2008年11-12月の日記

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2008年11月7日 金曜日

 久しぶりに日記でも書こうとサイトを開いてショック!!!
 10月は1行も書いてないじゃないか! 2000年の4月にこの日記を書き始めて以来、丸1か月も書かなかったことなんて初めて! 昔はあまりにたくさん書くので呆れられていたぐらいなのに。
 いや、これでお金もらえるならいくらでも書きます。ネタは腐るほどあるし。だけど、私も生活して行かなきゃならないもんで。おまけに年を取れば取るほど、何をするにもノロマになってしまい、若いころの10分の1の仕事もできない。それであせればあせるほど、時間ばかりが無駄に過ぎていく‥‥
 とか、ボヤいてる時間も惜しいのでとにかく書きます。


アメリカ大統領選

 やっぱり歴史的出来事だし、なんか書くべきだと思ったので。
 もちろん私は最初からオバマ支持なので、やった!という感じ。だいたい「アメリカの白人男性は信じるな」というのが私のモットーなので。というのは嘘。何人だろうが、何色だろうが、男は若くてハンサムなほうがいいに決まってるじゃん(笑)。
 ただ、やっぱりイチャモンを付けたくなってしまうのだが、半分黒人で半分白人のオバマが初の黒人大統領と呼ばれるのって、なんか変。彼を黒人と呼ぶなら、白人と呼んだって同じじゃない。もちろん、アメリカでは黒人の血が一滴でも混じってれば黒人と呼ばれるのは、フォークナーとか読んで知ってますけどね。パウエル国務長官なんて、同僚の白人よりも白かったけど、それでも黒人と言われてたし。
 だいたい今ごろようやく黒人大統領誕生で喜んでるなんて遅すぎる! これがアメリカ初のネイティヴ・アメリカンの大統領なら、ちょっと興奮するけれど。いかに保守的な国かがよくわかりますね。なんて、ケチ付けてるけど、それでも日本の閣僚より、はるかにましだけどね。日本の閣僚とか議員なんか、全員首にして、猿回しの猿にやらせるか、カカシでも立てといたほうがまだましって感じ。
 とにかくドルをなんとかしてくれよー、オバマさん!


円高ドル安

 というわけで、自分の生活に直結しているので、特にアメリカを気にしている。なにしろうちの店はドル建てだし、貯金のほとんどもアメリカドルなので。ちなみに店を開いた当時のドルは140円、それが100円を割ったおかげで、最近は売れば売るだけ損してる勘定。ついに耐えかねて、円建てに変えようと思い、お得意さんにそう言ったら、思い切り誤解された。
 単に(ドルがさらに下落した場合のこれ以上の損を防ぐため)支払い通貨を円に変えようとしただけなのに、なぜか円ドルの差益分の値上げと誤解されたのだ。この人は長年のお得意さんで、アメリカ人としてはすばらしく音楽のセンスがいいので(単にマイナーな英国ロックが好きだというだけ)、私はすごく好意を持っていたのに、その人に(文面はていねいだったが)三行半を突きつけられて、大ショック!
 説明したらすぐにわかってもらえて、謝ってくれたけど、同じような誤解をする人が多いことを考えると、やっぱりそう簡単には踏み切れない。幸い、オバマが当選したことだし、ほんとに変化をもたらしてくれることに期待して、もうちょっとがんばってみようかなと。

 逆に円高の今は、海外で円を使うチャンスだよね。それでもうやけくそで、来年の夏は前々から招待されているベルギーのアンドレのところへ遊びに行くことにした。まあ、来年までこの円高が続くという保証はないが、少なくともホテル代は浮くしね。だいたいアンドレのためにはこれだけ尽くしてるんだからそれぐらいしないと元が取れない(笑)。
 実は明日、また来日するのでホテルで飯おごってもらう約束だったのだが、彼が飛行機に乗れずにキャンセルになってしまった。なんでも、ちゃんと飛行機を予約したのに、パリの空港まで車で行ったら、電車で来ないと乗せるわけにはいかないと断られたんだって。なんのこっちゃ? なにしろ国際電話で、ブロークンの英語で早口でまくしたてられたもんで、真相はよくわからないのだが。ていうか、そんなことでいちいち電話して来ないでよ(苦笑)。(言うまでもないが、私は電話恐怖症)
 おまけに来日できないアンドレの代理で、明日は阿佐ヶ谷のレコード屋へ行って商談をやらなきゃならない。それも、電話でアンドレに同時通訳して、その場で買うか買わないかを決めるんだって。あたま痛い。このぶんの元はがっちり取らせてもらうからね!


