2008年6月の日記

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2008年6月13日 金曜日

現役ワーキングプアが考える格差社会

 なんていう、いかにもそれ風のタイトルを付けてはみたが、中身は単なるエッセイです。

 というわけで、正真正銘のワーキングプアである私だが、テレビや新聞雑誌で格差社会特集があると、つい食い入るように見てしまう。
 普通、一般の人がこういうものを喜んで見るのは、建前はどうあれ、内心は「下には下がある」と知って溜飲を下げたいからだが、私の場合、「うちよりまし じゃん」と思うことも多いので、さっぱり楽しくない。なにしろ私はそれこそ蟹工船というか女工哀史というか、悲惨な世界で働いてきたから。あいにく蟹工船 でも織物工場でもなくて大学だけどね。

 たとえば、フランチャイズ店の「名目店長」のサービス残業が話題になったけど、私に言わせればあれでも甘い。
 大学教授も管理職である。管理職の定義は人事権があることや、自分で勤務時間を決められることだそうだが、それは確かにそうだった。名目上は。
 採用人事は教授会が決定するから、その末席にでも名を連ねていれば人事権があることになるんだろうが、実際は、うちのような零細校は学長の一声で決ま り、教員なんか口出しできない。うっかり誰か推薦して、おまけにそれが通ってしまったりすると、今度はその新人が鵜の目鷹の目の監視を受け、なんかヘマで もしでかそうものなら、すべて推薦者の責任として徹底的に叩かれる。
 時間割を作るのも日程を決めるのも教員だから、確かに自分で決めていると言えないことはない。しかし、実際は文科省のお達しがあるから、減らすことはで きないし、時間割だって作るのがめっちゃくちゃ大変なうえ、自分以外の全員に恨まれるから、作成者はみんながいやがる時間帯や曜日を受け持つしかなく、自 分の好きな時に働く自由なんかない。
 もちろん残業手当なんか一切なし。だいたい大学教授の本来の仕事の大半は、終業後、研究室や自宅でやるものだから、それを入れたらとんでもない長時間勤 務になる。おまけにうちの大学は、職員を残業させると残業手当を払わなくてはならないので、職員は定時に帰宅させ、残った仕事はただで使える教員にやらせ てた。
 それでも、そもそも教員には就業規則なんかないから、1日24時間、週7日働かされても文句は言えない。私も連続20日出勤したことがある。なくてはな らないはずの研究日(要するに休日)なんか有名無実。前にもタクシーで通勤する教授の話をしたと思うけど(電車に乗る体力も残っていないから、自腹でタク シーに乗るしかないのである)、まあそういう世界。
 これは書いたかどうか忘れたが、末期ガンで入院した老教授を見舞いに行った職員が、「それで(休講したぶんの)補講はいつやるんですか?」と聞いたというエピソードもある。
 とにかく、定年を待たずに死ぬ人のあまりの多さに、「ここにいたら殺される!」、「私はこんなところで死ぬために生まれてきたんじゃない!」、「少なく ても生きてる間に退職金もらったほうがまし!」と切実に思ったから、専任を辞めたわけだが、非常勤になればなったで、扱いが良くなるわけでは決してない。

 サービス残業と並んで話題になったのは派遣社員の待遇問題だが、それでも私の目には恵まれているように見える。時給安くてもなんでも、それでも仕事はあるんでしょ? ドクター出ても仕事ない人いっぱいいるもんね。高学歴はかえって門前払いされるし。(経験あり)
 大学非常勤や助手の残酷物語は、けっこう書いている人も多いが、とにかく給料安い! 学生アルバイトより貧乏で、勤続30年でまじめに働いてきても、紙切れ1枚でクビ、失業保険も退職金もないから、翌日から路頭に迷う。(これも経験あり)
 そういえば、非常勤には派遣に登録している人も多い。大学だけじゃ食べていけないから。私も勧められたことがあるが、当時は「食えなくても働かないほう がまし」という気分だったので断った。もし引き受けてたら、さらに搾取されていたわけか。店は儲からないけど、少なくとも損しても自分の責任だし、誰にも 搾取はされないだけましだ。最近はそれでも食えないので、翻訳とかの仕事も引き受けてるけど。とまあ、いろいろやってるのでけっこう忙しくて、、それで年 収200万円。
 とにかくここまでないない尽くしだと、かえってすがすがしいですね。派遣やフリーターになくて、大学教員にあるものは社会的信用ぐらいか。でもそんなもんじゃ食えないので、それより金よこせ!って感じだけどね。

