2007年11月の日記

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2007年11月6日 火曜日

 すみませんすみません。またまたパソコンがクラッシュして、今度はまる1週間ネットにアクセスできませんでした。今日やっと直ったので、今はメール書きに追われているところです。お友達への返信は「許してもらえる」という甘えから後回しになると思いますが、どうぞご勘弁を。

2007年11月15日 木曜日

PCレスからホームレスへ思いを馳せる話

 というわけで、ハードディスクをフォーマットしてOSを再インストールし、あれやこれやの設定をやり直して、これでやっと常態に戻ったと一安心した翌朝、電源を入れてもパソコンが起動しない!
 それも、前回はまだ、黒い画面にエラーメッセージが出てきたのに、画面は真っ暗なまま、うんともすんとも言わない。ひえ〜! 完全に壊れた!

 こうなってはもはや私の手には負えない。お助けマン(弟)に助けを求めるしかないが、平日では彼は会社。
 しかも、お金だけ先に受け取っていて、今日中に発送しなければならない商品が、価格にして50万円ぶんぐらいある!(アンドレのものが入っていたので)

 というところで、私は大パニック。
 もういてもたってもいられないので、仕事帰りに実家へ直行。弟はどうせ深夜にならないと帰宅しないが、それまで彼のパソコンを使わせてもらって、せめて宛先だけでも調べようと。
 (ご参考までに、大学というところは、教員が使えるパソコンさえもないほど、IT化が遅れているところなのだ。専任教員は自費で買ったパソコンを持ち込んでいる。Winnyとかこわくないのかしら?)
 しかし、弟の部屋に入って愕然。部屋中ケーブルだらけ。むき出しのマザーボードや周辺機器が至る所に積み上げられ、何がどこにつながってるのかもわからないし、電源スイッチの場所すらわからない。こりゃだめだ! これだからおたくは‥‥(笑)

 しょうがないので、弟の帰りを待ちながら、猫と遊ぶ。
 実家の猫はすべて拾ってきたノラ猫なので、弟と(餌係の)父はともかく、「知らない人」である私を見ると、狂ったように逃げ回るのだが、新入りのメス猫は人なつこく、甘えて膝に上ってくる。かわいい! こんな猫らしい猫、久しぶりに見た。アメリカン・ショートヘアと三毛がまざりあった雑種で、見るからに育ちの悪そうな他の猫たちとくらべ、おとなしいお嬢さんという感じ。
 これだけ人に慣れているということは、ノラの生まれではなく、捨て猫だろう。まだ完全には大人になりきっていないが、拾ったときは妊娠していたというから、(さすがにこれ以上猫は増やせないので、弟が動物病院に連れて行って、子供を堕ろして不妊手術をしてもらった)、子猫のうちはかわいがって、お腹が大きくなってきたので捨てたんだろう。私は犬猫を捨てるような人間は、最も苦痛の激しい拷問にかけた上で、さらし首にすべきだと思っている。

 やがて弟が帰宅したが、疲れて帰ってきたところへ、パニック状態の私が騒ぎ立てたので、むちゃ機嫌悪し。うちへくる暇はないので、パソコンを送れと言う。それでも、パソコンは使わせてもらえたが、他人のパソコンは使いづらい! 何をするんでも、自分ちでやるのの10倍は時間がかかり、とうとう終電に乗り遅れて、その日は実家に泊めてもらうはめになった。 

 で、とにかく翌日はたまった発送を片づけて、パソコン本体を梱包して実家へ送る。戻ってきたのは1週間後。私がパソコンなしで1週間も過ごしたのなんて、何十年ぶりだよ!
 なにしろ、その日暮らしの生活なので、1週間収入が途絶えるというだけでも、大きな痛手。それ以上に、もしかしたらお客さんから注文が入っているかもしれないのに、メールの読み書きもできないので、お客さんを待たせていると考えただけで胃がキリキリと痛む。アンドレからのリクエストが一段落して、落札しなきゃならないオークションがなかったのが不幸中の幸いだけど。

 それでも、毎日メールを交換しているような友達や、常連のお客様には連絡をしないとならないので、ネットカフェへ出かける。当然アドレス帳もなくなってしまったが、PayPalの口座を見れば、住所やメールアドレスはわかるから。
 以前、やはりパソコンが故障して、ネットカフェに行ったときは、「静かだしきれいだし、これならうちの仕事部屋より快適。むしろここで仕事したいぐらい」なんて書いてたが、今回知ったのはネカフェもピンキリだということ。

