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2011年5月1日 日曜日

身辺雑記

デブとの遭遇――肥満のレベル7

(タイトルはもちろん『未知との遭遇』のもじりですが、つまりデブになるというのは私にとっては未知の地平へぶっ飛ぶようなものだったので、ってタイトルの説明するのってバカみたい。「肥満のレベル7」というタイトルもあまりに不謹慎だと思ってやめようかと思ったのだが、でも私にとってはメルトダウン並みのまったく想定外の大惨事ということで許してね)

 この3か月ほどで劇的に太った。例によってうちの体重計は壊れているし、このところ病院へ行っていないので正確な体重はわからないのだが、体感で20kgぐらい太った。いや、嘘じゃないって。私ぐらいの身長があると、5キロぐらい太っても痩せてもほとんどわからないし、自分でも気づかないレベルなのだが、今度ばかりはどうにも言い逃れようがないほど太った。
 写真を載せるのがいちばん手っ取り早いが、さすがにそれは乙女心を傷つけるのでパス。その代わり、ダイエットが成功して痩せたら、Before & Afterの写真を公開してやるから覚悟して待ってなさい(笑)。

私の知らない世界

 いちばんわかりやすいのはこれかな? 証拠として2006年12月17日の日記に、「着るものの話」として、「年取って太ったらもう絶望的!」なんて書いてるが、このときのウエスト・サイズが70cm。その前もさんざん、「67かよ、うへー!」とか嘆いていたのだ。
 若いときの私のウエストはもちろん58cm。よくある公称じゃなくて実寸。おまけにその当時でもバストは85あったし(乳ではなく胸囲が)、ヒップもそれぐらいあったので、文字通りバービー人形体型でした。服を試着してると、覗いた店員がびっくりして、「うわー、細ーい!」と叫ぶレベル。それ以前、前にも書いたが、健康診断のたびに「栄養失調」と書かれていた子供時代は置いとくとしても、つねに病的に痩せていた。
 30才を過ぎたころ、持病を得たのだが、その薬の副作用でかなり太った。でも私は喜んでいた。「やっと人間らしい体型になれた」と言って。実際、それまでは自分で鏡を見ても痩せすぎで気持ち悪いというレベルだったので。あいかわらず胸はぺちゃんこだったが、水着を着る自信もできてすごくうれしかった。そこで30代、40代は、ミニスカにボディコンでブイブイ言わせていたのだが、さすがに50を過ぎると中年体型になってきて、上の絶望的という発言に至るのだが、この当時でウエスト70ですよ、いいですか?
 確かにその後も徐々に肥満は進み、これはちょっとなんとかしないとなあとは思っていた。それでもせいぜい75ぐらいで、これぐらいの服ならまだ普通に売っているのだ。

 ただ、ちょっと予感はあった。それは去年の夏のスコットランド旅行のとき。同行の石神さんが私の知らぬ間に後ろ姿の写真をたくさん撮っていたのだが、それ見て、「ゲッ、私ってこんなに尻でかい?」。まあ、昔からお尻は小さいほうじゃありませんが、それでも服屋の姿見ではまだ十分スマートに見えたんだが。(家に大きな鏡がないので、全身を見るには外出先の鏡で見るしかない)
 確かに自分の後ろ姿ってのは普段見れないからなあ。こんなに太ってたのか。ただ、あの頃はまだ服が入らないとかいうレベルじゃなかったので、つい楽観していた。

 ところがこの春、あまりに太りすぎて、外に着ていく服がなくなったことに気づき、「しゃあない、とりあえず安いジーパンでも普段着に買うか」と言って、近くのg.u.(ユニクロの系列店)へ行った。私は日頃から(足が長すぎるので)メンズしか買えないから、迷わずメンズのジーンズの大きそうなのを試着したが、これも入らない、あれも入らないというので、とうとう店にある中でいちばん大きかったウエスト88のをはこうとして、入らないことに気づいたときの衝撃と言ったら!
 普通女性がメンズを履くとウエストはぶかぶかなものなのに、ウエスト88cmのメンズが入らないってどうすりゃいいの! もちろんジーンズなら、120cmとかのサイズもあるのは知ってるけど、いくらなんでもメンズの肥満サイズを買うほど身を落とす気はない。
 これはあれよ。女は尻が大きいから入らないだけよ。だったらスカートでいいじゃない。と言って、やはりウエスト88のスカートを試着しようとしたら、そもそも尻につかえてそれ以上あがらない。ガーン‥‥。マジでウエスト90超の世界に突入?
 以前から「大きいサイズ」コーナーで、ウエスト90のスカートとか見たことはあったけど、「こんなの誰が履くのよ?」って感じで、象が履くとしか見えなくて、思い切りバカにしていたのに、本当にそういうのしか着れなくなってしまった! この冬前までは数年前に買った服を(「ちょっときつくなったな」と思いながらも)平気で着ていたから、やっぱりウエストは75cmぐらいだったはずなのに、数か月で15cm以上増えるってなんなのよ?
 半信半疑で、今メジャーを持ち出して測ってみた。アンダーバスト95、ヒップ108‥‥って、ここまででも普通の人はのけぞるだろうけど、痩せてる痩せてると言われてた40才ぐらいの頃もヒップは1メートル近くあったので、これはぜんぜん驚かない。だけど、ウエストはやっぱり88! じょえー! サイズ88が入らないのは、やっぱりウエストじゃなく、お尻のせいだろうけど、このサイズはありえないよ。
 だいたい、二の腕と太腿は痩せてた頃のゆうに二倍の太さがある。つい怖いもの見たさに駆られて、太腿のいちばん太いところを測ってみたら、62cm! これって痩せた人のウエストサイズじゃない! ついこないだまで9号着てたのに、スカート試着しようとしても、途中でつっかえて上がらないのも当然というか。