 とまあ、そんなわけで自分の生活の心配だけで精一杯のはずなのに、つい他人のことまで心配してしまう。

 たとえば大学の教室いっぱいの学生を見ながら講義していても、つい考えてしまう。後ろの方の席でいつも寝たり騒いだりしているバカ学生どもと、最 前列でいつも教科書の上に身をかがめてノートを取っているおりこう学生たち。彼らを見ると、今はみんな平等でも、これが卒業後、5年とか10年とかたてば、この人たちの間には越えがたい溝ができてしまっているんだろうなと。
 つまり、このバカ学生はこのまま遊んで暮らして単位を落とし、留年し て卒業しても、このご時勢だから正社員にはなれず、派遣になってもつらくて辞めて、なんとなくフリーターやっているうちに墜ちるところまで墜ちて、しまい には歩行者天国でナイフを振り回したりするようになるんだろうなと。いや、そこまで墜ちる人はまずいないし、大学なんか出なくたって、立派に成功する人も たくさんいるでしょうけどね。
 とにかく同じ教室の最前列と最後列とではそれぐらいの違いができる、こういうのを格差社会と言うんだろうなと、ほとんど社会の縮図を見ているようなのよ。
 昔はこうじゃなかった。やる気のない学生は卒業するとやる気のない社員になり、それでも毎日会社に行ってさえいれば、(こういう学生もなぜか学校には毎日来るのだ)、それなりに出世して給料も上がって、平穏な老後が送れたのだ。
 考えてみればそっちのほうが変なので、今が普通なのかしら? とにかく、そういう未来を想像しながら、「自業自得だ。ざまーみろ」と思う反面、かわいそうな気もしてしまう。

 本人のせいじゃない場合はもっとかわいそう。これも時勢か、親が学費を出してくれないとか、大学辞めろと言われたとかいうケース。これも昔なら、 「もう子供じゃないんだから、自分の学費ぐらい自分で稼いで卒業しろ」と言えたのだが、今の大学生は子供なんである。とにかくあきれるほど幼い。その幼さ で親から見放されたら、もう生きていけないのである。
 今日も、4年生なのにこの時期になって初めて出席した学生がいた。普通ならこんなのは即落第なのだが、いちおう話を聞いてみると、これが聞くも涙の話 で、もう就職も内定しているのだが、両親が永年の不仲で、離婚調停ももめにもめ、DV家庭なのかしまいには警察呼ぶ騒ぎになっていて、これまで来たくても 来られなかったというのだ。
 思わず涙ながらに手を取って、「あんた、親のために自分の人生犠牲にしちゃだめよ! 今が人生でいちばん大事な時で、ここでつまずいたら、二度と取り戻 せないかもしれないのよ! 親なんか放っておいて、今は自分の利益だけ考えなさい」と説教してしまった。まーったくバカ親が。少なくともこれまでいっしょ にいて、学費も払ってるなら、せめて息子が自分で稼げるようになるまで辛抱できなかったのか? それに私はこんな安い時給で、なんでこんな心配までしな きゃならないのか?(笑)

 しかしまあ、私も人に説教できる立場にないよなー(笑)。でも私の場合は「選んだ貧乏」だからいいの。少なくとも精神的には、専任時代よりはるかにゆとりもあってハッピーだし。

