだ。
 しかし、小さい頃からいつかは海外でプレーすることを夢見て練習に励むサッカー少年も多い中、「海外サッカーなんてべつに興味なかったし知らない」で海外へ渡って、CLで超有名選手(誰のことだったか忘れた)と対戦して、試合後のインタビューで「○○番の選手が‥‥」とか話して(名前も知らないで対戦している)、海外サッカーファンを唖然とさせた内田が好きだ(笑)。
 とにかく、内田の記事やインタビューはネタ満載でおもしろくて読んでしまう。

 とりあえず、今年はインテル長友の話題だけでも十分すぎるぐらいだったのだが、ヨーロッパのシーズンが終わってみると、香川はドルトムントでドイツリーグ優勝長友はインテルでイタリアカップ優勝内田はシャルケでCL4強に加えてドイツカップ優勝、アジアカップの怪我でずっとかすんでた本田も最後はCSKAでロシアカップ優勝(自身も決勝点をアシスト)と、日本国内がどんどん暗い雰囲気になって沈没していくのと対照的に、サッカー海外組はやたらめったら景気よく明るい話題ばっかりで、くす玉がパンパン割れて花火が勢いよく上がる感じなのはなんなんだー!
 なんかすごすぎてまだ頭がついていかない。実を言うと、未だにインテルのユニフォームを着た長友を見ても、コラ(合成写真)みたいな気がしちゃうのは内緒。
 それでとどめがFIFA女子ワールドカップで日本が初優勝!!!
 この記事は2か月も前に書き始めて、「サッカーばかりじゃ飽きられるし、そのうちまとめよう」とか思ってほっといたのに、ほっとくとえらいことが起こってるのが今の日本サッカーで、私が甘かった!のだが、とりあえず、その前にキリンカップをまとめておかないと。というので、今さらながらあせって書いてます。

まとめサイトじゃ「ペルー戦最大の見せ場」と評された、前半ベンチの四天王(マイナス香川。香川はまだ本調子じゃないのかお休み)。左から長友、内田、本田。長友の位置には最初は宇佐見が座ってたのだが、追い出された模様。確かにこの3人の放つオーラには誰も太刀打ちできない、のでは困る、というのが今の代表の問題点だと思う。

 これら四天王(としか言いようがないね、もはや)以外にも、海外に渡った選手はそれぞれの場所でそれぞれの応分で活躍しているのがえらい。
 個人的には岡崎が最後の最後で2試合連続ゴールを決めてくれたことでほっとした。点は取れなくてもチームにはその前から貢献していたんだけど、やっぱりフォワードは点取らなきゃ。しかも岡崎らしからぬ、すごい華麗なゴールで、これも成長の証か? これでシュツットガルトは降格を免れたというおまけ付き。もともと降格回避のために呼ばれた助っ人なんだから、ちゃんと務めは果たしたわけだ。
 GKというハンデがあるから当然とは言え、ベルギーのリールスという弱小チームに行って苦労してた川島も、終わってみればチームの降格を阻止した功労者に。固い守りが認められ、プレミア移籍の噂まで伝わってくる。
 あと、やっぱり個人的に気にしていたオランダのVVVの2人組吉田とカレン・ロバート。CBとFWだから、どこまで通用するか半信半疑だったけど、彼らも見事チームを降格から救って、いちおう助っ人としての役目を果たした。特にJ2でくすぶってたカレンが点取れるようになって、単なるネタブログ職人じゃないことを証明したのは、本人にとっても成功した移籍だったな。
 味をしめたVVVはまた日本人選手を狙っているらしい。一流選手のビッグクラブへの移籍もいいけれど、こういう底辺の、だけどJリーグよりよっぽどお客さん入ってお金もいっぱいもらえて、決して楽ではないタフな環境でしごかれるのって、一流になりきれない若い選手にはすごい勉強になると思う
 高校出たばかりの18才の宮市亮の、オランダ、フェイエノールトでの活躍は言わずもがな。オランダでは元ガンバ大阪の安田もレギュラーに定着している。
 あえてチャンピオンシップ(英国2部リーグ)を選んだ阿部も大丈夫かなと思っていたが、ちゃんとレスターでレギュラーで定着してるし。

