2010年5月10日 月曜日

スポーツ

サッカー・ワールドカップ日本代表メンバー発表で鬱になる

 鬱も何も、なに? このお通夜みたいな記者会見。今は世界中がワールドカップで盛り上がってお祭り騒ぎだっていうのに、日本だけなんでお通夜やってるの? なんかもうグループリーグ敗退謝罪記者会見でも見ているようだった。ていうか、壇上の人たちも会場の記者たちもそれを見越して予行演習でもやってるような‥‥

 実はこんなの見ないでも誰が選ばれるかはわかってたんですけどね。岡田監督のたったひとつの美点と言えるのは、(少なくとも選手起用の)方針がぶれないことで、おかげで世間がなんと騒ごうが、人気がどんなに落ちようが、いつも通りの岡田ジャパン。そのため、実力のほどは別としても、盛りを過ぎて見る影もない往年の名選手、怪我してたり、怪我上がりだったり、怪我ばっかりしている選手、クラブの試合にもろくに出てない選手を寄せ集めた満身創痍のメンバーになってしまった。
 「テスト」と称して、いろんな選手を呼んでおきながら試合では使わなかったり、使って成果をあげても次から呼ばなかったりした経過を見ても、メンバーは2年前に決まってたんじゃないかと思う。
 私はサッカーは素人だが、スポーツ全般に言えるのは、過去の経験や実績より調子、ってことじゃないんですか? 特にサッカーみたいな消耗の激しいスポーツではよけいそうだと思うんだけど。

 かろうじてサプライズと言えるのは、これまで冷遇してきた本田と森本がメンバーに入っていることぐらいか。Jリーグがあのていたらくなので、海外組を優先するのは私も大いに納得だが、何があったんだ? 特に最近は記者会見でやけに本田を持ち上げていて気味が悪い。それもあの無表情な棒読みで言われると、人気下降一直線の日本代表を救うために、誰かが台本書いて無理にしゃべらせているんじゃないかと思うぐらい。(マーケティング的には大いにあり得る)
 その本田だが、私はむしろ選ばれない方がうれしかった。だってこんなチーム入ったら下手くそになる。もちろん選手にとってWCに出るってことは大変なことだってのはわかってるし、ここでアピールできればさらなる道が開けるから本田には活躍してもらいたいが、好きな選手が嫌いなチームで活躍するのを期待するのも、なんか心苦しい。本田が出ていなければ日本戦なんか見ないですむのになー。

 しかし岡田監督って早稲田出身で頭がいい(苦笑)という触れ込みだったのに、言うことは意味不明の失言が多すぎるな。そのとどめが「ハエのようにボールにたかるサッカーを目指す」ってやつ。聞いたときは自分の耳が信じられなくて、開いた口がふさがらなかった。
 英国紙に「日本はガゼル」と書かれたときはほめすぎだと思ったが、ハエって何よ。なにもそこまで自己卑下しなくても。2ちゃんねるでもそこまでひどい言われ方はしてなかったと思う。ガゼルならまだ華麗に逃げおおせるってこともあるけど、ハエじゃ片手で叩き潰されるってことですか? それで考えれば考えるほどこの比喩当たってるような気がしちゃって(苦笑)。
 「ワーワー・サッカー」って私、意味がわからなかったんだけど、今の日本代表見ててやっとわかった(苦笑)。みんなが周囲も見ずにただボールに殺到するだけのサッカーか。小学生かよ。でも小学生以下のハエだから、群がっても一撃で吹き飛ばされてバタバタ倒れる様子が今から目に浮かぶようだ。
 あー、見なきゃよかった、って、最近は日本関係のサッカー番組見るたびに思うんですけどね。かつての楽しかった記憶があるからつい見ちゃう。

 私はトルシェは個人的に大嫌いだったし、ジーコはどうしようもない無能監督だと思ったが、まだ彼らの時代は見ていて楽しかった。やっぱりピークは日韓大会かな。日本が勝ってうれしいというより、海外のお客さんや友達から連日のようにメールもらって、生まれて初めて愛国心に目覚めたっていうか。日本のサッカーや選手が先進国のファンにほめられるなんて、想像もできなかったことなんで、本当にうれしかった。
 日本にこもっている人は知らないだろうけど、日韓大会の海外での反響ってびっくりするほど高かったんですよ。主として、ホスト国としての日本人の有能さと暖かいホスピタリティが絶賛されてたんだけど、選手の評価も高かった。そういうのが、向こうじゃ連日のように報道されてて、そのため日本びいきになった人も多かったみたい。だから、「私は今まさに日本サッカーの夜明けを見ているんだ!」と思って、熱い思いに駆られたのに、いつのまにやら夜明けどころか暗黒時代に‥‥

 きっかけはやっぱりドイツ大会の敗戦かな。負けたのがいけないとは言わない。負けて当然なんだけど、その負け方があまりにもひどかった。特に選手の無気力さとふがいなさ。中田ヒデが最後にピッチに倒れて顔をおおったまま起き上がらなかったのは、確かにパフォーマンス的な部分もあっただろうけど、見ていて私は彼の気分もわかるような気がした。死に物狂いで戦っていたのはヒデだけで、あとはまったく乗ってこないように見えたもん。なんか情けなくて悔しくて私でも泣いちゃったと思う。
 でもそういう情況を作った責任はやはり監督にあるので、オシムに監督が替わったときはかなり期待した。それで光が見えてきたと思ったところでオシムが倒れて、岡田に替わったとき、すべての希望を捨てた、って話は前もした。