おなじみの貧乏話

 というふうに、ただでさえ貧乏なのに、この値上げ攻勢は痛いですね。食料品や日用品が、この半年で3〜4割は上がった感じ。私なんかそれこそ10 円20円の違いでも大打撃なので、苦しんでいるかというとそうでもない。なんかもう、ここまで貧乏だと、矢でも鉄砲でも持ってこいと、かえって開き直って しまうようで(笑)。
 だいたい、ここ数年のデフレが変だったのだ。私なんか高度成長時代に育ったので、物の値段が下がるということ自体信じられなくて、なんかだまされているような気がしていた。
 その意味では普通のはずなのだが、高度成長時代との大きな違いは、確かに物の値段はバンバン上がったけれど、給料もそれなりに上がったし、利息も高かったということ。なけなしの貯金でも、銀行に預けておけば数年で 倍になった。なのに、給料は上がらない、金利はゼロでは、いずれ経済破綻するんではないか?と素人なりに心配している。だって、そのうち誰もなんにも買え なくなって、製品が売れなきゃ企業も給料払えなくて、全国民が貧乏人になってしまうんではないか? 年金の破綻よりそっちのほうが深刻じゃないか?
 私がいちばんたくさんバイトをしていたのは(うん十年前 の)高校生時代だが、そのころの時給がたしか400円〜600円だった。ただ、最近ショックを受けたのは、当時の古いマンガを読んでいたら、パン(食パン じゃなくて、店内で焼いてるしゃれた店のパン)1個が20円と書いてあったこと。そんなに安かったっけ?(記憶なし) 同じようなパンが今は 200〜300円。なのに、時給は1000円ももらえない人がたくさんいる。こりゃ生活苦しいに決まってるわ。

 とにかくそれでもなんとか持ちこたえているのは、もともと貧乏暮らしが板に付いてるから。逆に言うと、これ以上削るところなんかない。これもご時 勢か、最近マスコミでやたら節約法の話が目立つが、私に言わせりゃ、まだまだ甘いっていうか、いかにもにわか仕込みのケチ生活という感じ。
 私がかろうじて生き長らえているのは、東京でも最も物価が安い地域に住んでいるおかげもある。この辺は近くに卸売り市場もあり、とにかく安売り店が密集しているのだが、それをさらにくまなく回って安いものを捜して買っている。
 食料品も安いが、古着屋は本当に助かるなあ。もう服は普通の店で買う気がしない。だって、安物の洋服なんて、見た目も着心地も悪いし、すぐにダメになるくせに、何千円もするじゃない。
 それにくらべ、今着ている絹100%のアンサンブルは(中国製だから100%というのは嘘かもしれないけど)、色もきれいだし、肌触りもよく、涼しく て、新品なのに(いわゆるバッタもんも扱ってるんですね)これが800円、それをさらに半額セールで400円で買ったもの。身に付けるものすべてがこの調 子なので、私はけっこう衣装は贅沢している。
 いちおう着るものは買わないわけに行かないんですよね。外へ出る仕事もしているし、学生は服装チェックにきびしいので(笑)。まったく勉強もせんと、教 師の服装みたいなつまらんことは熱心に観察してるんだから。でもいちおうそのチェックはパスしているし、誰も私が300円だの400円だのの服ばかり着て いることには気づいていない。
 ちなみに洋服はクリーニングには出しません。家で洗濯機でガーガー洗って、それでだめになったら捨てる。その方が安上がりなんだもん。
 美容院へも行かないで、髪は自分でハサミでジャキジャキ切るだけだが、天然パーマのおかげできれいにまとまるし、学生には「かわいい」と言われる。(まったく近ごろの学生は!)

 あと、娯楽費もかからない。その気になれば、うちにある本とCDとビデオだけで一生楽しめる(笑)。それに飽きたら、本は図書館でも借りられる し、ビデオは100円でレンタルできる。ただ、引きこもっていてはメタボが進むばかりなので、最近は運動もしている。自転車で近所を走り回るだけだが、2 時間も全速力で走り回るとけっこうな運動になるし、今の季節は気持ちがいいし、もちろんお金は一銭もかからない。
 ただ、これには落とし穴があって、運動すると疲れる→帰るとすぐ寝てしまう→仕事ができない、というのがちょっと困る。あと、運動するとお腹が減る→いっぱい食べる→体重減らない、というのも。
 でもほんとに気持ちいいよ。前に書いたように、駅から海まで続くすてきなサイクリングロードがあるのだが、その途中、マリーナの上にかかる大きな橋があ る。これが幅50メートルぐらいある立派な橋で、しかも車は入れない。私はサイクリングの途中、その橋のベンチで、夜景を見ながら、(ああ、私が走るのは 夜です。昼間はママチャリや中学生が多くてうっとうしい)、涼しい川風に吹かれながら一服するのが無上の楽しみ。