 これはヤバい。マジヤバい。これまでも、「太った」とか「ダイエットしなきゃ」なんて、この日記でも何度も書いていたが、実を言えばぜんぜん緊迫感はなかったの。元が痩せてた人間の特徴だと思うんだけど、太ることにぜんぜん罪悪感や焦燥感がないし、いつでも痩せられると思ってるから、甘く見てるんだよね。実際、これまでは、「ちょっと腹出てきた?」と思ったら、夕飯を控えるぐらいで、翌朝には平らに戻ってたし。でも今回はそんなレベルではない。まさに肥満のレベル7!
 なんで気づいたかというと、その腹なのだ。そもそも私にとっては、腹、つまり腰骨と腰骨の間というのは、陥没しているもので、それが平らになったときは喜んだぐらいだ。しかし、凹んでいたものが平らになったということは、一般人ならばそれだけ腹が出たという証拠で、そこで危機感を感じても良かったのに。
 あれは1月だったか、ある朝、何気なく下に落ちてるものを拾おうとして、腹のあたりに何かがゴロゴロはさまってるのを感じた。私はぶかぶかのメンズのTシャツとトレーナーを寝間着にしているので、それが腹のところで固まって丸まってるんだと思って、引っ張って伸ばそうとしたら腹の肉だった(笑)。なにこれー?
 同様に、お行儀は悪いが、私はこうやって机に向かっているとき、足を椅子の上にあげて、膝を抱え込む形で座ることが多い。ところがそれができない。太腿に肉が付きすぎて膝を折ることができないのだ。それどころか、いつかの腰痛の時みたいに、靴下を履くのに、足先に手が届かなくなってる! 今回は腰は(そんなには)痛くない。腹と太腿の肉が邪魔して(もちろん足が長すぎるせいもあるが)手が届かないのだ。これもまるで足にクッションでもはさんでるみたい。

 おもしろいのでいろいろ実験してみた。手を片手は上から片手は下から背中にまわして、どこまで届くかってのあるじゃない。私はあの姿勢で楽々握手することができた。体が柔らかいからではない。体は若いころから固いのだが、足同様、手が長いから。ところが今ためしてみたら、握手どころか指先も触れない。背中にも二の腕にもすごい肉が付いてる。
 正直に言おう。尻は昔からでかかった(というか骨盤が大きいので幅だけあった)し、足もどっちかというと太いほうだった。自分ではこれだけの身長を支えるためには、下半身が安定してないとならないからと言い訳してたけど。
 だけど、上半身に肉がついたことは一度もなかったのだ。だからジーンズはメンズしか履けないけど、上は楽々9号が着れた。それが今はまんべんなく全身に贅肉が付いてる。
 まんべんなくという言葉が嘘じゃないのがわかるのは、足の先にさえ肉が付いたこと。さすがにこれは見た目ではわからない。さわってみても、「そういえばあまりゴツゴツした感じじゃないなー」というレベル。ところが歩いていると足が痛いのだ。

 何度も言うが、私は膝が悪いので、靴は柔らかくて弾力のあるトレーニングシューズしか履かない。体のわりにそんなに大足ではない(24.5cm)のだが、幅は細いものの指が長く、日本人にはめずらしい甲高の足型なので、長さで合わせるとどうしても甲の部分が当たって痛い。そこで25cmのスニーカーが甲が当たらなくていちばんぴったりなのだ。
 ところがここ数週間、歩いていると足の甲がすごい痛む。靴擦れの痛みよりもっとひどい、文字通り骨がガリガリ削られるような痛み、つまり持病の膝関節変形症と同じ症状で同じ痛みだ。一日歩きまわったあとは、家で素足でいても足を下ろすたびにズキズキ痛む。足が完全に変形しちゃったような感じ。理由がどうしてもわからなくて、外科に行こうと思っていたのだが、これを書いていてハッと気づいた。
 足にまで贅肉がついて太くなってしまっているのだ。それでこれまでは当たらなかった甲が圧迫されて痛むのだ。足が太るなんて聞いたこともない! ありえねー!

 しかも徐々に太ったんならまだしも、それが異常なほど一気にきた。私も年が年だから、ある程度は太るのは覚悟してたけど、これはないよー。というか、大学の休み前と休み後で、こんな別人みたいに太るなんて
 3か月前にはむしろゆるゆるだったスカートやパンツが入らないんだから。体感としては、肉襦袢(お相撲さんの格好をした着ぐるみ)でも着てるみたい。頭がまだ新しい体にぜんぜん慣れていないから、車幅感覚ならぬ体幅感覚がつかめず、細い隙間をすり抜けようとしてとガリッとこすってしまったり、人とすれ違いざまに(感覚では当たるはずがないのに)バイーンとぶつかってしまったりする(笑)。
 腹なんか妊娠したみたい。妊婦がよく無意識に腹をなでているが、あれと同じ動作をしてしまう。自分の体と思えないから、不思議でついさわってしまうのだ。

私がデブになったわけ

 これほど太った理由なのだが、それがどうしてもわからない。そもそもデブって食べるから太るんでしょ。カウチポテトみたいなことやってて太ったならまだ納得が行くけど、私、少食なのに! というか、それこそ若いころからそうだから、そんなに食えないのよ。たまに外でフルコースのご馳走なんか食うと、たちまち腹を下してしまうぐらい。
 脂っこいものは好きだし、洋食大歓迎なんだが、旅行記を見てもらうとおわかりのように、スナック程度のものばかりしか食べてない。まともなレストランのフルコースなんて絶対食べきれないから。
 特に一人暮らしを始めてからは、主として怠惰なせいで食はおろそかにしてるし、いい年になっても、人に会うと「ご飯ちゃんと食べてる?」と学生みたいなこと言われるぐらいで(笑)。
 普通は一日2食。2食と言っても、1食は冷や奴だけとかいうパターンも多いし、そもそも炭水化物をあまり取らないので、おかずだけのこともあるし、めんどくさかったり、食欲ないときは1食の日も多い。なのに、世間の人は三度三度食べて、おまけに、電車の中だの職場でもパクパクなんか食ってるじゃん!(私は外出先でものを食べることはめったにない) 学生なんかお菓子ばっかり食ってるしさ。(私はお菓子を買ってもたいてい食べ残して捨てることになる)
 まあ、これに関しては、同じ肥満に悩む友人が言っていた、「水飲んだだけでも、空気吸っても太るんだよね」というセリフがあるから(笑)。