死ぬ話

 なんか不吉なタイトルがついてるが、もちろん死ななかったのでこんなこと書いていられるわけ。実は9月に受けた初めての癌検診で、肺ガンの疑いありで再検査という結果が出てしまったのだ。レントゲン写真を見ると、肺に影があるのだが、再検査でもやっぱり同じところに影が出て、これはいよいよ年貢の納め時かなと。なにしろ父方の祖父はガンで死んだし、親父も肺ガンだし、私もこの通りのヘビースモーカーですからね。
 それで今日はCTスキャンを受けたのだが、担当医は写真を見せながら、「何もありません。きれいなもんです」だって。なんだよー、それは!

 とにかくまだ死ぬには早かったようだが、一時は本気でこれでおしまいだと思った。ガンを宣告されたらどんな気がするだろうとは、前々から考えていたが、自分でも意外だったのは、べつにどうでもいいやという感じだったこと。考えてみたら、私は後に残す家族の心配もないし、未完の仕事もないし(あるけど、べつに私でなくてもできることだし)、これぐらい後腐れのないというか、いつ死んでも平気な人間はいない、っていうのはけっこう悲しいことかもしれないけど、本人は気楽だ。もちろん何人かの友達はきっと泣いて惜しんでくれるだろうけど(アンドレは確実だ)、それでも私がいなければ生きていけないという人はいない。
 そのせいか、思い詰めるということもなく、むしろ無責任きわまる開放感みたいなものがあったのには、自分でも驚いた。「死んじゃうならもうダイエットの必要ないから、(大好きなのに何年もがまんしている)カツ丼や天丼が思い切り食えるな」とか、「寝たきりになる前に残った金ぜんぶ使って豪遊しよう」とか、ポジティブなこと(笑)しか頭に浮かばない。
 まあ、だいたいヘビースモーカーなんてのは、「消極的自殺志願者」なので、(命が惜しかったらタバコなんて吸わない)、もともと自分の命をあまり重視してないのかも。親父も片肺切除してもまだタバコ吸ってるし(笑)。私もべつに死にたいとは思わないが、そんなに必死に生きたいとも思ってないし。そうか、私の命ってそんなに軽かったのか。と、これはなかなか新鮮な発見だった。
 でもなんとなくわかるな。生物学かぶれの私としては。人間はたくさんの細胞からできている。そして細胞は毎日死んでいるけど、いちいち細胞の死を悲しんだり悔やんだりはしない。それで巨視的に見れば、人間だって細胞みたいなもので、人間は毎日たくさん死んでいるけど、人類はまだ当分絶滅しそうにない。

 ただ唯一心残りというか、死ぬ前になんとしても整理しなきゃならないものがある。このうちを埋め尽くしている大量の本やCDだよ! 私が死ねば、ブックオフに売り払われるのが落ちだが、ブックオフなんかに売るのはあまりにももったいないものが多すぎる! これがブックオフ行きになるなんて思ったら、私はとても成仏できない。でもこれを全部整理して、妥当な買い手に売ることの手間を思うと、めんどくさすぎて死にたくなくなる(笑)。たぶん私が長生きするとしたら、それは死ぬのは準備があまりにめんどくさいためで、それもいかにも私らしいっていうか(笑)。

2008年11月17日 月曜日

レコード・バイヤーの苦しみ

(アンドレとは何者かということに関しては、2007年9月26日の日記をご覧ください)