 西葛西にもネットカフェはたくさんあって、この前行ったのがどこかも忘れてしまったので、最初に目に入った駅前のに入ったのだが、一歩足を踏み入れてギョ! な、なんか、空気がよどんでるー!
 私が行ったのは深夜で、ほぼ満員だったのだが、客は全員、若い男性。だけど、若さとか生気なんかまるで感じられない、尾羽打ち枯らした感じの、死んだ魚のような目をした人たちばっかりで、ほら、テレビとかでよく見かけるネットカフェ難民みたいな人ばっか! 当然、私みたいなおばさんなんかひとりもいない。

 いやー、私もテレビでネットカフェ難民のニュースを見るたび、人ごとじゃないと思っていたが、本物(かどうかはわからないが、どうしてもそう見えちゃうのよ)を見ると、さすがに引く。
 しかも、店自体も快適とはほど遠い。全室個室なのだが、椅子とデスクだけですべてのスペースを占め、足が長い(うえに太め)の私は、立つスペースすらない。入るときも、椅子の上に身を投げ出すようにしないと座れない。座ったら座ったで、拘束具でもはめられたように身動きもできない。こんなところで寝るなんて絶対不可能だよ! なのに、こういうところで何年も暮らしている人もいるなんて。
 おまけにもうもうと立ちこめるタバコの煙。(私は自分も喫煙者だが、喫煙者だからこそきれいな空気にはこだわるのだ。空気が汚いとタバコがまずいから)
 おまけに、どこかのブースの人が風邪を引いてるらしく、ひっきりなしに今にも死にそうな感じの咳をして、盛大に鼻をすすり上げる音がする。風邪はしょうがないが、鼻ぐらいかめ!(鼻をかむ音は一度もしない)
 ううう‥‥地獄だ。こんなところに長居はしたくなかったが、それでも仕事が終わらなくて2時間もいてしまった。

 気になったので、あとからYouTubeでネカフェ難民のビデオをいくつか見たが(参考)、やっぱり身につまされますね。本当にかわいそう、としか言いようがない。と同時に、こういうふうにだけはなりたくないと切実に思う。
 ただ、これは前にも書いたが、この人たちの時給とか月収とか聞くと、私と変わりない(というか、私より高収入の人もいる!)んだよね(苦笑)。違いは私にはボロくて小さいけど家があるというだけ。でもたとえ家がなくても、私はあんなところで寝るのはいやだ! それなら段ボールハウスのほうがまだましだ。幸い(梱包用に集めてる)段ボールはたくさんあるし、これならいつホームレスになっても大丈夫(笑)。
 けっこう感動したのは、そんな状況でも、あの人たちってちゃんと働いてるし、社会人としての責任は果たしてるんだよね。私だったら、あんなところで一晩過ごしただけで、精神まで萎縮して、もう何もかも投げ出したくなっちゃいそう。
 逆に言うと、あれだけのストレスと不安と肉体の酷使に耐えて、プライドや気力を保っていられる人って、ものすごく強いんじゃないか。私のような怠け者の意気地なしと違って、その強さがあれば、ホームレスから抜け出すぐらいかんたんに思えるんだが。まして50過ぎのおばさんじゃない若い者に、なんでもするつもりなら東京で仕事がないなんて絶対考えられないと思うのだが。やっぱり、ある意味、選んでああしてるんだとしか思えない。
 だいたい、友達ぐらいいないのかよ? アパート借りるお金がないと言ったって、四畳半一間だって4人ぐらいはちゃんと横になって眠れるじゃない。お金出し合ってシェアすれば、ネカフェなんかで寝なくたってすむのに。いや、夜と昼でタイム・シェアリングすれば10人ぐらい(笑)、と、よけいな心配までしてしまう。

 話をパソコンレスに戻すと、仕事ができないのも困るが、それ以上に禁断症状に苦しむ。はい、私はれっきとしたパソコン依存症です。仕事がなくても、ゲームをしたり、ネットサーフィンしたり、メールを書いたり、いらん日記を書いたりして、いったんパソコンの前に座ると、動くのがむずかしい。
 そんなだから、パソコンがないと、なんと時間がたっぷりあることか! ならば、この強制された休日に、映画を見たり、音楽を聴いたりして、ゆったり過ごせるかというと、禁断症状のおかげでそれすらできない。ニコチン中毒の禁断症状にも似て、ただもうわけもなくイライラし、いてもたってもいられなくて、じっとしていられないのだ。これは本当に苦しかった。

