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2010年6月23日 水曜日

病気のはなし(たかが風邪かと思ったら‥‥)

【使用上のご注意】

キタナイ話が多いので食前・食中・食後の閲覧はお控え下さい。

 事の起こりはひどい下痢だった。と言っても、私は下痢しているのが常態なので、(便秘ってなんのこと?ってぐらい)、それは普通なんだが、今回はひどかった。
 とにかく食べたものが体内を一気に駆け下ってそのまま出てくる感じ。せんべい1枚でも、食べたら1時間後には、きっちりせんべい1枚分の液体が出る。出てしまえばケロリとしてるのだが、出るまでがひどいのよ。単にお腹が痛いだけではなく、吐き気・悪寒・頭痛・めまいがセットで来るので。おかげでパブロフの犬のごとく、食物を見ただけでオエッとなるようになってしまい、そもそも物を食う気が失せ、流動食(お茶・牛乳・ジュース・ヨーグルト・寒天、とタバコの煙)だけで1週間生きてた。なぜか液体は平気。というか、どうせ液体のまま出てくるだけだから。
 この時点までは、「これで少しは痩せるな」とか楽観していた。いつもはこれでピタリと収まる正露丸がまったく効かないところで怪しむべきだったのだが。
 そして下痢は体力を奪う。いくら日頃粗食で鍛えているとはいえ、これでは栄養も不足するし、だいたい体に力が入らなくて、だんだん全身がクラゲ状のふにゃふにゃした生き物に替わっていくのが感じられる。(体のほとんどが水でできているというのも似ている)
 おかげで寝たきり状態に。たっぷり寝たのに、起きて30分もすると眠くて眠くて立っていられなくなる。それでまた爆睡して、1日20時間ぐらい寝て昼夜の区別もつかない。(半失業者だからそれができるとも言えるが)
 もちろんそれでも仕事はしているので、メールボックスを開けると、大学の事務所やら、お店のお客さんやらが何か言ってるが、頭もクラゲと化しているので、脳みそなんかないもんね。どこの世界の話?ってぐらい、遠い世界のことに思える。

 この辺で「なんかおかしい」と思い始める。ただ、この年になると、何か恐ろしい不治の病なんじゃないかという妄想がいろいろ湧いてくるのだが、下痢で寝たきりですと言って病院行くのもなんか恥ずかしくて、病院行く気にもなれない。
 そのうち、喉が痛くなってきたので、なんだ、風邪じゃないかと。フラフラするのも、異様に眠いのも熱があるせいだったか。汗がダラダラ出たり、寒気がするのは、梅雨で湿度が高いからかと思ってたよ。これで変に安心してしまったのもいけない。さっそく買い置きの風邪薬を飲んでまた寝る。
 ところが寝て起きるたびに悪化しているようにしか思えないんだわ。最初は熱と喉の痛みだけだったのに、そこに咳と鼻水が加わった。鼻水は真っ黄色なうえに、血で真っ赤、痰も真っ黄色のうえに血で真っ赤。このこの黄色い痰と鼻水(ほぼいっしょ。鼻をかむと痰も自動的に吸飲されて出てくるから)は風邪菌の死骸と、それと戦って死んだ白血球の死骸なので、体が風邪と戦ってるのはわかるが、その量が半端でない。ほぼひっきりなしに鼻をかんでいるのだが、そのたびに惚れ惚れするほどの大量の痰が。私の体のどこにこんな大量の痰が詰まってるのかと思うぐらい。このままでは寝たまま失血死するのではないかと。
 だが、それでもまだ病院へ行く気になれない。というか、病院へはできれば死ぬ寸前まで行きたくない。

 なんかヤバいんじゃない、これ?と思ったのは、寝起きのままフラフラと薬を買いに薬局へ行こうとしたときだ。すれ違う人が変な顔で私を見ている。そりゃたしかに頭はぐしゃぐしゃ、鼻水でぐしょぐしょの顔してるのはわかってるが、鏡を見て、「えーっ!」。なんか顔中にマスタード状の黄色いもの(鮮やかな黄色がマスタードそっくりなうえに、ちょっと粉っぽい液状というところもマスタードそっくり)がべっとりと! 何これ?
 実は目やに、っていうか、目から黄色いウミがダラダラと流れ出していたのだ。道理で目がかすんで見えないと思った。もちろん白目も真っ赤に充血している。
 これではほとんど歩く細菌兵器だ。こんな状態で大学行ったら、そこらじゅうに菌をばらまくことになる。というので、やっと病院に行く気になった。

 実は病院を避けていたのは、ここらじゃ病院へ行くと確実に病気が悪化することがあるからだ。なにしろ私のかかりつけの病院は待ち時間6時間。診察後の会計までの待ち時間1時間。それから薬局で薬もらうまで30分。朝イチで行っても夕方までかかる。腰をやったときの話でも書いたように、体調悪いときにそれだけ待つのは、それだけでも拷問である。この病院に変わる前に行っていた病院も待ち時間はいっしょだったが、そっちは待合室の椅子が足りず、病人を立たせておくようなところだったので、それよりはましなのだが。
 でも溶けてしまった脳みそで必死に考えた。いくら無医村西葛西といえ、開業医ぐらいあるはず。開業医ならそんなに混んでいないのでは? というのも、私が病院行くのは主として持病の治療のためで、それには専門医のいる大病院でないとだめだったのよね。でもたかが風邪で大病院行くのもバカらしい。それでネットで探すと、いっぱいあるじゃん!
 どこにしていいかわからないから、とりあえず女医さんがいるというクリニックに決めて電話すると、すぐに診てもらえるという。行ったら、65才ぐらいのおばあさんの先生だった。