 いやはや、先週の日曜はひどい目にあった。予定ではアンドレに日頃のお礼として豪華レストランで豪華ディナーをおごってもらうはずだったのに、そのアンドレが来日できなくなったので、彼の代理で商談に行くはめになったという話はもう書いた。この阿佐ヶ谷のレコード屋は(他のいくつかの東京の中古レコード屋同様)、年に1度来るアンドレのために、大量のピクチャーディスクをキープしてあるのだが、この日も彼が行く約束になっていたのだ。
 ただ行ってレコードを引き取ってくるだけなら問題ないのだが、問題は50枚ぐらいあるレコードを1枚1枚品定めして、買うか買わないか決めなきゃならないこと。それも、これなら買うという明確な基準があるわけじゃなく、同じレコードでも状態がこうで、付属品がこうで、値段がこうなら買うという、アンドレなりの基準に合ってないとだめなのだ。(コレクターなら当然ですけど)
 でも私は甘く考えていた。店のおやじに頼んで、リストをメールかファックスで送ってもらい、それを翻訳してアンドレに送って決めてもらえばいいと。それだって十分面倒だが。ところが、前夜電話でそう持ちかけると、相手はできないという。
 言っちゃ悪いが、同業者として言わせてもらうと、(アンドレがほしがるような古いレコードを置いてる店はみんなそうだが)こういう小さい古い中古盤屋は、びっくりするほど商売気がないというか、商品を売りたがっていないように思えてならない。少なくとも私はお客様の頼みならなんでもするぞ。あんたの売り物でしょうが! 自分の商品のリストも作れないでどうする。こっちが知りたいのはレーベルと、レコード番号と、状態と、値段と、付属品の有無だけなのに。
 それを言うと、「でも1枚1枚説明しないとわからないようなのが多いし、現物を見てもらわないことには」とグズグズ言う。しまいには、「私、喉をやられててしゃべるのがつらいんですが」と言って電話を切りたがる。電話切りたいのは(電話恐怖症の)こっちの方だってば! しまいにはこっちが切れて、「じゃあ、明日行きます!」ということになってしまった。
 電話を切ってから考えたのだが、客がカウンターに持ってくるレコードをただ袋に入れてお代をもらえばいいだけの、通販をしないレコード屋は自分の商品を説明することもできないのだな。逆に私なんかはこれがすべてと言ってもいいぐらいなので、CDを手に取れば、よどみなくレーベルと、レコード番号と(以下省略)が口から出てくる。
 アンドレが言うには、彼に国際電話をかけて電話口でそれを言ってくれればいいというのだが、50枚についてそれやるのにどれだけかかるんだよ。店の親父がいい顔しないことは確実だし、迷惑だから困ると言われたらどうしよう? ワン切りで向こうからかけ直させるので、電話代はかからないのだが、仕事の邪魔だとか言われるんじゃないかとか。
 でもいったん引き受けた以上、アンドレ方式でやることにした。つまり相手に有無を言わせない強引さで(笑)。私もこれでさんざんやられてるんだから(笑)。
 そこで訪れた店で、電話貸して下さいと頼み、レコードの詰まった箱を前に1枚ずつ解説する。親父の説明を私が英語に翻訳して奥さんのヴァレリーに伝え、ヴァレリーがそれをフランス語に訳してアンドレに伝え、その途中で親父やアンドレがあれこれ口を出すので、これまた多重翻訳。これを50枚分、記録破りのものすごい早口でやって1時間。思ったより早かったな。その間、2人ほど客が入ってきたが、ビビって出て行った(笑)。
 しかし、その前後を合わせまる2時間、私は埃っぽい狭い店の片隅に押し込められて突っ立ったまま。お茶1杯でなかった。しまいには声が枯れて声も出ない。これまた私の甘い予想では、事務所の電話を借りてデスクに座ってやるつもりだったのだが、考えてみれば、こんな小さい店に事務所やデスクなんかあるわけなかった(笑)。その意味、うちのほうがまだましだ。(ダイニングテーブルだけど) それと公平のために言っておくと、椅子なんか置く場所もなかった。それにしたって、十何万円という買い物をする客にお茶の一杯も出さないか? 帰る時に店の奥さんが、「まあ、お茶もお出ししませんで」と言ってくれたけど、それぐらい早く気づけ!
 しかし終わった時には、最初はすごい渋っていた店の親父も、なんか感動したようで、「プロだねえ」という変なほめ方をしてくれた。プロにプロと言われたのは初めてなので、ちょっと気をよくする。さらに足が棒になってる私は早く帰りたいのに、うちの店の状況をあれこれ知りたがる。この店はもう閉めて、ネット通販に鞍替えしたいらしい。そっちのほうが楽だと思ってる。甘い! 甘いよ、親父さん! 目の前で苦心惨憺している私の姿が見えないのか? それを言うと、「でもここなんか家賃だけでも40万で」という。確かに通販オンリーだとそれはまるっきりかからないが、私に言わせればこんな店でも月に40万儲かる(し、夫婦が食っていける)なら、店舗のほうがずっと割がいいように思えるのだが。
 もちろん私の仕事はこれで終わったわけじゃなく、ずっしりと重たいレコードを家まで持ち帰り、英語でリストを作り、費用を計算し、梱包して、発送するという作業が残っている。ああ、もう! この借りはきっちり返してもらうぞ! いったい手数料いくら請求しよう? 私がおごってもらうはずだったディナーの代金は2人で5万は下らないだろうから、ほんとはそれだけもらってもいいんだけど、やっぱり悪いような気がするから(ここが小心者)、3万と言おうか。
 でもやっぱり気が引けて、「いくらもらえる?」と聞いたら、「2万でどうか?」と言われた。もちろん少なすぎるなら言ってくれとは言われたけど、やっぱり小心者なので「それでいいです」と答えてしまう。ああーっ、だめだー! こうなったらやっぱりベルギー行って、毎日ムール貝三昧だ!(ベルギー料理なんてそれしか知らない)