 しかもまだ救済が可能だった時期をすべて逸して後手後手。ジーコの時は解任デモとかあったような記憶があるんだが、岡田に対しては東アジア選手権で惨敗するまで誰も声をあげなかったのもおかしい。昨年の早い時期でこのチームが機能しないのはわかってたはずなのに。
 そういや、昨夏のオランダ戦は前半は良かったという声をネットで目にするが、現地で見てた私に言わせれば正反対。単に持たされてるだけで、手も足も出なかったというのが現実で、だから前半だけ見てこりゃだめだと思い、後半本田が入っても勝てる気なんてぜんぜんしなかったよ。もちろんそれでも本田なら1点は取ってくれるだろうと思ってたので、そこは失望したし、スタメンで出てれば違ったはずだとは思うけど。

 その解任騒ぎも疑問符だらけだった。なんでもデモに参加したのは数人だけ、抗議の電話も数百だけだったらしいが、それに対するサッカー協会幹部のセリフが??? 「それっぽっち?」とかなんとかいうリアクションだったらしいね。シャイでパッシブな日本人でわざわざ抗議行動起こす人はほんの一握り。だけどその影で、歯がみしている人がどれだけいるか想像つかないの? まして協会にまで乗り込もうという人は、よほどのサッカー好きだろうに、そういう人たちを鼻であしらって追い返す感覚がわからない。お茶でも出してじっくり話を聞いてやるべきだろうに。どこかの国みたいに撃ち殺される心配ないからって思い上がってないか?

 とにかく選ばれちゃったものはしかたがないので、選ばれた選手は死ぬ気でやってほしい。というか、少なくとも大舞台で日本の恥をさらさずに、負けてもガッツを見せてほしい。ワールドカップは世界が注目してるし、そこで見せるパフォーマンスは良いものも悪いものも半永久的に記憶に残るんだってことを忘れないでほしいね。
 まったく、日韓大会のときは日本人であるってだけで大きな顔ができたのに、今年は外人と話すときはなるべくワールドカップの話題を避けてる。
 私は日本がワールドカップに出られるだけでもすごいことだと思って、記念にフランス大会から写真集(でっかくて高いハードカバーのやつ)買ってるのに、今年は買う気が起きないなあ。フランス大会のやつだけは日本サッカー協会のオフィシャル写真集じゃないので、日本の監督や選手の写真はほとんど載ってないからいいの(笑)。

 とにかくこれだけサッカー人気が盛り下がっている現実を危機とも思わず、ワールドカップ招致活動なんてやってる場合かよ。これじゃ東京オリンピック招致と同じ結果になるのは目に見えてる。

 この辺で終わらせればいいものを、例によってまたサッカーとは直接関係ないことを書く。

 なんか今の日本サッカーって、昔の(30年ぐらい前?)日本競馬界を思わせる。世界に出ればまったく通用しないのがわかっていながら、(「日本最強馬」が海外G1に挑戦しては、どん尻追走だけで終わる)、「日本には日本の競馬がある」とか意気がってた時代。

 あの頃もどうすれば強くなるか、日本の競馬のどこがいけないかという議論が盛んだった。「草が違う」とか、「土壌の質が違う」とか。これって今の「Jリーグの審判は簡単にファウルをとりすぎる」とかいうのと似てない? 「騎手は世界レベル」というのと、「技術は世界レベル」ってのもなんか似てるな。
 で、競馬は結局、「鎖国」が悪いってのがだんだんわかってきて、ジャパンカップが創設されたりして徐々に海外に門戸を開き始めた頃から変わってきたんだけどね。それでも頑固なナショナリストはいて、「父親の名前も聞いたことのない外国産馬が勝利を独り占めするようになれば、日本の競馬はすたれる」なんて言ってたんだよね。その内国産馬の父親だってたいてい外国生まれだったんだけど。
 日本の競馬が停滞してたのは、もともと排他的で保守的な伝統に加え、その伝統にあぐらをかいて利権をむさぼっていた連中が変化を嫌ったこと。弱い馬同士が勝った負けたを繰り返していても、主催者は儲かって利益が出ていたこと。これって今のJリーグにも言えるか。
 でも、競馬にくらべれば、最終的にはいやでも世界と戦わなければならない仕組みになっているサッカーはまだ恵まれてるし、お上が運営しているわけでもないし、特に今回の選出を見ると、Jリーグでいくら結果を出しても評価されないようなので、才能のある若手は今後進んで海外に出て行くだろうというのは明るいニュース。

 もっとも競馬とのアナロジーを続けるのは無理があって、日本馬が強くなった最大の原因は強い円にものを言わせて海外から種牡馬を買いあさったためだろうが、人間はそう簡単に買ってくるわけにいかないし、日本代表は日本人じゃないとなれないし、仮にロナウドやメッシを買ってきても、手当たり次第に種付けさせて子供産ませるわけにはいかないし(笑)。
 ただ、監督は日本人である必要はないので、せめて監督ぐらい札束で顔はたいて海外の有名監督連れてくればいいのに。なんだかんだ言っても儲かってるんでしょ?
 それで思い出したが、競馬の世界では財力のあるお殿様が、道楽で湯水のように金を注ぎ込んでくれて強くなることがよくあるが、プレミアなんかはすでにそうなってますな。あいにく日本にはそういうお殿様がいないんだよねえ。いるとすれば企業なんだが、この不況だし。でもサッカー市場は競馬市場より確実に規模が大きいし、当たりさえすれば巨額の冨を産むんだけどね。

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