 ザッケローニ監督が興味を示したことで、最近日本でも話題になったのは、MLS(アメリカのサッカーリーグということしか知らん)の木村光佑。私はMLSの優勝チームのレギュラーに日本人がいるというニュースはだいぶ前に見て、「すごいと思うけど、こっちで何も話題にならないのはアメリカサッカーがヘボいから?」ぐらいにしか思ってなかった。
 あわててYouTubeを見たら、Jリーグから声がかからなかったので、アメリカの大学行ってそのままプロになった人だという。175cmだからむしろ小さいんだが、すっかり溶け込んでいるばかりか、体つきも顔も完全にアメリカ人になっているので笑った。10年足らずでこうなるか? (ハーフかと思ったが、ご両親の顔見たら完全に日本人だった) 10年もいれば当然だが、英語も訛りの強いアメリカ英語を流暢にしゃべります。ただ、何度言われても、アメリカっていうだけでサッカー選手じゃなくてアメフトの選手に見えるなあ。(単なる偏見)
 こういう道もありか。アメリカの大学というのは完全なプロスポーツ選手養成所で、うまくすれば奨学金ももらえて、ただで最先端のトレーニングができるし、スポーツ得意な人にはおいしいかもしれん。これだけ英語ができれば(おそらく日本人サッカー選手でいちばんうまい)、サッカーやめてもいろいろ仕事が舞い込みそうだし。

 とにかく、昔から「海外行け、海外!」と念仏のように唱えてきた私としては、海外組の成功や、海外行った選手が見違えるようにたくましくなったのを見るのはうれしい限り。

 ただ、逆に言うと、これってJリーグの元気のなさの裏返しなんだけどね。私はJリーグを貶める気はまったくないし、Jだけ見てるぶんにはそれなりに実力が伯仲しておもしろいんだが、ワールドカップとか海外サッカーをちらっとでも見ちゃうと、そのぬるさにあきれてしまう。
 これでも最近は、Jでもかなり当たりは激しくなってきたほうなんだけどね。でもなんかみんなすごい礼儀正しくておとなしいね。「どうぞ、どうぞ」、「あ、どうも、どうも」という感じで。あと、とにかくスピードがなくてもっさりしてるし。Jばかり見たあとでプレミア(イギリス1部リーグ)見ると、早回しかと思うもん。
 これは決して私だけの偏見ではない。最近読んだ遠藤の本でもそう言ってたし、海外に興味もなかった内田が日本を出る決心をしたのも、Jリーグのぬるま湯体質がいやになったからだと言うし。内部の選手にもはっきり見えている弱点なのに、なんで改善されないんだろう? それでもサポーターは拍手喝采するし、ちゃんとお金もらえて生活には困らないからだな。

 これは監督の目から見ればもっと歯がゆいし、なんとかしなければという思いは強いはず。特にこないだのチャリティーマッチでは、いくらガチ勝負ではないとはいえ、「1軍」の海外組と、「2軍」の国内組の差は海より深いのを見せつけられてしまった。これでは過酷な日程を戦っていかなければならないワールドカップは不安でいっぱいで、もっと底上げが必要と、ザックも思ったはず。
 だから今日のキリンカップで、あえて上の3人を外して、新しい選手で新しい戦術を試したのも、そのための試行錯誤の表れだと思う。

日本対ペルー戦 (6月1日 新潟/東北電力ビッグスワンスタジアム)