原因その1 地震太り

 大学の同僚に話したら、「それはストレス太りですよ」と言われた。地震の精神ストレスが体に影響を及ぼしているのだという。う〜ん、そんなのありかなあ。確かにあれはけっこう精神にこたえたが、実際は何も被害受けたわけでもないし、私はストレスには強い体質なのに。だいたい、ストレスでバクバク食べたってわけでもないしね。
 ただ、ちょっと思い当たることはある。第一に、地震のおかげで普段見ないテレビ漬けになっていたこと。まあ、これは普段パソコンやってる代わりにテレビ見ていただけだが、なんとなく自粛ムードや余震の心配のおかげで、外へも遊びに行けないので、運動不足は明らかだった。おまけに、ゲームとかやってるのも不謹慎な気がして、手持ちぶさたでよく家事をするようになり、わりとちゃんとご飯作って食べていたのが悪かったのか?

 むしろ私的な解釈としては、私はいつも言うようにケダモノなので、地震にもケダモノ的反応をしたと思いたいね。つまり、こういう天変地異に巻き込まれた獣がいちばん心配するのは飢え死にすることである。実際、福島では牛や犬がたくさん死んでるし。そこで本能的に皮下脂肪を貯め込んで飢えに備えようというメカニズムが働いたのでは?と。

原因その2 禁煙太り

 しかし、太り始めたのはその前からで、やっぱり考えられる最大の原因は禁煙。

 そうそう、あれから何も書いてなかったけど、禁煙には拍子抜けするほど簡単に成功しました。11月4日の日記の時点では、まだ禁煙パッチを貼ってたけど、あのあと、まだ3週間ぐらいパッチを続けるはずだったのに、けっこう高いしめんどくさいし、というのでやめちゃってそれっきり。なんだよ、パッチなんてあってもなくても同じじゃん。
 もちろん今でもたまらなく吸いたくなるときはあるけど、(特に眠いとき。目覚ましにはやっぱり煙草がいちばん)、十分耐えられる程度。禁煙前に、家にある煙草は全部吸いきったつもりだったけど、実は1パックだけ気づかなくて残ってた。今もそれが目の前にあるけど、ぜんぜん手を出そうという気にはならない。(精神力のテストのつもりで、わざと目に付くところに置いてあるのだ)
 外で吸ってる人とかを見ても、ぜんぜんうらやましいとかは思わなくて、なんか別の人種みたいで、「時代遅れな人々だなあ」なんて(笑)。
 だけど、「禁煙すると太るよ」とは言われていたけど、そんなの嘘だと思っていた。だって、それが本当なら、ダイエットの必要なんかない。痩せたい人はみんな煙草吸えばいいことになるじゃん、なんて言ってせせら笑っていたのだが。

 禁煙で太るとしたら、私のイメージでは、「口寂しくて、つい食物を口に運んでしまう」ということだろう。実はそれを見越して、好きなミント(日本のは辛すぎて、しかも小さくてすぐなくなっちゃうので、オーストラリア産)を5箱買っておいた。もちろんシュガーレス。シュガーレスと言ってもカロリーレスではないのだが、当時は禁煙の方が肥満より大問題だったので、どうしても吸いたくなったらなめようと思って。でもそれも結局、まだ残ってる。

 結論から言うと、口寂しくなることはない。だけど、禁煙してから腹は減るようになった

 私が痩せてたのは、少食というのもあるが、空腹を感じない特異体質のせいもあると思っていた。とにかくお腹がすかないのだ。友達といっしょのときなど、見栄で「お腹すいた」と言ってみることはあるが、たいてい嘘(笑)。だいたい、朝起きてから何も食べないと、夕方8時ごろになって、胃のあたりがスースーする気がしてくる。だけど、お腹がすくというのとはちょっと違うような気がする。「腹減ったー、なんか食いてー」となるのはだいたい絶食2日目の昼過ぎからだ。
 私にとって食事は時間が来たからするもので、お腹が減って何か食べるということはめったになかった。実はこれもよくなかったんだけどね。お腹がすいてなくても義務的に食べるから、食べ過ぎていても気づかないので。
 ところが禁煙後、だいたい昼ぐらいには何か食べたくなってきた。うーむ、ニコチンがこれほど食欲を阻害していたとは知らなかった。(これが普通なんだけどね) それともうひとつの発見は、当たり前だけど、空腹で食べる方が飯はうまいということ。それでうまいからつい食べ過ぎちゃうというのもあるかも。
 それに主婦なら誰でも知っていることだけど、お腹が空いてるとつい食物を買いすぎてしまう、ということもある。これも主婦の悲しいサガだが、買いすぎ、作りすぎたと気が付くと、「自分の胃をごみ箱にしてしまう」(食べたくなくても食べちゃう)という習性もある。

 それと、やはり禁煙が成功するかどうか半信半疑だった私は、煙草から気をそらそうと、ちょっとしたぜいたくを自分に許した。つまり、禁煙に成功したらご褒美として、それまで封印していたアップルパイと天丼とカツ丼を食べてもいいことにしたのだ。太るからというより、私は完全に洋風の食生活で、脂肪分を取り過ぎなのが体に悪いと思ったから、特に油を大量に含む揚げ物は外で食べるのも自分で作るのも禁じてたのね。それだって食べたのは二度か三度ずつなんだがなー。
 あと、煙草を吸わないぶんお茶の量が増えたが、それといっしょについお茶菓子を食べ過ぎたきらいもあり。とにかく、「太るな」と思っても、「そんなことより禁煙の方が優先だから」という理屈で、意図的に目をつぶってたのは否めない。