2008年11月24日 月曜日

『深海』 クレール・ヌヴィアン著 (晋遊舎、2008年)
Abyss by Claire Nouvian


 地球上で生物が生息可能な空間のうち、陸上は全体の1%を占めているだけだ。あとはすべて海。海にくらべれば、生命で満ちあふれているように見える地上も、不毛の砂漠に等しい。そして深海の最も深いところを自分の目で見た人間の数は、月の上を歩いた人間より少ない。
 というわけで、2006年5月15日に書いた『深海生物ファイル』(あっちもカバーがインパクトあるんで、写真を加えて少し訂正しておきましたよ)はすっかり私のお気に入りになり、その後も毎晩、寝る前にベッドで読んでいたのだが、いろいろ不満も出てきた。やっぱり入門書の作りなので、文章も少なく、もっと読みたいという気にさせられるし、写真も最初は豊富で珍しいのに感動したものの、やっぱりもっと大きな鮮明な写真で見たいと思えてきたし。
 そんなとき、まさに私が捜していた通りの深海生物の豪華写真集が発売された。フランスで刊行された“Abyss”という本の翻訳なのだが、手にとって、文字通り震えてしまった。とにかくこの写真の鮮明さと美しさ! 私はネットでもずいぶん深海生物関係の写真をあさっていたが、こんなにきれいな写真見たことない! まあ、それはあたりまえっていうか、ネットに載せるときには写真はだいぶ画質を落とさなきゃならないからね。でもここではタコやアンコウの皮膚の細かいしわのひとつひとつまで、くっきりはっきり見えるのだ。そういや、アンコウって、ウロコのない魚なんだなーと、あらためて気づいたりして。
 とにかくこれまで(たくさんの写真集やビデオを見ているにもかかわらず、それでもなお)おぼろげにしか知らなかった生きた深海生物のあれこれが、超どアップの巨大な写真で次々と目の前に現れてくるので、迷いなく買って帰りました。オールカラーグラビアのどっしりと厚い本で3990円はただみたいなもんだ。(アマゾンのリンクも張っておいたので、買うならこのリンクから買って下さると助かります)