 結果はと言うと、初招集の選手や代表経験の浅い選手が、ほとんど練習も戦術理解もないまま新戦術を押しつけられ、どうしていいかわからずオロオロと右往左往してただけ、というのが前半。それに対してペルーは効率的で見事な連係を見せていた。
 ま、これはしかたないと思ったね。とにかくもうすぐワールドカップ予選が始まってしまうので、その前に戦術や選手のテストをしようと思ったらここしかないし、うまくいかないのは予想のうちだろう。
 だけど、ザッケローニとしては予想以下の出来だったらしく、傍目にもだんだんいらだってくるのがわかり、このままじゃ負けちゃうというので、後半から本田投入、続いて長友も投入。内田はまた体調不良なのか出番がなかった。おいおい、この2人って、10何時間も飛行機乗って、きのう日本に帰ってきたばかりで、その前日には向こうで試合出てたんですって? 殺す気かよ。というか、内田と香川は休んでばっかりで大事に大事に使われてる印象があるのに、なんで長友と本田はこういう無茶な使われ方するのよ? まあ、それだけタフさが違うんだろうけど。
 並大抵のタフさじゃない本田・長友だから死ななかったけど、やっぱり本調子じゃなかったし、なんかちぐはぐと一貫性を欠いた試合で、結果はスコアレス・ドローに終わった。
 そういう消化不良みたいな試合だから、ファンの間では評判悪いようだが、私としては「本田抜きで惨敗して、本田様の偉大さを思い知るがいい」ぐらいに思っていたからべつにそれほどでも。ただ、日本代表の将来を思うと、ちょっと暗雲が見えたかなとは思う。しかしまあ、そこまで真剣に日本のことを思ってるわけではなかったりして(笑)。
 むしろ、本田が入ったとたん、いきなりちゃんと試合ができるようになったところや、本田・長友の体つきや動きが他の選手とはまるで違って、チワワの群の中のオオカミみたいに見えることにワクワクしちゃったりして。

 そんなわけで個人的には、今日のハイライトは本田の「起き上がりシュート」。文字通り起き上がり小法師みたいなシュートなの。
 本田が長友からの早いパスを足元で受けたのだが、後ろのDFに引っ張られたかなんかで、膝から崩れ落ちてぺたんと座り込む感じで倒れてしまう。だけどボールはそのまま目の前にある。のを見た本田が、正座状態からバネにはじかれたようにパッと立ち上がり、そのままワンステップでものすごいスピードのシュートを蹴り込んだのだ。惜しくもわずかに枠を外れたけど。
 この動き! ダンサーみたい! というか実は昔、Take Thatの振り付けに、正座状態から一瞬でポンと立ち上がって踊るというのがあって、(当時は膝が痛くなかった)私はかっこいいと思って練習してみたけどどうしてもできなかったという経験があるのだ。これだけ運動能力が高いとなんでもできるんだな。
 この立ち方だけでも感動したが、その無理やりな体勢からのシュートの重さがすごいな。確かに最近シュートがあまり入らなくていろいろ言われてるが、(とはいえ、CSKAではトップ下をまかされたとたん1試合2得点したあたり、やっぱり使われ方にも問題あると思うが)、これだけのキック力がある人は、無理してコーナーとか狙わず、ど真ん中に叩き込めばいいんじゃない?
 本田のシュートのスピードと重さからして、キーパーが止められなくて弾く可能性は高いし、そういうこぼれ球を飛び出して押し込む器用な選手は日本にはたくさんいるんだから。