原因その3 運動不足との悪循環

 もうひとつは運動不足だが、確かに私は運動嫌いだが、むしろ日常生活では非常に活動的なほうだった。特に健脚は自慢にしていて、誰よりも歩くのは速いし、一日中歩きまわってたし、それでかなりのカロリーを消費していたはず。
 ところが体重が増えて膝を悪くして、医者に行ったら痩せるしかないと言われた。でも足が痛いから歩けない→太る→ますます痛くなる、の悪循環。
 つまり、もともと痩せて華奢な体型だった私の足は、こんな体重を支えるようにはできていないのである。以前の体重でもそうだったんだから、今はもう確実に限界を突破している。

原因その4 ヨーロッパの食生活の影響

 これはこじつけのように聞こえるかもしれないが、間違いなく現実。デブったもうひとつの理由は一昨年、昨年と2年続けたヨーロッパ旅行。私は基本的に和食より洋食、それもヨーロッパの飯が好きで、外国へ行くのは食べるのも楽しみだ。それで、あまりにおいしいから、つい日本に帰っても同じ(ような)食生活を続けてしまうのね。
 特にベルギーでヴァレリーの手料理を食べ続けたことが微妙に影響している。どういうことかというと、外国でレストランへ行っておいしいものを食べても、よほど料理が得意な人でないかぎり、「よし、うちでも作ってみよう」とは思わないでしょ? でもヴァレリーの料理は、もちろん私なんかよりはるかに料理も上手だし手もかけてるが、本格フレンチであるにもかかわらず、「これならちょっとがんばれば私にも作れる」という感じがなのが悪かった。
 そうでなくても私はクリームを使ったお菓子が嫌いで絶対(自分で買っては)食べないのに、料理には生クリームをふんだんに使うし、どうしても洋食だと和食よりカロリーが増える。だから日頃からカロリーの取りすぎには気を付けていたつもりなんだが。もっとも私の考えるダイエットというのは、「和食よりフレンチのほうがうまい。でもカロリー高いから、和食を2食たべるかわりにフレンチを1食にしよう」というものだが。
 とにかくそういう食事を続けたら、結果がどうなるかはおととしのベルギーでさんざん見てきたのに! それで、「あんなふうにだけはなりたくない」という生きた証拠をさんざん見せられたのに! もちろん日本人であの域まで太るのは不可能だし、あれだけうまいもの毎日食えるならどうなってもいいような気もするが、自分のまずい手料理でデブになるのはいやだ!

 あと、これは日本に帰ってきてからだが、日大行く途中の千葉県で、大きな輸入食品店を2軒も見つけたのもまずかった。洋食の食材はやっぱり輸入物の方がうまいが、カロリーも日本のとは桁違いなんだよね。

遠因その1 太ることに罪悪感がない

 ここからは直接の原因じゃないけど、デブに至るきっかけとなったことを挙げる。

 第一はすでに書いたように、痩せすぎていたので、太ることをまったく恐れてなかった、ばかりか歓迎していた、という事実。家族も親戚一同もデブは一人もいないし、メタボは体に悪いとかそういうのも、理屈ではわかっていてもピンとこなかった。
 簡単に痩せられるという思い上がりも同じ。

遠因その2 新陳代謝が悪い

 食べなくても痩せない理由のひとつは、そもそも私が痩せてたのと同じ理由だと思う。若い頃の私は、ガリガリ、低血圧、貧血、低体温、冷え性、青白い顔という、まさに新陳代謝が悪い人の典型だった。言い換えれば、極端に低燃費だったわけ。これは体質だから年取っても太ってもそうは変わらないだろう。
 しかも年を取ると誰でも新陳代謝が悪くなるので、よけい必要カロリーは減っているのに、人並みに食べただけでも太るはず。

遠因その3 外国かぶれのせい

 これは原因その4ともかぶるのだが、30年間に渡って英国研究を商売にしている私の場合、体のみならず頭の中もすっかり英国式、というか、西洋式に毒されている。そこで、「日本の常識=西洋の非常識」もたくさん知っているのだが、そのひとつが、デブに対する態度。
 もちろん向こうでもガリガリのスーパーモデルはもてはやされるが、あれは例外中の例外。一般的な女性美の観点から言うと、年齢を問わず、

普通(日本の尺度では完全なデブ)=美人
痩せ=ブス

という図式があることを、日本の学生に話すと「えーっ!」と言われる。
 いや、ほんとだってば。映画でも小説でも、「あんなに痩せてちゃかわいそうにお嫁にも行けないわねー」とか、「いい子なんだけど、あんなに痩せてちゃ彼氏もできないわねー」とかいうセリフをさんざん見てきたし、ヒロインは(日本の感覚では)ふくよかなのに、悪役の女性は決まって痩せっぽち。ていうか、登場した瞬間に、痩せてれば悪役か、あるいは悪い人ではないが、何か問題を抱えているというのがわかってしまう。
 もちろん、「もてない女の子」の役でデブが出てくることはあるが、その場合のデブというのは、日本人の感覚ではフリークス級のデブ(笑)。しかも、「もてないけど気だてはいい」、「デブだけど心は美しい」タイプなのに、痩せてる子はもてない以前に、性格ブスの設定になってることが多い。
 というような話を嬉々として学生にしてきた身としましては、太ることにあんまり抵抗感がなかったんだよなー。実際、今の私のレベルなら、外国だと、年を考えれば十分許容される範囲内だし。

デブになって初めて知ったこと

 原因がわかればあとは対策を練るだけなんだが、その前にちょっとデブにならないとわからなかったこと。まだちょっとおもしろがってるな。やっぱり危機感ねーな。でも実際、何もかも初めての経験だから、ちょっと楽しいんだよね。

その1.デブはなんでハアハアいうのか

 いいますよねー。別に運動してるわけでもないし、暑いわけでもないのに、口でハアハア息するところがデブのむさ苦しいところ。だけど、自分もそうなってるのに気づかなかった!
 なんで気づいたかというと、学生といっしょに歩いてるとき、学生が「先生、そんなに急がなくてもいいですよ」って言うの。私はいつも通りに歩いてるのに、なんでそんなこと言うのかと思ったら、「息、荒いじゃないですか」だって。言われてみれば私も口で息してた。つまりデブにとっては自分の体を持ち運ぶだけでも重労働だから、それだけでもぜいぜいいってしまうのね。逆に言うと、常時こんなに運動してるのに痩せないのが不思議だけど。

その2.「デブなんて食うから太るんだろ」という誤解

 「だから食うなよ」、「運動しろよ」って、よく言われますよね。私もずーっとそう思っていた。でも、これは太ったことのない人の傲慢。実際、食べてなくても、運動しても、太るときは太るんだよ!