アカカブトクラゲ

 おおー! と、まだめくるたびに感動したり驚いたりしている最中だが、この本を読んで発見したこと。これまで私は世間並みに、深海生物というのはとにかく異常でグロテスクな生き物だと思っていた。(だから好きだったんだけど) でもこれだけ大きく鮮明な写真で見ると、彼らはこの世のものとは思えないぐらい美しいのである! いや、確かにグロテスクなやつはグロテスクなんだけど、それでも一種、異様な美しさがある。
 しかもその美しさを知ることができるのは、深海探査挺に乗って潜った人だけ。深海生物というのはだいたいにおいて脆くて、体もほとんどが水からできているので、陸上に引き上げると原型をとどめないものが多いからだ。
 それにこの色! これはビデオでも写真でもわからなかった。あまりに色鮮やかなので、最初はCGかと思った。いや、それをいうなら形だってあまりにありえない形ばかりなので、これもCGかと思ったが、本当の水中写真なのである。
 実はCGも数枚まじっている。海中の風景の写真がそうだが、CGだとわかるのは鮮明さが足りないせいもあるが、実際は真っ暗闇の世界なのに、これだけ広い範囲を明るく照らし出せるライトはないからである。
 そう、矛盾するようだが、ここは永遠に光が差さない真の暗闇の世界。そこに生きる生物がこんなにも色鮮やかで美しいなんて! 実は深海生物の90%は発光生物なのだそうだ。闇の世界は実はめくるめくばかりの色と光に満ちているのだ。
 この美しさはもう本を手にとって見てもらうしかない。ここに引用した写真だって、現物とはまるっきり違う。特に生物発光に顕著な蛍光色がぜんぜん見えなくなっちゃうのよね。このクラゲだって、ヒダヒダの周囲が虹色に光っているのだがわからないでしょ。


コンニャクウオの一種

 形もすごい。だいたいがタコはタコに見えないし、イカはイカに見えないし、魚だって魚とは似ても似つかない形をしている。たとえばこの魚、形はまるでオタマジャクシだが、それに巨大な頭がついていて、おまけにその頭はクレーターみたいな穴ぼこだらけで、さらにこの写真では見えないが、穴じゃないところも無数の細かい穴があいてボコボコだ。(しかも変にかわいい)
 それでも魚はまだかろうじて魚に見えるが、それ以外のはもう絶対にありえない、宇宙人としか言いようがない。
 そうそう、変な生き物といえば、なんと女性器そっくりな生物もいるんですよ。(残念ながら写真はありません) つまりその、あれを丸ごとえぐり出して海に泳がせたみたいなの。丸くて、真ん中に割れ目があって、そこになんとも卑猥なヒダヒダがついている。色は半透明な薄ピンクだが、割れ目の中心へ行くほどピンクが濃いのも卑猥。しかも割れ目の端っこにはクリトリスのような突起物が! これで毛が生えてたら18禁ものってぐらいで(笑)。
 これは「ツバサゴカイの未記載種」で、「ブタのお尻」というあだ名がついているらしいが、お尻というよりは誰が見てもお○んこです。
 それ見て笑ってたら、なんとおちんちんそっくりの生き物も発見! こちらは「クローンヤムシの一種」で、全体は透明で、真ん中に一本、鮮やかなオレンジ色の内臓(?)が透けて見える。人間のおちんちんとしたら細長すぎるのだが、カリも備えた立派な亀頭を持ち、おまけに根っこのところには2つの丸いタマまでついていて、タマの中には白い卵みたいなものが透けて見える。ただ、わけがわからないのはさらにそのうしろにクジラみたいなしっぽがついていることなのだが。これも解説には「オレンジ色のボールペンに似ている」なんて書いてあるが、誰がどう見ても立派なおちんちんです。我々の先祖は海から来たというのがよくわかるね(うそ)。
 とにかく今はまだ、1ページめくるごとに、「おおー!」、「へえー?」と感動しているところ。下手な文章休むに似たりというわけで、あとは少し写真を載せておくね。


ヘビトカゲギス
深海魚には自分の頭より大きな獲物を飲み込むため、あごが外れて飛び出すようになっているものが多いが、この仲間を見ていてどうも落ち着かない気がするのは、最初から喉に穴があいて頭が千切れているように見えるため。口の下の赤いヒダはたぶんエラ。