 ニコチン中毒の禁断症状を知らない人のために参考までに書いておこうか。タバコを吸わないためには買わなければいい。これは何度かやってみたことがある。するとどうなるかというと、家のどこかに買い置きのパックか、吸いかけのシケモクがあるんじゃないかと思って、家中の引き出しや戸棚を片っ端から開けて回る、はてはゴミ箱までひっくり返して捜し回るのだ。
 ないことがわかっていても、一度見たところでもまた見ずにはいられない。それを一日中繰り返す。仕事をしようと思ってデスクに向かっても、すぐにまた立って引き出しをバタバタとあけて回る。これではまったく仕事にならないばかりか、食事ものどを通らず、飢え死にしてしまうので、しかたなくまたタバコを買いに行くわけだ。中毒は恐ろしいね。
 でもパソコンの場合は、引き出しを開けるという代償行為すらできないのでよけいつらい(笑)。

 そして1週間後、やっとパソコンが戻ってきた。結局、マザーボードがいかれていたらしい。それを交換したので、筐体も新しくなった。おかげで見た目は新品同様。ちょっとうれしい。おまけになぜか、秋葉原で買ったAdobeのCreative Suiteまで付けてくれた。ヤフオクで売れば高く売れるから、差額はもらっていいと言う。実際、数万円の儲けになりました。これで休業補償もついた(笑)。さんざん悪態つかれて、ヘコヘコ頭下げたけど、やっぱり家族はありがたいね。
 大学の友達のマリコさんは、パソコンも携帯もなくても生活できると豪語しているローテク人間だが、彼女にパソコンが壊れた話をした翌週、今度は彼女のパソコンが壊れたと言う。それでメーカーに修理に出したら1か月かかると言われたそうだ。
 実は私は、こうしょっちゅう壊れるのはやっぱり自作機だからじゃないかとか、メーカー製のパソコンならこんなに壊れないんじゃないかとか思っていたが、それでも弟に頼るのは、この修理の問題があるからだ。実際、1か月かかるなんてざらだからね。弟は口では文句を言うが、やはり製作者としての責任を感じるからか、ハードの修理だけはやってくれる。これがメーカー製なら、絶対にやってくれないから。
 マリコさんも職種はまったく違うが、家で商売をしているので、困るだろうと心配したら、「うちのお客さんはメールに返事がなければ電話してくるから平気」と余裕だ。いいなあ。うちのお客さんはなにしろ海外だから電話っていうわけにもいかないし、返事が一日遅れただけで、10通ぐらいメールを送りつけて、それでも返事がなければカンカンに怒って、二度と買わないなんて言う人もいるので。

 でもとにかく、パソコンも直って、すべての注文をこなし一段落したのでほっとした。やっぱりこういうときのために予備のパソコンは必要だねえ。いちばん壊れるのはハードディスクだし、損害がいちばん大きいのもHDだから、そのためにHDだけは2台あって、壊れたら差し替えられるようにしてもらったのに。お金貯めてノートでも買うか。

2007年11月17日 土曜日

サッカーのはなし

(これまで意地で「フットボール」と書いていたが、やはり日本語だと違和感あるのでやめた)

 近頃サッカーがおもしろい。私はもともと、スポーツファンとすら言えず、競馬を別にすると、好きなサッカーやウィンタースポーツだって、せいぜいがワールドカップとかオリンピックとかの時しか見なかったのだが、最近はサッカーを見ていておもしろくてしょうがない。
 理由はやっぱり日本サッカーが少しずつ進化してきたことかなあ。私は日本を応援しているわけでもないのだが、やっぱりテレビで見られるのは日本の試合だけなので。それで、つまんない試合やヘボいプレイを見せられたら腹が立つだけだが、いいところを見せてもらえればやっぱりおもしろい。