 ここで医者選びについて一言。私みたいに病院通いが長いと、医者の良し悪しについても気になる。だからいちおう、先に口コミサイトも見たのだが、ぜーんぜん何の参考にもなりませんな。なにしろ、「頼みもしないのにいろいろ検査もしてもらって、薬もたくさん出してくれるいい病院でした」なんて平気で書いてるんだもん。おまえ、それってひと頃問題になった典型的な悪徳病院のやり口じゃねーかよ! 医療のことなんかなーんも知らないバカな主婦しか書いてないような口コミなんてあてになるかよ!
 同じく医療には素人の私だが、プロとしてひとつだけ確実に知ってることがある。それは年々大学生の程度が低下してるってこと。それも一流大ほど、その落差が激しい。医大は教えたことがないが事情は同じだと聞いている。だから、若い男の医者に当たると、若いころなら喜んだが、今は「えー‥‥」。もちろん若い人にも優秀な人は大勢いるが、確率の問題としてね。
 逆にこのおばあさん先生ぐらいの年代の女性(私の先輩たちがだいたいみんなその年代だったからよく知っている)は、ほぼ例外なく、超エリートである。そもそも女が大学に行くこと自体が異例だった時代に、学問を志すということ自体、並々ならぬ意欲と向上心の持ち主だし、知的職業(大学教授とか医者とか)で男に互してやっていくためには男の百倍の努力をしているし、度胸も肝っ玉も座ってるし、だいたいものすごい頭がよくて能力もハンパない。とにかく私みたいに、「他にやりたいこともないし、働くのもいやだから大学院でも行くっかー」みたいな感じのクラゲ女なんかは、足下にも及ばない猛女ばっか。

 だからこの先生にも期待したのだが、医者として優秀かどうかは素人にはわからんが、その他は期待通りでしたな。小さくて細い外見に似合わず、ガラッパチでずけずけ物を言うのに好感が持てるし、ガンガン叱ったあとで、ポロッと「これは苦しいよね。かわいそうに」と言ってくれるのが涙が出るほどうれしい。(腰の時も書いたが、苦しんでいるときというのは、ちょっとした優しさがこたえるんである。こういうのは男の先生は絶対言ってくれない)
 で、思ってたより重症だったようで、なんでこんなになるまで病院に来なかったと叱られてしまった。「でもー、たかが風邪で病院行くのもためらわれて‥‥」と言ったら、「確かに人間の体には自然治癒能力が備わってるけど、ここまで来たらもう抗生物質に頼るしかないの!」とこんこんと説教された。
 検尿もされたのだが、血尿が出てると言って、それも目の前でおしっこのカップにリトマス試験紙みたいなのを突っ込んで、「ほら、緑に変わったでしょ。緑に変わったらそれは血液がまじってるってことなの」と実演してくれる。大病院の5時間待って5分間診療となんという違いか!
 ついでに血圧も測るというので、「血圧は正常だと思いますが}と言ったら、「計ってみなきゃわからないでしょ」。そしたら、正常値だったので、「うん、血圧は優秀」とほめられて、なんか出来の悪い学生が初めてほめられたようでうれしかった。この通り、病気の巣みたいな私だが、血圧と血液サラサラだけはどこへ行ってもほめられるんだよな。なんでだろ? 食生活はひどいし、生活習慣はひどいのに。

 目のことも心配してくれて、「私は目のことはわからないから眼科行きなさい。目は何よりも大事だからね」と言われては、ごもっともとしか言えない。たぶん、これも風邪の症状だとは思ったが、そうじゃないとも言い切れないから。眼科は大きいのがそばにあったので、すぐに行ったが、こちらは若い女医さんで、何か口の中でモゴモゴ言ったあげく、抗生物質入りの目薬を出してくれただけだった。ちぇっ、やっぱりおばあさん先生のほうがいいや。
 ところで私が眼球恐怖症なことは話したっけ? 眼科へ行くのを渋ったのもそれが原因。なんであれ、目玉に直接触れるわけじゃなくても、目に手を出されるのが死ぬほどこわい。『時計じかけのオレンジ』のあれなんか、私には最悪の悪夢である。コンタクトレンズなんて入れるぐらいなら、目玉をえぐり出した方がましってぐらい。今日も単に顕微鏡みたいなので覗かれただけなのに、機械からつい逃げようとするので、しまいには看護婦呼んで押さえつけられた。

 しかし、何かね、自分より年上のおっかないおばさん(自分がこの年になると相手はおばあさんだが)に叱られるのに快感を覚えるというのは、もしかして一種のマザコンかね? とにかくおばあさん先生はいいよ。持病のほうも診てくれるそうなので、こっちに替えようと思っている。

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