トガリテマリクラゲ
生きた花火のようだ。

ジョルダンヒレナガチョウチンアンコウ
間違いなく「最も醜い魚」候補ナンバーワンの貫禄。

ジュウモンジダコの一種
かわいい。まるでポケモンから抜け出してきたみたい。と思ったら、解説にも「日本のアニメ・キャラクターのようだ」と書かれていた。

2008年12月23日 火曜日

英語教育のはなし

 えー、クリスマスにはできれば「いい話」を書こうと思ってるんだけど、ネタはいっぱいあるものの、書けずに行き詰まっている。それにくらべ、悪口ならいくらでも書けるんだよね(笑)。
 とりあえず、今日どうしても書いておかなければという気になったのは、今朝の新聞を開いたら、「高校の英語の授業は英語で行うことにする」という、文科省の学習指導要領改訂案のニュースが目に飛び込んできたから。おそらく日本の英語教師の99.99%は、これ読んで目の前が真っ暗になっただろう。
 日本の学生がここまでバカになった最大の元凶は文科省にあるってのに、まだ懲りないのか? はっきりわかるのは、文科省のお偉いさんなんてのは、「現場」を何ひとつ知らない、頭でっかちのエリートだってこと。“This is a cat.”以上に複雑な英語はわからないんだよ! 日本語で懇切丁寧に教えたってわからないのに、英語で話して通じるわけがない。というか、日本語が通じない。わざわざ日本語でも「バカ者語」に翻訳しつつしゃべらなきゃならないのに!
 ていうか、高校の先生たちにそれができるのか? その先生たちを送り出す立場としては、彼らのレベルも知ってるし、非常に不安。仮にできたとしても、授業が成立しないのは明らか。おまけに日本の高校は成績ではめったに落第させないし、大学も全入時代。つまり、これが現実になったとして、高校で英語を何も勉強していない学生がゾロゾロ大学に入ってくるわけだ。そうなる前に私、教師やめたい。
 とりあえず、「現状」がどういうものか知ってもらうために、以前、技術評論社の(4号でつぶれた)雑誌『英語野郎』に連載した「大学生の頭ン中」という記事を、編集部の了解を得た上で、ここに転載させてもらいます。文科省の人にぜひ読んでもらいたい。(pdf形式ですので、読むにはAdobe Readerが必要です)

「大学生の頭ン中」 前編
「大学生の頭ン中」 後編

 言っておくけど、ここに書いたエピソードはほんの氷山の一角! 事態はこれを書いた当時からさらに悪化していて崩壊寸前。私が教えてるのは底辺なんかじゃない中堅有名大学だけど、やってる内容は中学英語のレベルなんだから。


 これを書いたときは忙しくて言葉が足りなかったので、なんで英語で授業やったらだめなのかをちょい補足。
 これは企業とかでもよくある話だと思うんだけど、上から絶対実現不可能なノルマを与えられた現場は、不正でごまかすしかない。数字を改竄したり、材料を安いものでごまかしたりしてね。このところ絶えない官庁や企業の不祥事やら偽装事件やらも、そういうのが発端になっていることが多いんじゃないか。
 英語の場合、まず考えられる不正は実際は日本語でやってるのに、英語でやったと嘘の申告をする。そうでなければ英語でやって、試験の点を改竄する。アルファベットさえ書ければ合格とか。いや、以前書いたようにこれは大学の場合だから、高校ならアルファベットを10個書ければ合格か(苦笑)。
 もちろん、そのしわ寄せは学生に行く。普通の英語の授業なら10のうち5つは理解できた学生が、0のまま大学に入ってくる。高校がゼロってことは、中学卒業レベルだが、それだけ間があけば中学で習ったことなんかみんな忘れちゃってるので、大学ではまたABCから教えることになる。これは一部ですでに現実だ。それが普通になってしまうのがこわい。

