莫大な被害を日本にもたらした地震と津波の被害者救済を目的に、昨日、日本代表がJリーグ選抜と対戦した試合で、人々を元気づけるフットボールの力がまたもや証明された。試合はアルベルト・ザッケローニ率いるサムライ・ブルーが2-1で勝ったが、大阪長居スタジアムとテレビの前で見守った観客の心を動かしたのは、単なる試合結果だけではなかった。

4万7千人強の観衆が「ニッポン、ニッポン」と歌う中で、この国の最も有名な新旧のスターたちが揃い踏みした試合は、開始後15分、ガンバ大阪のゲームメーカー遠藤保仁が日本代表に先制点をもたらして、すばらしいスタートを切った。そのあとすぐに、シュトゥットガルトのストライカー岡崎慎司が追加点をあげ、試合終了の8分前には44才になる伝説のプレイヤー三浦知良がゴールした。

1995年に神戸近郊の故郷で被災した24才の岡崎は興奮を隠せなかった。「僕が今ここにいるのは、周囲の人たちの助けがあったおかげです。今度は僕が助ける番で、今夜の試合は恩返しの第一歩です」

最も被害が大きかった地方にあるベガルタ仙台のミッドフィールダー関口訓充も、負けたとはいえ、復興のため自分の果たしたささやかな役割に満足そうだった。「今シーズン、初めてボールに触れたのは3月24日でした。今日はあんまり走れませんでしたが、この試合に出た甲斐はあったと思います」

ザッケローニはこう付け加えた。「ピッチに出たのはすばらしいテクニックを持ったプレイヤーばかりで、彼らはすばらしい試合をした。しかし試合そのものより重要なのは、ここに集まった全員が日本のフットボール界、そして国全体のために一丸となれたことだった」

この試合は、日本のフットボール界が、困難をものともせず、一丸となって役割を果たす強い意志を持っていることの証である。日本の東北地方を襲ったマグニチュード9.0の大地震からわずか1週間後には、JFAはチャリティーマッチの計画を発表していた。このコンセプトはただちに国内外の選手たちに支持され、国外でプレイする12人の選手たちがフルメンバーの日本代表チームに合流するため招集に応じたが、彼らが故郷の土を踏むのは、1月のアジアカップ以来のことだった。

インテルミラノのディフェンダー長友佑都や、ヴォルフスブルクのミッドフィールダーでサムライブルーのキャプテンを務める長谷部誠をはじめとする多くのヨーロッパで活動しているプレイヤーたちが帰国した。その他、クラブでの活躍の合間を縫って帰国した選手の中にはCSKAモスクワの本田圭佑や、シャルケのディフェンダー内田篤人がいる。

ザッケローニにとって、この試合は日本の人々に、彼らはひとりではないという強いメッセージを伝えるためのチャンスだった。ACミランの元監督は述べた。「私たちはこの国全体、とりわけ東北地方の力になりたいと願っています。日本はこの苦難を乗り越えると信じていますし、国民の皆さんには私たちがそばにいること、そして世界中の人々も共にいることを知ってもらいたいのです」

スタジアムや施設が損壊し、言うまでもなく多くの人々が大災害の余波により苦しんでいる中、日本のフットボールそのものが試練の時を迎えている。Jリーグは試合開始を4月23日に延期したし、今週の国際親善試合をキャンセルした代表チームは今後の日程も未定だ。

行く手に横たわる厳しい試練にもかかわらず、アジアカップにおけるヒーロー、ゴールキーパーの川島永嗣は、今大事なのは連帯だと述べる。「すべての日本人が力を合わせることが大事なのです」と、PK戦のスーパーセーブで日本を大陸チャンピオンに導いた28才は言う。「僕たちは日本人で、共に助け合うことができるということを伝えたいのです」