 最近いちばん感動したのは、先日行われた日本代表とエジプトとの試合。結果として勝ったが、こんな試合を見せてくれるなら、日本が負けてもぜんぜん気にしない。何が良かったかというと、美しい試合だったんだよ。
 なにしろ、日本代表チームというと、「中盤でちんたら横パスをまわしているうちに、ボール取られて負ける」というのをさんざん見せられてきただけに、縦パスが通るというだけでも感動。ゴールも連携が見事に決まって気持ちが良かった。
 私が理想とする「美しいサッカー」というのは、しょっちゅうファウルで中断したり、あっちこっちに人がバタバタ倒れてたりしないで、ゲームが中断することなく、ボールがよく動くサッカー。この日がまさにそれでしたね。アジアの弱いチームとじゃなくて、(二軍とはいえ)アフリカ王者のエジプトという強敵相手に、これだけきれいな試合ができれば上出来。
 と同時に、これがオシムの目指すサッカーなのかなあなんて思って、やっと形ができてきたと喜んでいたのだ。

 ところが、そこへ「オシム倒れる」のニュース! 脳梗塞で入院ってヤバいじゃん! ショック!
 たとえ、命を取り留めても、あの年では復帰は無理だろうな。あの年と言ったって、66才なんて今時十分若いのだが、スポーツ選手は寿命短いから。(スポーツは体に悪いのである。ほんとよ!)
 うーん、サッカーというのは指揮官によってがらっと変わるぐらい、影響大きいし、これからどうなるんだろ? もっとも、日本人って「弔い合戦」とか言って、死んだりするとかえって発憤するかも。
 うそうそ、不謹慎なこと書いてすみません。オシムは個人的に好きなので、早く回復してほしいです。

 あと、こないだ見たアジア・チャンピオンズ・リーグの決勝。私は例によって試合開始に間に合わず、後半しか見てないのだが、どう見たってセパハン(イラン)のほうが強いじゃん。なのに、守りに守り抜いて勝ったのにはけっこう感動した。こちらはとても美しい試合とは言い難かったが、ひとつでも上に行くためには、こういう泥臭さも必要だなあと納得した。

 それと、今見終わったばかりのオリンピック予選、ベトナム戦。相手がベトナムだから勝って当然だが、U22はまだかなり課題が残ってるみたい。あいかわらず、パスミスとか好機でのミスが多いし。でも、「フリーキックで凝ったトリックプレイを試みて、見事に外してボールがうしろにコロコロ」には大いに笑わせてもらったから楽しかったけど。

2007年11月29日 木曜日

 いやー、寒いですね。今年は例年になくこっちも寒いです。夏の暑さに悩まされた私としては、寒いのは大歓迎なんだけど、ただ、暑いがいきなり寒いに変わるのが東京のいやなところ。
 大学の教室でランニング1枚で授業を受けてる学生がいたので、私が「おいおい、いくらなんでも11月にランニングはないだろ」と言ったところ、「だってこれでちょうどいいんだもん。そういう先生だって半袖じゃん」 確かに私も半袖のサマーニットでした。というのが、11月の2週目ごろ。その翌週にはみんなコートの襟たてて、しっかりマフラー巻き付けてるというのは極端すぎる! (大学の空調がいかにひどいかの証明でもありますけどね)
 木枯らしがピューと吹いたと思ったら、街路樹はみんな紅葉して一気に散っちゃうし、毎日曇って陰気な天気だし、なんか今年は秋がなかった感じ。

 というわけで、冬の暖かさが売りの我が家もついに暖房機を出しました。まだ付けてはいないけどね。
 でも例年だと、うちで暖房がほしいと感じるのは大晦日ごろで、1月2月に数週間暖房するだけなんだよね。やせ我慢じゃないっす。私は暑さも寒さも我慢できない根性なしなんで。暖房なんてしたら暑くていられないの。おまけにうちは1年中窓は開けっ放しなのに。
 だから、「暖房の方が冷房より必要な期間が長い」というのを聞くと妙な感じ。ちなみに冷房の方は、7月から8月にかけての2か月間は、24時間冷房を切ることはない。止めたら死んじゃう。建物の構造のせいなんだろうけど、この極端なあったかさは不思議。

 だから、今年はもう暖房器具捨てちゃおうと思ってたんですよ。エアコンもあるしね。(普段はエアコンは電気代がかさむので使わない) でもやっぱり捨てないでよかった。
 それと同時に、ここ数年、服を買うときは気を付けていることがある。それは長袖(特にウールのセーター)は、たとえすてきなのがあっても絶対買わないこと。買っても着るときがないから。外へ出るときはコート着るし、室内では長袖では暑すぎるから。おかげで着るものがなくて困ってます(笑)。