 というわけで、私は(前半こそ居眠りしてたが)けっこう楽しんでしまったが、スターが生まれるのはいいけれど、スターとその他大勢の差があまりに開きすぎるのも考え物という話。でも私はけっこう楽観している。全体がまだ弱いうちはこんなもんだよ。だけど時間はかかるだろうけど、昔は10年に1人だった本田や長友や中田みたいな選手が、そのうち1年に1人になり、1年に2人になり、そうやって全体のレベルというのは上がっていくものだから。
 戦術に関しては、私はそんなもん何も知らんのでパス。ただザックの宝刀である3バックを試して失敗したのだが、これだけ準備不足じゃ何も言えない。それにこの監督はダメだと見るとさっさと作戦変更する柔軟性があるから、これもあまり心配してない。これまでの監督は頑固に自分の作戦に固執するやつばっかりだったから。
 本田と長友以外でよかったのは、相変わらずピンチでは超人的なセーブを連発する川島。彼もクソ弱いチームに移籍してかわいそうみたいな見方されてるが、ある意味ゴールキーパーに取っては強豪チームで何もやることなくて突っ立ってるより、いい鍛錬になってるんではないか(笑)。それより何より、いくら弱いとはいえ、日本人がヨーロッパの1部リーグで、正キーパーとして毎試合ゴールを守ってるというだけでも奇蹟だ。しっかりやってればちゃんと評価もしてもらえるし、彼はまだ若いので、もっと上も目指せると思う。
 今日は完全な負け試合だったのに、それを引き分けに持ち込めた、ひいてはザックJapanの無敗記録を守り、ついでに日本の「非公式世界王者」のタイトルも守ったのは川島のおかげ。
 あと、今までは使ってもらえなかったのでネタとしてしか活躍できなかった森脇が、よく動いて見せ場を作っていたのに驚き。なんでこれまで出してもらえなかったのかな? ああ、サイドバックだからか。でも長友・内田がいつも出られるわけじゃないし、この人にはもう少しチャンスをあげてほしい。

 それ以外の個人的見所は審判(笑)。本田は今日は出ないと思ってたから、審判だけ見るつもりだった。今日の審判団はイングランドで、つまりワールドカップ決勝戦のあの審判団。なんでこんなエライ人たちがやってきたのかわからないが、日ごろアジアのクソ審判ばかり見せられてる身としては、夢のようにすばらしいレフェリングでした。ハワード・ウェブさん(主審)、でっかいしかっこいいしステキ。だけど、そんな一流審判の目の前で、あんな不甲斐ない試合したと思うとかなり恥ずかしい。 

日本対チェコ戦 (6月7日 神奈川/横浜国際総合競技場)

 結果はこちらも0-0で、結局今年のキリンの3試合はすべてスコアレス・ドロー。3チームすべてが優勝という、なんともヘンテコな結果になってしまった。
 今回も3-4-3のフォーメーションを試し、ザッケローニは手応えあったみたいなことを言ってたが、私の目にはまだ機能してないとしか。今までうまくいっていた戦術を放棄してまで採用するほどの戦術なのかねえ?
 とりあえず、やっぱりなんとなくギクシャクした試合をしてしまったが、ほぼフルメンバーで臨んだ今回はDF陣は合格ラインといえよう。だって、川島がドヤ顔する場面が少なかったもの。押されている試合だと川島ばかりが目立つんだが、それがほとんど見られなかったということは、DFがほとんど守りきったということ。
 一方のチェコも堅守が取り柄のチームで、特にGKのチェフは世界有数のキーパー。そのチェフのファインセーブが何度も見られたと言うことは、日本はけっこう攻めてたんだが、一歩及ばずの引き分け。点が入らない試合って、退屈だのなんだの叩かれるけど、私はサッカーの0-0は互角の好勝負だと思うがね。それより、ペルーやチェコに勝って当然みたいな雰囲気になってるのが笑える。ほんの1年でどれだけ偉くなったつもりなんだ。私的にはこの2引き分けは大善戦だと思うが。形はどうあれ不敗記録が続いてるのもすごいし。
 あと、試合とは関係ないけど、どこと戦ってもたいてい、相手チームには日本人選手の同僚がいるということに感動してしまう。ペルーには内田のシャルケの同僚ファルファンが、チェコには本田のチェスカでの同僚ネチドがいるっていうふうに。これってすなわち、日本選手の多くが、世界各国の代表選手が集まるようなチームに所属しているということで、少し前なら考えられなかったことなので感激してしまう。確かに、ワールドカップで日本がエトー(カメルーン)やスナイデル(オランダ)と対戦したときは、相手はこういうときじゃないと会えない世界のスーパースターという雰囲気だったのに、今や2人とも長友の同僚で、彼らとふざけあったりしてる写真が新聞に載るんだよなー。信じられない。