 結局、値上げよりも私は円高が痛い。早く円下がらないかな。まあ、こんな社会が続けばいやでも下がるだろうけど。
 あと恐れているのは消費税引き上げ。今でさえ世界一高い日本のCDが、このうえ値上がりしたらうちの店はやっていけないよ。どうして中古CDは古着みた いに安く買えないんだろ? 私の見たところ、店の買い取り価格が高すぎる。まあ、古着は1枚10円でも売りたい人はたくさんいるのに、CDはそれじゃ売り 手がいないってことなんだろうけど。ああ、経済はむつかしい。

2008年6月15日 日曜日

サッカーのはなし

 と言っても、そんなにちゃんと見てるわけじゃないんだけど。うちは地上波しか見れないし(実はこの春、地デジ対応の光回線が入ったのだが、見るに は契約したり機械買ったりしなくちゃならないし、そんな金ないし!)、夜7時なんて時間に帰って来られることはめったにないのだ。(サッカーだけは生中継 しか見たくない)
 でもサッカー楽しい。なんでみんな下手だのなんだの文句ばかり言うのかわからない。(私は2ちゃんねるは見ないが、サッカー板だけはときどき見てるのだ)
 日本人サッカーうまくなったよ! 昔のJリーグなんて、ほんとに下手で見る気がしなかったけど、さすが日本代表ともなると、それなりに見せてくれるじゃない。

 ただ、私が見ているときがたまたまそうなのか、なぜかいつもDFが得点するところしか見れないんですけど(苦笑)。日本にFWっていないの?(笑) 「中沢、闘莉王のツートップで決まりだな」というのも、冗談に思えなくなっちゃう。(玉田くんはがんばってたけどね)
 結局この2人がセットプレイで点取れるのも背が身長差があるからだろうが、でかいFWっていないのかな? 巻だけは勘弁してほしいけど。
 結局、いつも言われる得点力不足をモロに露呈しただけだったな。勝つには勝ったけど、タイ相手に後半息切れして押し込まれてるようじゃ、予選突破すら怪 しくなってきた。【自分も悪口言ってるじゃん!】 いや、今の日本の実力はそんなもんと思ってるから、それはいいの。それでも見ていればそれなりに楽しめ るところがえらい。
 だから選手を責める気にはなれないんだけど、岡田監督はどうにかしてほしいよ。べつに外人監督ならいいとも思わないけど、少なくともオシムは夢を与えてくれた。時間はかかってもいつか奇跡を起こしてくれるんじゃないかという。岡田監督じゃそういう夢が持てないんだよね。
 結局、ベテラン頼みというのも、いつものことだが、寂しいな。フレッシュな若手がもっと見たい。(ところで香川って誰なの?) というわけで今はU23のほうが見ていておもしろい。水野くん好きなんでがんばってほしいな。

CMのはなし

 私がテレビを見なくなってからもう10年ぐらいたつが、サッカー中継だけは見ている。だからたまに見るとCMが気になってしょうがない。何がって、いかにもIQ低いのが。
 また年寄りのグチになっちゃうが、昔の日本のCMはそんなことなかった! 独創的で芸術的完成度が高くてセンスがあって笑えて、番組なんかよりよっぽど おもしろいので、CMの時間になると目を奪われて熱心に見ていたものだ。だから日本のCMは国際的評価も高くて、よく外国で賞取ったりしていた。昔、大学 の英語のクラスで、カルチュラル・スタディーズっぽい、CMの国際比較をテーマにした授業をやってたからよく知ってるんですよ。
 そのため、海外のCMもけっこう集めたけど、当時のアメリカのCMというのは、単に商品名連呼するか、グラマー美女がにっこりという感じのダサダサのも のばかりだったので、さすが日本のCMはレベル高いなーと感心していた。(イギリスのCMはわりと日本的で、おしゃれなイメージ広告やドラマ仕立てのもの やギャグが多くておもしろかった)
 ところが今はそれが完全に逆転! 最近の海外CMはネットとかで見るとすごくおもしろいのに、日本のテレビでやってるやつはめちゃくちゃ知能低くて、見 るとこっちまで頭悪くなりそうで気分が悪くなるようなのばっか! 特に酒関係のがひどいね。ギャグも(テレビを見ない私は)元ネタだかタレント名とか知ら ないと、何がおかしいのかさっぱりわからない。日本のCMは言葉の壁があるのに、昔は外国で受けてたってことは、言葉やネタに頼らないおもしろさがあった のに。
 これは単に日本の広告クリエイターがバカになったというだけではないだろう。つまり、おしゃれでセンスのいい広告作っても、視聴者には受けない。視聴者 は知能低いと見限ってるせいだと思う。(それを言うなら番組作りもそうだが) 実際、同じ日本企業でも、海外向けはかっこいいのに、国内向けはダサダサ だったりする。それでそれ(日本人の知能低下)が事実なんじゃないかと思うと、よけい気が重くなる。