その3.エネルギー保存の法則ってほんとかよ?

 同様に、痩せてた頃デブを見てよく思ったのは、「あれだけの質量を維持するだけでも容易なことじゃないはず。だったら、その燃料を断てば、痩せた人より急速に痩せるんじゃない?」ということ。つまり、それだけの体重を維持するためには、毎日すごい量を食べなきゃならないはずで、私にはそれすら無理だと思ってた。
 ところが、どうもデブには物理学の法則が当てはまらないようで(笑)。ん? 閉鎖系じゃないから当てはまらないのか? 最近物理学勉強してないから忘れたわ。
 それはともかく、今の私は常時20kgの余分な荷物を運んでいる状態で、体の痛みや疲れ方もそれを実感させてくれるし、でもそれだけの荷物を持ち運んで、食事量は前と同じなのに、ぜんぜん痩せないって、やっぱり常識と宇宙の摂理に反してる!

その4.おっぱいなんて単なる脂肪の塊

 デブになって唯一うれしかったのは、生まれて初めて乳ができたこと(笑)。乳があるだけじゃない。谷間もくっきり、乳揺れさえ体験した。(ちなみにちっともいいものじゃないです。あまり揺れると痛いし) それが完全に腹のでっぱりと歩みを共にしているから、つくづく乳なんて単なる脂肪の塊なんだなーと。なのに腹が出てても誰も喜ばないのに、それが少し上に移動しただけでなんであんなに大騒ぎするのかと(笑)。まー、要するに人間の美意識なんてホッテントットからちっとも進歩してないってだけね。
 私個人は貧乳のほうが好きです(笑)。だってその方が可憐な感じがするもん。でかい胸ってなんか自己主張が激しすぎて、持ち主まで傲慢で攻撃的に見えない? 私は見えるけどな。

その5.でもデブって実は抱き心地がいい

 今でも忘れられないんだけど、初体験の時、彼氏に「きみって意外と柔らかいんだね」と言われた。(下ネタですんません) 痩せてゴツゴツしてるから、骸骨を抱くような感じを予想していたらしい。ひどい! でも実際、相手も痩せてると、骨と骨がガチガチ当たってけっこう痛かった。
 それにくらべ、デブを抱くのはクッションを抱くようなものでなかなか気持ちがいい。今は全身にまんべんなくお肉が付いた状態なので、以前はむき出しだった肩甲骨とか腰骨とかアバラとかも肉で覆われ、骨を感じさせないのがなんかおもしろいし、柔らかくてスベスベしてて肌触りがいいから、ついさわってしまう(笑)。

その6.デブの方が肌がきれい?

 というわけで、肌の感じも痩せてたときにくらべ、かえってみずみずしくて、洗い立てでもうっすらと油でも塗ったようにツルツルしてるのが不思議。
 私はもともと肌が薄くて肌理も細かいのだが、クリームを塗らないと乾燥してすぐガサガサになることが多かった。(痩せてる女性なら誰でもうなづくはず) 特に今の季節は乾燥性じんましんで、全身が痛かゆくて、皮膚がボロボロむけて苦しんだものだが、今年はまったくなんともない。これも脂肪のせいだろうか? 皮膚の下に脂肪がついただけじゃなくて、表面にも分泌されてるのか?
 まあ、デブにも少しはいいところがなくっちゃね。痩せたらいきなり老けるかも。実際、同じ年なら痩せて渋紙みたいなしわくちゃのおばあさんより、はち切れそうに太ってツヤツヤしたおばあさんのほうが若く見えるし。

私が痩せなきゃならない理由

 なんてわかりきってるとおもわれるでしょうが、禁煙の話でおわかりの通り、私はなんでも追い詰められないとできない人間なんだよね。そこで自分を追い詰める意味で書きます。

その1.このままじゃ50代で車椅子!

 実は脚力にはかなり自信を持っていたのだが、すでに走れない。というか、走ってるつもりでもぜんぜん前に進んでない。ちょうど腰に錘でもつけてつねに後ろに引っ張られているようだ。というか、本当に腰に錘付けているので比喩になってない! 昔はそういう肥満した中年女性がよたよた走るのを見て、内心バカにしていたが、自分がそうなってみると、その無念さがよくわかります。
 私は運動音痴なので、もともと走るのは速くない。だけど、長いストライドを生かして、跳躍するように走るとけっこう速かったのに、ぜんぜん跳べないのよ。以前は走るとき、「ガゼルみたいで気持ちいい」と思っていたのに、いきなりガゼルがカバになった気分。(実際はお相撲さんが速いのと同じ理由でカバも速いが)

 そのストライドのおかげで、歩くのはめちゃくちゃ速かった。これは家族一同速かったので、小さい頃から鍛えられたせいもある。どのぐらい速いかというと、遅刻しそうな女子大生がチョコチョコ小走りで走ってるのを、ゆっくり歩いて追い越せるぐらい。その歩行スピードが落ちてきたのは最初に感じられた。
 出勤時、当然学生もいっせいに大学に向かうから、駅から大学までの道は学生がダンゴになってすごい混雑だ。それはうっとうしいので、私は必ず集団の一番前に出て、離れた一番手を保持するのが習慣だった。ところが学生集団についていけない、ばかりか置いて行かれるという体験は初めてした。なんでか体が前に進まない! 私だけ逆向きの歩く歩道に乗っている気分