2008年12月29日 月曜日

秋葉原でお買い物

 なーんか今年はどっちを向いても、心(というか懐)が寒くなるようなみじめな話ばかりですねえ。よって、日頃そういう話ばかり書いている私は景気のいい買い物の話を書こう。いや、ちっとも楽じゃないんですよ。いちおう「輸出業者」としては。店のほうは事実上、売っても売っても赤字かただ働きに等しい。かといって値上げすればお客さんが逃げちゃうし、日本人のお客さんにとってはよけい割高になる。普通なら店を閉める頃合いなのだが、根が楽天家の私は、いつかまた円が下がる日を待っている。だいたい、一度閉めたらせっかくこれまでかかって築き上げた(ってほどでもないけど)信用がゼロに戻るし、常連のお客さんだって戻っては来ないだろうし。
 というわけで、店は開店休業状態、今は大学の給料だけで暮らしているが、これだけでは普通暮らせない。普通の人は。でも私は食料品と、石けんとかトイレットペーパーなどの必需品以外、「何も買わない」、「金のかかる遊びは一切しない」という戦法でなんとか生きのびている。今年は「自分へのクリスマスプレゼント」もなし!
 でもぜんぜん何も買わないのはなんか悲しいので、せめて必需品だけでも買おうと、日曜日は秋葉原へ。

 ところで、自慢じゃないが、なくては生きていけないパソコンと、特にこだわりのある掃除機を除いて、うちの電気製品はすべて壊れている(笑)。どれも15年ぐらい前のものだから、修理も論外。壊れているのをだましだまし使っている状態。ついでにすべて省エネ時代以前のしろものだから、うちの電気代はすさまじい。

エアコン

 制御用のマイコンが壊れていて、サーモスタットがかかると自動的に止まる。(冷房以外は使わないので知らないが)夏は凍えるほど冷えても温度を上げられない。しかもそれを24時間付けっぱなし。おかげで夏は寒くて凍えている。かといって、エアコンなしでは暑さで死ぬし。
 これはさすがに一度修理を呼んだのだが、すぐにまた同じ症状が出たのであきらめた。

冷蔵庫

 やはりマイコンの故障だと思うが、なぜか外気温に応じて庫内の温度が変わる。夏は暖まってしまって冷凍食品がみんな溶ける。冬は逆にギンギンに冷えて、牛乳も卵もみんな凍る。
 意外な気がするが、実は冷えすぎのほうが問題が多い。肉はまだいいが、野菜はみんなカチカチに凍ってしまって、解凍してもベチョベチョになって食べられない。かといって、室内に出しておくと暖かすぎ、乾燥しすぎて、腐るか干涸らびる。ならばベランダに出しておけばと思うが、うちのベランダは陽当たりがよく、特に午前中はすごい温度が上がるのだ。一度、ゆでたブロッコリーをあら熱を取るだけのつもりで外へ出したのを忘れて、翌朝見たら真っ白に変色してどろどろに溶けていた。
 そんなわけで冬は野菜が一切保存できない。
 ついでに、隣の部屋にあるのに寝ていられないほどものすごい運転音がする。

洗濯機

 洗濯の途中で必ず数回止まる。全自動なのにしょっちゅう見に行かなければならない。
 排水口のフィルターが割れてしまって、糸くず総流し。

電子レンジ

 もともと、「もう捨てるけどほしいならあげる」と言われてもらった中古品。来たときからものすごく汚れていたので、掃除もしないで使ってるから、庫内は何かがぎとぎとにくっついて、もう剥がすこともできなくなっている。運転時、これも何か恐ろしげな異音がする。