英語教育の話

 上に、「海外のCMもけっこう集めた」と書いたけど、当時はもちろんインターネットなんかない。なのに、なんで教室で学生にCMを見せられたかと いうと、同僚の外人に里帰りしたときにビデオに撮ってもらったり、コネを使って業界人から譲ってもらったりしたのである。今思えば、たかが英語の授業に、 すごい苦労して下準備してたんだなーと、我ながら感心してしまう。
 今の私はもうそんな労力は使わない。上に書いたように、「こんな安い時給でそこまでやってられるか!」というのもあるが、それ以前に、大学も学生もそんなの求めていないからである。
 この授業をやってたころは、広告業界志望の学生もかなりいたので、すごい反響があって、私も苦労のしがいがあった。今の学生じゃたぶん、ビデオ見せても寝てるだけで、かえって腹立つからやらない。
 大学側はというと、今はどこの大学でも求められるのはTOEICなどの資格試験の点数アップ。実戦力重視と言えば聞こえはいいが、TOEICでたとえ満 点取ったって、実戦じゃ使い物にならないんだけどね。これは前にも書いたかもしれないけど、外人は会話中、「さて、答えは次の4つのうちのどれでしょ う?」なんて言ってくれないから。
 そんなわけで、クソおもしろくもない問題集解いたりするのが最近の大学教育。学生も(就職などの実利に結びつくので)そのほうを喜ぶが、やる方はこんな につまらなくて情けないことはない。これならべつに教師なんかいらないじゃない? だいたいこの風潮って、諸悪の根元に戻っただけじゃない?
 「10年も 英語勉強して一言もしゃべれない日本人」を作ったのは、テスト至上主義でしょうが。受験テクニックさえ磨けば、そりゃ点数は伸びるが、実力は少しも身に付 かない。逆に「生きた英語」やコミュニケーションに興味を持っている学生は、テスト勉強はつまらなすぎて、英語そのものに興味を失ってしまう。
 確かにこういう試験はどれも「実用」とか、「コミュニケーション能力」をうたっているが、マークシートに色塗ることのどこが実用的でコミュニケーションなんだか。
 ならどうすればいいかというと、1日10通英語メール書けば、英語力は飛躍的に向上します。なんならうちの店でいちばんうるさいお客紹介するから相手してやって(笑)。

2008年6月20日 金曜日

秋葉原通り魔事件について

 この事件は個人的にキライなので、書くつもりはなかったのだが、NHKの特番を見ていたら、やっぱりひとこと言いたくなってしまった。
 ちなみにこの日記の読者は若い人が多いようなので、たぶんその人たちは反発感じるかもしれないけどあしからず。

 自称「異常殺人評論家」でもある私ですが、シリアル・キラーは好き、と言ってはあんまりだし、理解できるという自信もないが、少なくとも関心はそそられるのに対して、(2007年4月5日 『モンスター』のレビュー参照)、マス・マーダーは嫌い。

【用語解説】
シリアル・キラー(連続殺人犯) 長期に渡り、一定のインターバルを置いて多数の人を殺す。被害者はすべて同タイプで、好みのタイプの被害者を慎重に選んで殺す。いわゆる知能犯で、知能も高いことが多く、犯罪は計画的で、警察を攪乱したり証拠を残さないなどの配慮をする。
マス・マーダラー(無差別大量殺人犯) 短時間のうちに多数の人を殺す。被害者は選り好みせず、たまたま出くわした人が犠牲になる。発作的犯行で、犯行を隠匿することはせず、その場で無抵抗で捕まるか、自殺することが多い。