 とにかく4月の初めに新学期が始まったころはひどかった。ずっと家にこもっていた運動不足と体重増がモロ体に来て、ほとんど歩けない状態。
 ほら、避難所のお年寄りが座ったきりで歩けなくなったりしてるっていうニュース聞いたでしょ? あれとそっくり。家の中でも伝い歩きしかできなかったんだから、本当に。風呂に浸かると立ち上がることができない。痛いので悲鳴をあげながら腕の力だけでやっとの思いで体を持ち上げる感じ。洋式トイレでも立ち上がるには何か支えがいるので、身障者用トイレしか使えなくなった。(自宅のトイレは狭すぎるおかげで、壁を手でつかむことで立てる)
 まして階段なんてもってのほかなのに、節電でエレベーター止められたのでもうアウト。2階まではやっとの思いで昇るが、さすがに3階の教室は無理なので、1階に替えてもらったぐらい。
 とにかく初日の授業は死ぬかと思った。今回は痛いのは膝ではない。いや、膝はいつもどおり痛いのだが、それを忘れるぐらい、全身の筋肉が悲鳴を上げている。へー、人間にはこんなたくさんの筋肉があるんだ、と感心するぐらい、筋肉があるなんて知らなかったような箇所でも、(贅肉の奥で)ちゃんと痛みがあるんで、筋肉があるってわかるんだよね。
 若い人の運動後の筋肉痛とはぜんぜん違うから勘違いしないで。あえてたとえるなら、足がつったときの痛み。翌日しくしく痛むんじゃなくて、いきなりグキッときて、文字通り肉が引き裂かれるように痛い。いや、あまりに痛いので、本当にどこか千切れたんじゃないかと思った。
 しかもどういうわけか、しばらく同じ姿勢でいると、そのまま関節が固まってしまい、動かすと死ぬほど痛い。最初の授業では90分立っていたら、そのまま足が固まって、まったく曲がらなくなってしまった。その状態でトイレに行きたくなったから地獄(笑)。足をまっすぐ伸ばしたまま、ドシンと洋式トイレに尻餅を付く痛みを想像して下さい。
 同じ理由で、朝起きたとき、ベッドから起きるのが大変。足がつったときの要領で、だましだまし筋肉をほぐして、足が曲がるようにもっていかなくてはならない。曲がるようになっても、体重を支えられるようになるまではまだ時間がかかるし。それを無視して立ち上がろうとすると、足がくにゃっとなって、そのまま倒れてしまう
 腰痛も始まった。これは怖い。あのすさまじい痛みは忘れられないから。(リンク張るのが面倒になったから、読んでない人は「腰痛」でググってくだされ) それにあのときも発端はこういうシクシクした痛みだったから。

 実は今回痩せることを決意したのは、主としてこのせい。このままではまちがいなく50代で車椅子になっちゃうから。考えてみれば何10キロという荷物を抱えて歩いてるようなものだもんなー。箸より重いものは持ったことがない人が。逆に言うと、そこまで追い込まれないと痩せようという気になれないのも考え物だが。
 これは決して誇張じゃない。すでにつかまるものがないと歩くのが怖い状態だし、大学では歩けないレベルのデブも見たことあるし。白人の中年女性なんだが、これがベルギーの話で述べた「山が歩く」級の肥満で、杖だけを頼りに一歩一歩あるくのがやっと。でも白人だからこうだけど、(いつも言うように白人は一般人でも女性でも筋肉量が半端ない)、日本人なら今の私でもこれに近い。やはり自分の足で歩けなくなるのは絶対いや! 津波が来ても逃げられないし!

その2.ワードローブ全取っ替えはもったいないし経済的にもきついでしょ

 やっぱり貧乏人には経済的理由ってのが大きいよね。禁煙に成功したのも結局これだったし。とにかく、今のままでは持ってる服のほぼ95%が着れない状態だし、これでは仕事にも行けない。
 今はどうしているかというと、伸縮性のある服はかろうじて入るので、恥ずかしいけどスパッツとかを着たり、普段着はもともとブカブカなので、恥ずかしいけど普段着で通勤している。あと、いつもなら毎日服は替えるのに、同じ服を何度も着回したり。
 実を言うと、服の問題はそれほど苦にならない。私は日頃、100円〜500円の古着しか着てないので、買い換えても大した損失にならないから。

 苦になるとしたらまずは靴だ。靴だけはサイズの関係で古靴が履けないので新品、それもけっこういいブランドもののスニーカーしか履かないので、これを全部買い換えるのは負担がでかい。もういよいよとなったら、突っかけのサンダルで大学行くっていう手もありますけどね。実際、学生はそうしているけど(笑)。

 次に困ったのがパンスト。パンツが履けず、かろうじてスカートならという情況だが、いくらなんでもこの年で(しかも象みたいな足で)生足は無理。だけどパンスト履くのはもっと無理という苦境に。
 足が長すぎてもともとパンストには苦労してたという話は書かなかったっけ? 痩せてた頃は肥満体用のパンストを無理やり縦に引き延ばして履いていた。でも本当の肥満体になってしまった今はそれをやろうとしても、そもそも腰骨の上まで上がらないので、半ケツになってしまう。やむを得ないから半ケツ状態で歩きまわったが、なんとも気分が悪い上に、パンツまでいっしょにずり下がりそうになる。
 しかも、ぎりぎりまで引き延ばした状態で着ているから、すぐに破ける。朝、履く段階で3枚に1枚は破けて使い物にならなくなるし、なんとか履けても歩きまわっているうちに3時間ぐらいで破ける。しょうがないから伝線したままのを履いてる。いくら安物とはいえ、1枚200円以上するのに、こうビリビリ破けては痛すぎる。
 昔はどこかのスーパーで、「背の高い人用」パンストというのを買ってたんだけどなあ。その店で置かなくなったので困っていたのだ。