 でも問題点も。今日なんかほとんど本田のワンマンショーでしたな。もちろん私はそれを期待してたんだけど。負傷も癒えて、ロシアではノリノリのようなので、久々に本田の活躍が見られると期待してたのよ。こないだはさすが鉄人でも疲れがあったと思うし。
 そしたら確かに本田が大活躍。FK4本外したのはちょっとがっかりだけど、シュートのほとんどがすべて本田経由だったし、攻守に獅子奮迅。というか本田さんばっかりテレビに映りすぎ(笑)。ということはつまり、他の選手が消えているということでもあって、DFはほめられても前線の選手はいまいちだったなあ。

 というわけで、今日のハイライトは私的には、本田のチェコ選手吹っ飛ばし(しかもファウルなし)。フィジカル強いのは知ってるが、やっぱり目の前で見せられると興奮するね。本田はびくともしないのに、相手は完全に宙に浮いて一回転してたもんなー。日本人としてはガタイあるとは言っても、やっぱり白人にまじると華奢に見えるのに、この人と長友のフィジカルの強さはほんと異常。

再び本田圭佑のこと

 いやね、私はむしろ他の選手の成長に期待してたんですよ。というか、去年は本田だけモノが違うと思ってたけど、その後他の海外組の華々しい活躍ばかりが報道されるので、なんか周囲にどんどん追い抜かれて行くような気がして。というか、マスメディアはほとんど「本田の時代は終わった」みたいな論調だったからね。だから「10年に一度の逸材と思ったけど、彼はW杯のあの伝説だけ残して忘れられていく運命なのかな」なーんて思ったりもしたのだ。

 ペルー戦のあと、写真を捜して日刊スポーツのサイトを見てたんだけど、うわっ、なにこのひどい言いぐさ! 「本田トップ下で不発にさえず」って、日本語も変だが、とてもじゃないけど試合に出られるような状態じゃなかった、あのめちゃくちゃなスケジュールに一言も触れずにこれって、人にケンカ売ってるんかい!
 そういや、確かに日本じゃ嫌われるタイプだろうとは思ってたけど、ワールドカップ以後の日本のメディアのネガティブ・キャンペーンはひどすぎる。あれだけの国民的ヒーローなのになんで? おそらくW杯後、カメラに向かってペチャクチャしゃべるのを嫌った本田が、ほとんどの取材(特にテレビ)を拒否してきたあたりに原因があるんじゃないかと思うのだが。
 アジアカップでの怪我で、しばらくロシアでもベンチだったが、それをまるで干されてるような書き方して、それを信じたバカがまたあおり立てて。こんなことなら、本田出さないでボロ負けすりゃ良かった。少なくとも前半見てりゃ、遠藤、長谷部じゃペルー・レベルの敵相手にはゲームメイクできないのが明白だったのに。
 チェコ戦の前も、「本田は3-4-3の構想外でベンチ」とか書いた新聞(スポニチ)もあったんだって? 日本サッカーがせっかく世界に追いついてきたのに、サッカー・ジャーナリズムはひどすぎるってよく言うけど、こういうメクラが記事書けるんなら私でも書けるわ。ここまで行くと意図的にネガティブ・キャンペーン張ってるとしか思えないね。

 で、結果はというと、はからずも本田は日本の不動のエース、というか、本田がいなけりゃまったく機能しないことを見せつけられただけだった。ペルー戦のあともチワワの群の中のオオカミなんていたけど、本田(と長友)と他の選手との差がまだこれだけあるのかっていうのもかなりショック。
 ペルー戦の前半がそうだったし、チャリティマッチでもそうだったけど、日本代表って本田がいないとたちまち昔の日本代表(ボール持ってよく走り回るが、ペナルティエリア内ではパス交換してるだけ)に戻ってしまうというのを見せつけられたし。「日本サッカーを決定的に変えたのは本田」というのを、私はずっと主張してきたし、彼のファンだから喜んでもよさそうなものだが、やっぱり次のワールドカップのこととか考えるとあまり喜べない。
 特に若手なんてそういうお手本を間近で見られてすごい勉強になるはずなのに、単純に「すげー! かっこえー!」と感心してるだけで、本田や長友を踏み越えていくような気概のありそうな奴がひとりもいないし。なんかそういう見るからに頼りなさそうな連中を見ていると、「(本田や長友は)これだけ素質がある選手なんだから、もうちょい強いナショナルチームにいたら(つまり日本人じゃなかったら)もっともっと輝いて注目されただろうに、かわいそう」とさえ思えてくる。