 よって、私としては、この犯人の加藤智大よりも、こないだ死刑になったばかりの宮崎勤(こちらは典型的シリアル・キラー)のほうがまだ理解できる。少なくとも、彼にとっては殺人が強烈な快感だったことは確かだしね。
 それにくらべ、この事件は私にはまったく不可解、理解できないとしか言いようがない。

 ちなみに、ガリガリの死刑廃止論者である私だが、加藤が携帯の掲示板に書いていた日記みたいなのが公表されたときは、マジでこんなくだらないこと書くやつは、それだけで死刑にしてやりたいと思った(笑)。
 ところがNHKを見ていて知ったのだが、あれを見て加藤に共感し、同情する若者が多いのだそうだ。そっちのほうが私には事件そのものよりも奇怪だ!
 同世代の若者が共感を覚えるのは、NHKの解説によると、次の2つらしい。

1.不安定な雇用に対する不安

 上に書いたように、私自身がこれ以上ないほど不安定な職に就いているが、将来の不安なんて感じたことがない(笑)。年だ からというばかりじゃない。若いころも同じく不安定(私が定職に就いたのは30過ぎてからである)だったけど、当時も同じだった。「女だから」と思われる かもしれないが、若いころから結婚なんて絶対いやだと思っていたし、親は貧乏だし、楽観する根拠なんか何もないにもかかわらずである。
 まあ、漠然と考えているのは、「食えなくなったら死ぬしかない。でも死ぬとなれば人間なんでもできるはず」というだけ。
 単に脳天気で神経が抜けているだけという見方もできるが‥‥たぶんそうです。

2.孤独感と疎外感

 私も親とは不仲だったし、学校や職場や近所では本当に親しいひとりも人はいなかったし、長い間ひとり暮らしを続けているが、(だけど、さすがに若 いころは恋人がいなかったことは一度もないので、そこは違う)、いまだかつて孤独というものを感じたことがない。ひとりになりたいという欲求なら、いやっ てほど感じたけど。
 よってこの部分もまるで理解不能。単に人間嫌いの変人という見方もできるが‥‥これもたぶんそうです。

〈結局アンタが異常なだけやんかー!〉 私は自分が正常だなんて一言も言った覚えはない。〈威張るなよー〉

 というわけで、この犯人にはまったく何の興味も覚えないし、同情もできないですね、私は。マス・マーダーというのは、結局一種の自殺なのだが、そんなに死にたきゃ他人に迷惑かけずに勝手に死ねよって感じ。こんなのに殺された人たちこそかわいそう。

 それと一連の報道を見ていて、私がめちゃくちゃ腹が立つのは、これを無理やり社会問題にしてしまおうというメディアの姿勢。マス・マーダラーの特 徴のひとつとして、犯行の原因を社会のせいにするというのがある。実はめちゃくちゃ個人的動機なのに、人に責任を押しつけようとするのだ。(シリアル・キ ラーはそれはしない。というか、個人的すぎてしようがない) なのに、その尻馬に乗ってどうする!
 例によって、携帯や(場所が場所だけに)おたく文化と結びつけようとしたり、派遣問題と結びつけようとしたり。
 宮崎事件のときも、「おたくの犯行」というレッテルを貼られたが、あのときは、おたく連中はそれに猛烈に反対し異を唱えたのに、今回はみんなそれを素直に受け入れているばかりか、「自分も同じだ」と考えているらしいのがすごい不気味だ。
 まして犯人が派遣社員だったことを原因のひとつみたいに言うのはあんまりだ。そりゃ派遣の待遇はどうにかしなきゃならないけど、これじゃまるで派遣の人はみんな犯罪予備軍みたいじゃないさ。それこそ失礼もいいところだ。

 こういう用語や定義までできているのでおわかりのように、マス・マーダーというのは少しもめずらしい犯罪ではない。いつ、どの時代でも、どこの国 でも、一定の割合で起きていることだし、犯人の背景もさまざまだ。なのに、それを大げさに騒ぎ立てるのって、それこそ犯人の思うツボじゃないのか?