 ここでハッと気づく。ネット時代なんだから、あればネットで探せるし注文もできるじゃないか。そこでさっそく検索をかけたら、同じように足が長くて困っている女性のためのサイトが引っかかった。おおー! やっぱりいたんだ! 日本女性でも股下90cmで着るものがないって人たちが!(日本の平均サイズだと女物の股下は65cmぐらい。私は80cm) ま、そうだよな。バスケの選手なんて180〜190cmだもん。
 と思ったが、BBSを見ると、困ってるのは私と同じ170cm前後の人たち。えー、これはおかしいよ。170cmなんてめずらしくもないじゃん。
 ここでまた恒例の、「日本ダメ」説になるのだが、外人に「日本の女性用の靴サイズは普通2cmの幅(22.5〜24.5)しかない」と言ったら、「冗談でしょ」って言われたよ。それより小さい人や大きい人は足の方を靴に合わせろと言わんばかりのこの態度。「本気で商売するつもりあるのか!」って感じだ。
 ただ、このサイトも(Googleでトップに来るからいちばん有名そうなのに)2004年で更新止まってるし、書き込みも少ないところを見ると、やっぱり少数派なのかねえ。とりあえず、「ジャージが短すぎて着れない」とかいうのに、大いに頷いてしまった。ただ、男物は着れないという前提みたいだけど、男物が似合った私はラッキーだったな。

 話がそれたが、ここや他で調べて、トールサイズのパンストを探したが、バカみたいに高かったり(パンストなんて例外なく一日で切れるのに、1000円も出せるか!)で、結局買えそうなものはなかった。ところが、後日、イトーヨーカ堂でトールサイズ発見。これもけっこう高いし、かろうじて腰骨に届く程度だが、半ケツよりはだいぶましということで、あとは痩せればいいだけだ。

その3.ていうかやっぱり自尊心の問題もあるし

 私も年ですからねえ。もう見栄なんかすべて捨てたつもりでいたけれど、やっぱり鏡を見ると傷つきますわ。ババアになるのはちっともかまわないし、てかあこがれてたし、容色の衰えも受け入れる覚悟はできた。だけど、デブってのはまったく予想もしていなかったことだけに‥‥

 上記の背の高い人のBBSを見て、ちょっと胸が痛んだのは、背が高くて太ってるばかりにさんざんバカにされ傷ついたと書いていた41才の独身女性の話。うーむ、友達できなかったり結婚できないのは体型関係ないと思うけど、(実際、すごいデブでもちゃんと結婚してるし、ここのコメント欄でもどうやら大女フェチらしい男、もとい、心優しい男性が食いついてるし)、でも自分がそうなってみると、ちょっと気の毒。
 私は長身で困ったことはたくさんあるが、バカにされたことはないからなー。むしろ「かっこよくてうらやましい」と言われたことしかないし。(もちろんすれ違いざまに、「でかっ!」とか言う失礼な男はどこにでもいますよ。でもそういう男は例外なく奇形的なチビだし、こっちは「けっ、チビが!」と見下すだけ) だいたい、背が高いのと低いのを較べれば、歴史的にも地理的にも高い方が上に決まってる。(そういや、英王室はまたも巨人女を嫁にしたなあ)
 というわけで、長くて細い足を長年自慢にし、武器にしてきた私としては、今さらそれを捨てるのがあまりにもつらい。

 実は私には理想の老後の姿があるんですよ。昔、洋雑誌に載っていたリーバイスだったかどこかのジーンズの広告なんだけど、すっごい足が長くてお尻が小さくてすらっとしたかっこいい女性の後ろ姿なのよ。なのに、腰まである長い髪を真っ白に染めているので、なんでかなー?と思って、次のページをめくると、同じモデルさんの正面図なんだけど、それが80才ぐらいのおばあさんなの(笑)。
 顔はもちろんシワシワなんだけど、年取ってすっかり脂肪が落ちてしまっているぶん、スーパーモデル体型なのね。もちろん、足は元々長くて、身長推定180cmはあるけれど、「これなら私にもできる」と思ったね。
 これは「ビンテージジーンズを、そのジーンズと同い年のモデルに着せる」という広告シリーズで、爺さんシリーズもあって、とにかく全員(後ろ姿は)惚れ惚れするほどかっこいいの。こればっかりは元々足が長くなくちゃできないし、ぜひ私もこうなりたいと思った。それで振り向いて見せて、若い奴らをビビらせようと(笑)。

 だけどデブになってしまっちゃそれもできないじゃないの! なぜか男のデブはジーンズ履いても決まるんだけど、女はダメだ。ていうか、理想像はもうどうでもいいから、せめて見苦しくない程度に痩せたい。

 これも以前から書いてるが、私はどうしても「痩せてないと似合わない服」を選ぶ癖があり、ボトムもそうだが、トップもそういう服ばかり(肌にぴったりと密着するウエストを絞った服)がたまっている。これらは無理すれば入るのだが、「凧糸で縛った焼き豚状態」になってしまって、見られたものではない。なんというか、全体が丸くなってるならまだましだが、胸がドーンとあって、その下がへっこみ、胃のあたりがふくらんで、おへそのところでまた引っ込み、下腹が飛び出しているという、見事な段腹!
 あー! 写真がないから説得力ないが、この期に及んで弁解すると、尻のでかさはもう隠しきれないとしても、上半身は見た目「そういや、ちょっと腹出てるね」という感じで、いわゆるデブって感じじゃないです! むしろ大学の体育の時間に見てたら、ハタチ前でもこれぐらい腹の出てる子はけっこういたっていうか。ここらが長身であることのメリットかもしれないが、自分では絶対容認できないレベル。やっぱ痩せたいよお!

 古着屋のおかげで、うちのワードローブはこれまでの人生でいちばん充実してるっていうか、まだ袖を通したこともないすてきな服がいっぱいたまってるのに、これを捨てるのはどうしてもいやっ!

その4.そもそも病気になるでしょ

 本来ならいちばん上に来てもいいこれが後回しなんですね。この年になりますと、それほど長生きしたいって気にもならないし。だけど、病気で働けなくなったら、失業保険も生活保護も受けられない私は即死亡フラグだし、それはやっぱり困る。
 もともと太っていて健康な人なら肥満はそんなに気にしなくていいとは思うが、痩せてた人間が急に太るのはやはり不自然だし、すでに足がダメになっているように、次々病気を招きそうだ。これも経済的な意味で痩せないと。

じゃあ、どうすればいいの?