 で、それとはまるきり関係なく、今日は何かと話題の食の話だ。

アンチ・グルメのはなし

 毎度言うが、私はグルメと対極にある人間である。貧乏のせいでろくなものが食えないのは別としても、そもそも食べることが嫌い‥‥なんてことをうっかり人に言うと、この国では、まるで「小動物や子供の虐待が趣味です」とでも言ったような顔で見られる。それだけ食好きの国民なんですね、日本人は。
 しかし、早い話が、私は食事なんてすべて、カプセルを1日1回飲むだけで済ませることができたらどんなにいいか、なんて思ってる。だったら、食べるものには無頓着かというと、食べることに興味がないからこそ、へたにグルメを気取っている人より、食べ物にはうるさかったりする。

 たとえば、食べるの嫌いと言いつつ、人に飯をおごってもらうのは大好き(笑)。ただ飯は絶対逃さない。
 理由はこうだ。ビンボな私は、できれば食べ物にお金なんか出したくない。だけど食べないと死んじゃうから仕方なく食べる。でも本当はすごく惜しい(笑)。よって食費を肩代わりしてくださる人は神様なわけ(笑)。だから、おごって頂いたものは、まずかろうが嫌いなものだろうが、なんでもありがたく食べて、すごく満足する。
 ちょうどその対極にあるのが音楽だ。私は音楽にかけるお金は惜しいとは思わないし、本当に聞きたいものなら金に糸目は付けない。だけど、人にCDとかもらうのはすごく困る。(ただし自分じゃ入手できないレアものは別) だって、聴きたいものは全部自分でお金出して買っちゃってるし、もらいものということは、つまり聴きたくないものということで、かといって、売っちゃうのも失礼だし、扱いに困るわけ。
 話がそれたが、食べ物にお金を使うのが惜しいからこそ、どうせ自分で金出して食べるものなら、まずいものは食べたくないと思ってしまうわけだ。

 そこで最近はやりの食品偽装問題。詐欺にも絶対許せない感じのものと、なんとなく被害者にあんまり同情できないタイプのものがあるが、これは私的には後者だね。
 だって、偽物食わされたって、賞味期限が切れてたって、「さすが比内地鶏はうまい」とか、「さすが吉兆はうまい」とか言って、ありがたがって食べてたんでしょ? もしまずいと思ったら二度と食わないはずだし。味の違いがわからないなら、偽物だって本物だっておんなじじゃん。フランスのブランドものだと思って、中国の低賃金労働者が作った服着て喜んでるみたいなもん?
 まあ、中国の低賃金労働者だっていいんだよ。品質が良くて気に入ったなら。同様に比内地鶏や但馬牛じゃなくたって、うまかったんならいいじゃない。

 などとせせら笑っていられるのも、私が高級なブランドものの食品なんか絶対に食べない(自分で金払っては)せいもあるが、それ以上に、こう見えても意外に味にうるさいからである。
 高級レストランだってまずいものはまずいというのは、9月26日に書いたとおりだが、それをありがたがって食べてる人間というのは、実は味音痴なんじゃないかと疑っている。いわゆる行列のできる店とかも、もちろん自分じゃ行かないが、人に連れて行かれた経験から言うと、まずくはないにしても、うまいと思ったことなんて一度もないね。

 たとえば、やたらもてはやされるデパ地下食品。私はデパ地下は食い倒しました。というのも、まだフルタイムで勤めていたころは、金はあるが時間がないという状況で、私は料理も大っきらいなので、晩飯はすべて帰りに新宿のデパートで買ってすませていたからだ。
 それで毎日毎日、ありとあらゆるデパートのありとあらゆる食品を食ったすえの結論は、「まずい」というもの。いや、「まあまあ食べられないことはない」というのも多かったが、決して、うまいと感じられるものなんてなかったし、めっちゃくちゃ飽きた。
 結局、デパートの名店のお総菜よりも、近所のラーメン屋でラーメン食った方がはるかにうまいという結論に達した。最大の理由は、作り置きか作りたての違いだと思うけどね。でも毎晩ラーメンというわけにもいかないので、結局は自分で作るようになったのだが、デパ地下の名店の味なんて、私が作るまずい飯(笑)よりまずいというのが実情だと思うのだが。
 それでもスーパーの総菜よりは確かにましだけど。こっちはもう犯罪的まずさだと思う。私もやむなく総菜を買うことはあるが、一口食べてぜんぶ捨てることが多い。コンビニ弁当のたぐいも、どうしてあんなもの食べられるのかわからない。(セブンイレブンのおでんだけは食える)