おまけ メイド喫茶のはなし

 暗い話だけなのもなんなので、笑える話も。この事件のニュースを見ていたらメイド服を着た女の子がチョロチョロしてたし、加藤の書き込みにもメイ ド喫茶のことが書かれていたので、つい思い出してしまった。いや、もうとっくにすたれたかと思ってたら、根強い人気があるんですね。

 初めてメイド喫茶なるものについて聞いたときの私の反応は、「ほほー」というものだった。べつに感心しているわけではない。ただ、「おたくもけっこう進んでるじゃん」と、ちらっと思ったのも確か。
 というのも、メイド萌えの本場と言えばイギリス。それでイギリスおたくである私としては、メイドと言えば鞭! というのを自然と連想したのだ。
 でもその後、実態を知ってがっかり。メイド喫茶に入ると、鞭を持ったメイドが足蹴にしてくれたりはしないのですね。「お帰りなさいませ、ご主人様」って、それじゃ普通じゃん! 萌えないじゃん! 下賤なメイドにいたぶられるのがメイド遊びの喜びなのに!

 同様に、女の子向けの執事喫茶というのもあるらしい。それもちがーう! 執事なんてジジイじゃん! それを言うなら、運転手とか、厩番とか、庭師 とか、森番(『チャタレイ夫人の恋人』だね)とか、若くて、筋骨たくましくて、粗野な肉体労働者じゃなくちゃ、萌えないじゃん!
 だいたい、聞いた話では、その「執事」というのは若い男らしい。それもちがーう! 今時の若いやつらときたら、英国貴族ごっこの楽しみをなんもわかっとらん! プンプン!

 結局、なんだね、おたくというのは男も女も、単に優しくしてほしいだけなのね。それならお互いに優しくすればいいじゃん。変なの。 

2008年6月23日 月曜日

ワールドカップ3次予選バーレーン戦

 サッカーに興味のない人すみません。興味のある人もすみません。(サッカーはしょせん素人で、あたりまえのことしか言えないので)

 「日本人サッカーうまくなったよ」という前言は取り消します。やっぱ下手だ(笑)。私は例によって途中からしか見てないのだが、まあ、ひどい試合 でしたね。格下のバーレーンの、しかも二軍相手の消化試合、しかも砂漠の国からやってきた敵に、どしゃ降りのホームで苦戦。棚ボタのゴールで辛勝というだ けでも情けない。4点、5点取ってあたりまえの試合でしょ。
 さすがに解説者までさじを投げて、「これでは予選突破は無理」と言い切るし、アナウンサーは最終予選のことを決勝と言い間違える始末。確かに日本にとっては、予選がワールドカップの決勝並みに高い壁になっている。
 どんな達人でもシュートを外すことはある。だけど、こうまでみんながみんなダメってことは、これはもう指揮官の責任以外の何者でもないでしょう。選手の 実力そのものは、歴代代表とくらべてそう劣るとは思えないし。どうして岡田監督が解任されないのか、不思議でならない。打った内田でさえ苦笑しているの に、ひとりで(巻もだが)大喜びしている監督がめちゃくちゃ浮いている。普通の監督なら頭から湯気立てて怒るところなのに。言動のすべてが監督不適任とし か。
 しかし、私が見ていると、なぜかDFしか点が取れないというジンクスはまだ生きてるな(笑)。しかも、今回は内田が史上最年少の初ゴールというおまけ付 き。これがFWだったら将来が楽しみと言えるのにねえ。もう日本チームはFWもMFも全員外して、全員DFにすれば最強というのも、冗談とは言えなくなっ てきた。
 その内田のゴールもめったに見られない珍プレイ。GKの目の前でボヨーンと弾んで、そのまま頭を越えてボヨーンと入った。その間、GK棒立ち。
 それで問題の巻ですが(笑)、私は彼をまったく信用していないので、出てきたときは「もうだめだ」と思った。でも関係ないところでジャンプしていてボー ルにさわらなかったので勝てた(笑)。あれを(エアギターをもじって)「エアヘッド」と呼んでいるのには爆笑してしまった。だって、エアヘッドって英語で 「バ×」のことなんだもん。あれがあったから入ったので巻のアシストだなんて声も聞くが、アシストしてくれたのは敵のキーパーでしょう? 単に相手がもっ と下手だったので救われただけで。
 巻という選手は見た目必死で一生懸命なので、ダメでも好感持たれてるようだが、ボールにさわらないほうが点が入るFWなんていらない。 

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