運動する

 真っ先に言われるのは「運動しろ」ということだけど、これがねえ‥‥
 私が素直にこれに賛成できないのは、私の同世代で肥満で悩んでるおばさんたち(しかもたいてい糖尿を患っているから私より深刻)を見ているから。彼女らのほとんどが、私みたいな怠け者じゃなく、とにかくチャッチャカ精力的に動き回るタイプで、仕事だけでも運動量はすごいうえに、やはり体重を気にしてジムだの、テニスだの、ヨガだの、エアロビクスだのに通ったりしてるんだが、ぜーんぜん痩せてないのをみちゃってるからなあ(笑)。

 それに私だって、運動こそしてないが、毎日の買い物だけでも3時間ぐらいかけて歩きまわるし【注】、自転車でよく遠乗りに行くし(このときは5時間ぐらい走り回ってる)、大学で授業がある日は、通勤も含めて丸8時間立ちっぱなし、歩きっぱなしだからね。(ご存じと思うが、大学講師はデスクワークではない) 太ってから健康関係の記事とか気にして読むようになったが、そこで推奨されているウォーキングなんて一日30分とかそんなのじゃない。

 【注】 なんで毎日の買い物に3時間もかかるかというと、別に用がなくてもほっつき歩くからである。だいたい私は移り気で、歩いているとすぐにいろんなものに気を取られて引っかかるので、なかなか目的地に着けない(笑)。本屋やリサイクルショップでは平気で1時間ぐらい見ているし。

 実際、筋肉だってけっこうついているのである。お尻や太腿や二の腕なんて確かに贅肉もすごいが、ぐっと力を込めるとカチカチになるぐらいで。いちおう若いころ運動してたし、当時も痩せてるのに足の筋肉だけはすごかったから。で、筋肉もあり贅肉もありとなると、お相撲さん体型になってしまう。それは避けたい! それならまだブヨブヨのデブのほうがましだ! だけど、ちらっと鏡を見ると、すでに女プロレスラー体型になりつつあるし! 私が大女であるにもかかわらず、めったにそうは見られず、むしろ実際より小さく見られた(近くに寄ると、「えっ、意外と大きいですね!」と驚かれる)のはひとえに痩せて華奢だったからなのね。

 ていうか、この状態で無理に運動なんかしたら、確実に関節や腱がこわれる! 自転車だと体重を支えなくてすむから足は楽なのだが、一日走り回って自転車から降りると、立てないほど足が痛い。運動するにしても、まずはある程度体重落としてからじゃないと

絶食する 

 もうこれ以外ないでしょ。世にダイエット法は数あれど、私はみんなインチキだと思ってる。さっきのエネルギー保存則だか質量保存則だか知らないが、要するに燃料を入れてやらなければ、備蓄脂肪を消費するしかないはずで、そのためには食べないのがいちばんでしょ。
 これは得意。考えてみれば禁煙もそうだったけど、根が怠け者の私は、「何か特別なことをする」のはすごい苦手だけど、「何もしない」のはすごく得意(笑)。おまけに上記のように、食べなくてもお腹が減らない体質だから、食べないことはぜんぜん苦にならない。これは専任教授時代に体験したが、腹がペコペコでも我慢してればいつか空腹感はなくなるし。食べなければお金も浮くし、料理する時間も浮くし、いいこと尽くめ!
 それだけに、危険すぎてこの方法は採れなかった。ほっといたら餓死する、まではいかないにしても、栄養不足で病気になる心配は大いにあるから。実際、今でも偏食で少食の私は、しょっちゅうビタミンBが不足して(家ではめったに肉を食べないので)口内炎ができるので、アリナミンが手放せないぐらいだ。避難所でもおにぎりやカップ麺ばかりの食事のせいでビタミンB欠乏症が流行ってると聞いたが、私と同じだ。

 でもそうでもしなきゃ痩せないでしょ、もう。あとはどこまで食べる量を減らすかだなー。断っておくけど、こういうのは本当は医者と相談して診察受けながらじゃないと絶対にまねしてはいけませんよ。私は日頃から半分絶食状態だからできるだけで。
 とりあえず、今までは1日2食だったんだから、1日1食ペースが妥当かな。それでもこれまでは毎日1食ということはなかったので、急に半分にするのはやりすぎかも知れん。1.5食ぐらいでちょうどいいな。1食は普通に食べて、もう1食はオレンジ1個とクッキー2枚とか、豆腐1丁みたいな感じがちょうどよさそう。
 ここで気になって、ちょっとカロリー計算してみたんだけど、どう考えても私の今の食事、カロリーオーバーのはずないんだけどな。たとえば、今日の食事は銀だらのムニエル2切れ(ただし、よく焼いて脂と衣はほとんど落とす)、付け合わせはタマネギの薄切り、薄切りパン2枚、サラダ(ベビーリーフ2袋。だけどフワフワに入ってるから量はちょびっと)と、あとはお茶の時間に食べた菓子パン(四角いパンにカスタードが塗ってあって、レーズンとドライフルーツがたくさん載ってて、その上にクラムがかかってる。うまい)半分だけなんだが。やっぱり代謝量が異常に低いのかな。
 出来合いのおかずやデリなんかは、半分に分けて、半分を1食として食べている。

 というような食事を5日間続けているのだが、ちっとも痩せないな(苦笑)。ていうか、そんな5日間ぐらいで痩せたら、それこそヤバいんだが。ただ、足の痛みは心なしか軽くなったし、腹はしっかり中味が詰まってパンパンに張っていたのがちょっとたるんできたように思える。やっぱりしばらくはこれを続けてみよう。

 問題はこれが効かなかった場合だが、そうなったらあとは2日に1食しかないなー。これぐらいは何度も経験あるし、ぜんぜん余裕で平気。ただ、それを続けた場合、体にどういう影響があるかわからないだけで。

 というわけで、本当に痩せられるかどうか、これはまた結果報告します。できたら本当にBefore & Afterの写真載せたいよ。誰も見たくないだろうけど(笑)。

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