 だから、イギリスへ行ったとき、(当然お金がないので、レストランなんか入れず、もっぱらデリカテッセンで買ったもので生きてたのだ)、スーパーや町のデリや、露天の屋台の食べ物でさえうまかったのにはびっくり仰天した。だって、食い物がまずいことで定評のある(これは私も反対しない)イギリスでだよ!
 で、つくづくその理由を考えたのだが、理由は素材の違いとしか考えられない。安いミートパイでも、肉はちゃんと本物の肉がゴロゴロ入ってるし。それにくらべて、日本のお総菜や冷凍食品に入っている肉なんて、臭いかいだだけで「おえっ!」となるものばっかりで、だから、ミートホープの偽装問題が発覚したときもぜんぜん驚かなかった。むしろあれがまともな肉だと思ってた人が多かったというほうに驚いたぐらい。あれ以前から、私は挽肉使ったお総菜は絶対買わなかった。肉とか魚は原型がはっきり見えるものじゃないと気持ち悪くて。

 そういう食材の違いはあらゆるものに感じたな。イギリスのカフェでオレンジジュース飲んだとき、「本物」のオレンジジュースなのに驚いたし。いや、本当にオレンジ絞ってくれるわけじゃないのよ。1杯200円ぐらいのジュースなんだし。冷蔵庫から出したパック入りのジュースを注ぐだけなんだけど、そのパック入りジュースが本物のオレンジの味がするのだ。それを知ったときは、スーパーで100%ジュースを片っ端から買い込んで飲んだが、「ぜんぶ本物だー!」と涙が出るほどうれしかった。値段はどれも日本のスーパーと変わらない。クランベリー・ジュースが一押し。
 私は毎朝、100%ジュースをコップ1杯飲むのが習慣だが、これが本当に100%本物だなんて夢にも思ってない。ただの色つき砂糖水だと思ってる。(ついでに砂糖無添加も嘘だろうと思ってる) だって、色つき砂糖水の味しかしないもん。いずれこれも偽装が発覚するでしょう。

 同様に、地方の名産というのも、まずいものの代名詞だと思ってる。これは「名物にうまいものなし」なんていう格言があるところから見ても、ある程度真理だろう。
 ただし、地元の人に案内された店を除く。これは本当にうまいと思ったものがいくつかあった。福島で食べた鯉のあらいとか。生ものいっさいダメ、刺身も寿司も食えない私が、ほっぺたが落ちるほどうまいと思ったんだから、本当にうまかったんだろう。
 でも観光客向けの店とか、テレビや雑誌で紹介されたような店は全部まずいと思ってる。同様に、土産物屋の店頭に並んでるような、あらかじめ包装された「銘菓」なんて、全部中国の工場で作られたものだと思ってるから一度も買ったことがないが、あれを買うのが日本の旅行者の「お作法」らしいんだよね(笑)。

 というわけで、だまされないためには自分の舌と鼻を鍛えるのがいちばんという、当然のお話。特に私はケダモノなので鼻がきく。スーパーでもにおいをかげないパック入りの食材ってきらい。でも果物なんかは包装されてないから、なんでもクンクンとにおいをかいで選ぶ。店にとってはいやな客だな(笑)。だって、においかがなきゃ熟れ具合がわからないじゃん! 熟れたものを選ぶとは限らず、すぐに食べきれないものはわざと未熟なのを選ぶとか。
 それで思い出したが、実家の猫は買ってから3日たったミルクは絶対飲まなかった。たとえ未開封で冷蔵庫に入ってたものでも、クンクンかいで拒否。新しいのを出してやるとゴクゴク飲む。それを見てから、私もミルクは(製造年月日にかかわらず)3日たったら捨てるようになったが、それ以前に○○とか△△のミルクなんて(営業妨害を気にして、いちおう伏せ字)まずくて飲めないけどね。

 そんなこと言ってたら、何も食べるものがなくなっちゃうじゃないかと思われるかもしれないが、実際、そうである。よって、私は(あいかわらず料理は嫌いなので)ひどい偏食。でも食べないから痩せるならいいんだけど、たまにうまいものに巡り合うとドカ食いするせいで、ちっとも痩せないのが困る。

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