DVDプレイヤー

 ちゃちな中国製だからすぐ壊れるだろうと思ったが、なんと2年半も保った。しかし、数か月前から起動画面から先に進まなくなった。

換気扇

 回るけどまったく吸い込まない。これももともとすごく汚れていた上に掃除しなかったせいかも。

 さて、常識で考えて、真っ先に買い換えるべきはなんでしょう? 常識では冷蔵庫だと思うんだけどね。これ、買った当時は最先端の逆転型(冷凍庫が冷蔵庫の下にある。今はみんなそうだけど)で、ネイビーブルーの色がすごく気に入ってるのに、いま店にあるのを見ると、どれもこれも味気ない白ばっかりなんだよね。だいたい、エアコンや冷蔵庫は高すぎるし、処分費用がまたバカにならない。
 というわけで、買うことに決めたのはDVDプレイヤーと電子辞書。「なんでー!」という声が聞こえそうだが、生活より趣味優先なんだよ、私は。
 「テレビを一切見ない」私は、DVDがテレビ代わり。なのに、それがまったく見られないのはつらい。だいたい、買ったのに見られないDVDがたまってるし。【生活必需品以外買わないんじゃなかったの?】 DVDと本とCDは私にとっては生活必需品なの! だいたいCDは最近ぜんぜん買ってないんだし。
 電子辞書のほうはいちおう英語のプロとしては、持ってなくてはいけなかったもの。学生はみんな持ってるのに、教師は辞書なし。(本の辞書なんて重すぎて持ち歩けない) もしかして翻訳の経費で落とせるかもという計算も働いた。

 そこで秋葉原だが、昔はここは私のホームグラウンドだったんだよ。なのに足が遠のいたのは、もちろんおたくに占領されてから。まあ、今は秋葉よりネットで買う方が確実に安いけど。でも、すぐにこわれる中国製DVDは、近くの店舗で買った方が何かと良さそうだし、電子辞書はやっぱり手にとってみないと買えない。
 で、秋葉へ行ってももちろん大型店なんかは見ない。高いから。闇市みたいな店の方が好き。その闇市っぽさを残しながら、女ひとりでも入りやすいという点で、昔からよく行くのが駅前のラジオ会館。今回もラジオ会館で買おうと思って入ったら、ぎゃー! 店がぜんぜん変わってしまっている! 昔の雰囲気を残すオーディオ専門店なんて2、3軒ぐらいしか残ってなくて、残り全部おたくショップ! そりゃ私も海洋堂ぐらいなら許すし、あそこでは買い物もしていたが、なんかもっとうにゃうにゃした気味の悪いのばっかり! ええい! 寄るな、さわるな! バイキンがうつる! と、ほうほうの体で逃げ出す。
 しょうがないので、その周辺の闇市みたいな店で買いました。DVDのほうはとにかくリージョンフリーでさえあればいいので、いちばん安いのをさらに値切って5000円。前にも書いたように、この程度は(日本盤と輸入盤の)ディスクの値段の差額でお釣りが来てしまう。

 問題は電子辞書だよなあ。手に取ってみたが、どれも気に入らない。
 あ、いちおう電子辞書(のようなもの)は持ってるんです。やはりプロとしては出たばかりのころにソニーの最新機種を買ったんだけど。これがCD-ROMを入れ替えて使うやつで、使いごこちは悪くなかったんだけど、何しろ重くて、おまけに電池がたちまちなくなる。
 あれからずいぶん進歩したはずなので、今なら手帳のように軽くて、見やすくて、早いのが出てるはずと思ったんだけど‥‥やっぱりどれも重いなあ。デザインも画面もやぼったいし、使い勝手も悪いし、だいたい遅い! ソニーのやつは入力して画面が変わるまで一呼吸はいるのだが、これが瞬時に表示されるパソコン用の辞書を使い慣れた私にはものすごくイライラする。ところがそのスピードはぜんぜん変わってないじゃん。
 あと、余計な辞書がいっぱいおまけで付いてくるのも不満。私が必要なのはリーダーズと、研究社の英語活用大辞典と、大和英と、あとOEDぐらいはあってもいいという感じなのに、「ひとくち英会話」だの「TOEIC対策」だの、手書き入力だの、ネイティブの発音が聞けるだのなんていらねーよ。こういう余計なものがなければずっと安くできるだろうに。マイクロソフトみたいな押し売りだな。
 でも、買うと決めた以上、買わずに帰るのもなんかしゃくだったので、比較的安かったシャープのやつを買って帰った。いらないと言いながら、百科事典も漢字辞典も手書き入力も音声も付いたやつを(笑)。だって、2、3千円の違いだったんだもん。なんかおもしろいかもしれないと思ったし。
 交渉したら値札から1万円も引いて2万8千円。日曜の閉店間際に値切るといちばん安く買えるって、どこかで読んだ気がするけど、本当だったな。帰ってからネットで調べたら、やっぱりネットの最安店のほうが安かったけど、やはり値切りは秋葉の美学なのでいいことにする。 

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