 まあ、代表で不遇ならクラブで輝けばいいんだけど、ロシアはねえ‥‥やっぱりできれば出てほしいね。ヨーロッパがシーズンオフに入った今の時期は、海外でも移籍関係の飛ばし記事が飛び交う季節(日本のメディアはただそれを翻訳して載せるだけ)だが、例によって本田の移籍話も大量に出ている。でも本人が残留を匂わすような発言したり、信憑性はまったくなし。
 確かにクラブ・ランキングでは、チェスカは日本人の所属クラブとしてはインテルに次ぐぐらいの強豪だし、無理して出る必要ないと言ってしまえばそれまでだが。それに移籍してまだ1年かそこらしかたってないし。しかし、サッカー選手の寿命は短くて、24才というのはサッカー選手としては決して若くないし。
 しかし、この人はどうしてこうスペインにこだわるかね? 私としては「敵国」でプレイする本田なんか見たくないんだが。とにかく、私はプレミアに日本人を1人でも送り込みたいのだが、それが本田なら言うことなし。Man-Uならいちばん理想だが、Liverpoolでもいいことにしよう。でもMan-Cは絶対いや。

〈本田圭佑追記〉

 と、上のを書いたのは本田が叩かれて気落ちしているときだったのだが、その後ロシアに帰った本田は、いきなり無双状態で我々ファンを喜ばせてくれた。
 とか言って、私はYouTubeで見るだけだし、ここんとこ日記書いてなかったので、具体的にどうすごかったのかは忘れてしまったし、ハイライトだけ見て何が言えると言われちゃうかもしれないけど、本田ぐらいになると熱心なファンがいるから、全試合とは言わなくても、ものすごく長いビデオをアップロードして下さる人がいるのよ。
 それを見てて思ったのだが、まるでワールドカップの「持ってる本田」が蘇ってきたかのようだった。ちょうど時期も去年のワールドカップの開催時期とかぶってたし。
 いや、クラブでの活躍という点では、オランダのVVVで王様だった時代を彷彿とさせる。元はと言えば、オランダ二部時代の神がかった強さ・うまさを見てファンになった私としては感無量。オランダでは「カイザー(皇帝)ケイスケ」と呼ばれていたが、ロシアだからツァーリかな。しかも、周囲のレベルはオランダよりはるかにアップしているのに。
 とにかくピッチを縦横に駆け回って神出鬼没。ロシアへ行ってからは、かつての貪欲な攻撃性が失われたようでちょっと寂しかったのだが、ドリブルでガリガリ攻め込むは、そのドリブルがまた足に吸い付くようで、もちろんゴールもバンバン決めるし、文字通り昔の本田が帰ってきたようで、涙が出るほどうれしかった。

 で、これを見て、やっぱりこの人は弱音を吐いたり顔には出さないけど、疲労の蓄積が並大抵ではなかったのだなと。移籍や代表戦で、何年もほとんど休暇らしい休暇を取ってないというのは前から言われてたけど、やっぱりワールドカップの疲労は普通じゃないと思う。予選からずっと、ひとつも落とすわけにはいかない試合を戦ってきて、おまけに本番では実力以上(?)のがんばりを見せたんだから。その余波でアジアカップも優勝したけど、それは選手全員のがんばりのおかげで、本田は明らかに本調子を欠いていた。それを無理したから故障しちゃったわけで。
 結局ワールドカップの疲労から回復するのに1年かかったと思えば、昔の本田が戻ってきても不思議はない。年齢的にも選手としていちばん脂がのってる時期だし、これぐらいできて当然だったのに、ワールドカップで主役を張るってのはあんなにも人を消耗させるものだったのかと。
 ロシアリーグはその数戦でオフに入ってしまったが、おかげで来期が楽しみになった。もちろん代表での本田にも期待。早い話が、2010ワールドカップ組より、よっぽど期待が持てそうなメンバーが揃ってるし。ただ次のW杯はまだ先だし、とりあえず彼に必要なのはその実力に見合った大舞台だと思うのだが、次はどこで魅せてくれるのかな?

 あと、人間的にもこの人は尊敬している。テレビ出演をすべて断ってるのもそう。最近ではまともなサッカー番組がほとんどなくなってしまったのだが、代表選手はやたらバラエティ番組に出てて、私はもちろん大嫌いだから見ないが出てるだけでも不愉快。そういうのをきっぱり断れる本田ってえらい。
 他の奴らがそういうチャラチャラした番組に出て浮かれているのに、彼は帰国するとその足で被災地を訪れるあたりもえらい。が、あまりに優等生過ぎて私はちょっと引くかな(笑)。まあ、この人にも明らかな弱点はあるが‥‥それはファッション。というわけで、最後は例によってのヨタ話で締めくくる。

 いろいろな意味で話題になった成田からの出獄出国風景。わざとらしい変換ミスがわざとじゃなく思えるぐらい、どこのロシア・マフィアかって感じですよね。おまけに真っ赤なフェラーリに、お出迎えの若い衆(笑)。何を考えてるんだ、この人は! これでも遠目だからまだ見られるんであって、あえてアップの写真を使わなかったのは武士の情け。

 サッカー選手の成田コレクションについて言えば、中田ヒデは確かにいろいろ物議をかもしはしたけれど、好き嫌いは別として、少なくとも彼のファッションは見るからにヨーロッパのハイファッションとして、納得のいくものだった。だけど、三浦カズのあれは、良くて成金、悪くて西部警察ルック(笑)。

 それで、どう考えても本田のあれはカズをお手本にしてるとしか‥‥。奥さんいるんだから、なんとか言ってあげて! というか、やっぱり大阪人にセンスを求めるのが無理なのか。
 ダンヒルのスーツ(下の写真。サッカー日本代表チームのオフィシャル・スーツ)はこんなにも似合ってかっこいいのに、私服となるとサーカスなんだから。
 まあ、一説によるとあの成田ファッションは全部受けを狙ったもので、一種のジョークという説もあるのだが、大阪人だとそういう言い逃れができていいな。

 一方、成コレで見違えるように洗練されちゃったのが長友。これも以前どこかで聞いた話で、インテルほどの選手になると、私服にもスタイリストがつくって、ほんとかしらと思うが信じそうになる。

 本田選手と言えば、アクエリアスのCM(写真クリックでYouTubeの動画が出ます)は楽しませてもらいました。Three Kingsと銘打って、サッカーの本田が水泳、水泳の北島がゴルフ、ゴルフの石川がサッカーをやるところを見せる企画。

 こういう異種格闘技みたいなのは文句なしで楽しいので好き。CM自体はいかにも今の日本のCMらしく、ダサい作りでがっかりだったけど。
 せっかくこれだけのスーパースターを揃えたんなら、お遊びじゃなくて真剣にスポーツやってるところを見せろよ。本田は飛び込みを見せたんだが、走ってきてボッチャンと飛び込むだけだし、石川はサッカーもできるらしいのに、見るからに素人くさい下手くそな場面しか映してもらえないし。

 とりあえず、アイディアとして「本田を脱がせる」というのをどうしてこれまで誰も思いつかなかったのか不思議。だって、この人はやっぱり顔より体でしょう。水泳選手の体も確かに素晴らしいが、水泳選手は浮力を付けるためかふっくらした体つきなのに、サッカー選手は一切むだをそぎ落とした筋肉だから目にうるわしい。私だったら、全身じっくりスローモーションで見せるのに、ほんとセンスないCMだな。

 しかし映像で見るとほんとに細く見えるんだがなあ。この体で体重倍ぐらいありそうな外人を吹っ飛ばすからびっくりなんだよね。

 

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